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楽しく歌って認知症を防ぐ!医師推奨のカラオケ療法で物忘れが劇的に改善!

認知症
南越谷健身会クリニック院長 周東 寛さん

厚生労働省の調査によると、認知症とその予備軍とされるMCIの人口は862万人にも上ることがわかっています。認知症を防ぐためには、前段階であるMCIを改善させられるかどうかがカギになります。今回は、楽しみながら歌うだけで脳が元気になる「カラオケ療法」をご紹介します。

カラオケ療法は感情をこめて気持ちよく歌うのが重要で血流改善や幸せホルモンが分泌

[しゅうとう・ひろし]——1978年、昭和大学医学部卒業。医学博士。1986年、駅ビル医院「せんげん台」を開院し、1990年に医療法人健身会を設立。2003年、南越谷健身会クリニックを開院。昭和大学医学部兼任講師、獨協医科大学非常勤講師。東洋医学を取り入れた独自の治療や、食事・運動指導、最新の検査機器を使った予防医学にも尽力。著書に『病気にならない食事法』(講談社)など多数。

厚生労働省は、認知症とその予備軍とされる軽度認知障害(MCI)になっている人がすでに862万人も存在すると発表しています。65歳以上の4人に1人が認知機能に問題があるという、驚くべき数字です。

MCIの発症や進行を防ぐために、世界じゅうで研究が進められている中、私は歌うことで認知機能を高める「カラオケ療法」を推奨しています。「カラオケで認知症を防ぐ」と聞いて不思議に思うかもしれませんが、大変な効果が期待できるのです。

カラオケ療法のポイントは〝仲間と楽しく感情をこめて歌うこと〟です。私たちが歌うときは、ふだんおしゃべりしているときよりも大量の息を肺に吸い込み、吐き出すことで声帯を振動させます。大きな呼吸によって肺を大きく膨らませた後、勢いよく息を吐き出すことで呼吸にかかわる筋肉や関節が大きく伸縮します。

大きな呼吸によって、血管の拡張と収縮もより活発になります。脳底動脈(脳の中心を走り、側頭葉や後頭葉など認知機能にかかわる部分に血液を送る動脈)をはじめとする脳血管の血流が促進され、下垂体や視床、視床下部、脳幹、中脳などが刺激されるのです。

感情をこめて気持ちよく歌うと、脳内は「ナチュラルハイ」と「リラックス」の状態がくり返されるようになります。自然なハイテンションという意味のナチュラルハイで得られる解放感や爽快感、幸福感は脳の活性化を促します。当院で脳波を使って調べた結果、安静にしているときに出るα波と興奮しているときに出るβ波が、交互に行ったり来たりする現象が起こることを証明しました。

ナチュラルハイとリラックスによって脳が活性化すると、脳内ホルモンの分泌も活発になります。具体的には、心地よい興奮と爽快感をもたらすドーパミンやノルアドレナリンやアドレナリン、痛みを和らげたり気分を高揚させたりするエンドルフィン、心の安定や穏やかさにつながるセロトニンやオキシトシンなどです。これらの脳内ホルモンを多くの人にわかりやすく伝えるために、私は〝幸せホルモン〟と名付けました。幸せホルモンによって豊かな感情が満たされると、より認知機能の向上が期待できるようになるのです。

安静にしているときに出るα波と興奮しているときに出るβ波は、カラオケにによってそれぞれ上昇

実際に、カラオケ療法を試してMCIが改善した患者さんの例をご紹介しましょう。

病院が嫌いなAさん(70代・男性)は胃がんを患っていました。胃がんの手術は成功したものの、入院中にストレスがたまったのか、退院後、認知機能に変化が見られるようになったといいます。

私はAさんの奥さんから「主人は元気がないと思ったら、急に怒ったりするんです。物忘れも増えた気がします」と話すのを聞くようになりました。Aさんの問診を行うと、明らかに気落ちしている状態でした。

Aさんの脳の状態を確認するために、頭部MRI(磁気共鳴断層撮影装置)で検査を行いました。HDS-Rテスト(長谷川式簡易知能評価スケール。30点中20点以下は認知症の疑い)とVSRAD(MRI画像を使って脳の萎縮度を調べる検査)も実施しました。その結果、AさんのHDS-Rテストは22点で、VSRADは1.26(Zスコア)でした。

Zスコアが1.0以上だとMCIが、2.0を超えると9割以上の確率で認知症が疑われます。Aさんは健常者と認知症の中間段階であることがわかったのです。

仲間と歌ったら性格が明るくなり認知機能の数値と物忘れも劇的に改善

カラオケ療法によってMCIが改善するしくみ

治療を始めるにあたり、Aさんにはカラオケ療法を実践してもらいました。病院に併設しているカラオケルームで1回1時間、週に2回のカラオケレッスンに参加したAさんは、多くの友人ができ、歌を楽しむことを覚えたそうです。レッスンに参加してから半年後には性格が明るくなって、顔色もよくなりました。

Aさんの認知機能を再検査した結果、HDS-Rテストは28点に上昇し、VSRADは1.26から0.98まで改善していたのです。物忘れが大幅に改善されていたことに驚かされました。

カラオケ療法の効果は、MCIの改善にとどまりません。脂質異常症や高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患の症状改善や予防にも効果があると考えています。

毎年、私の病院で開催している「健康まつり」では、患者さんがステージの上で歌を披露するカラオケコーナーを設けています。興味がある方は、ぜひ参加してください。

周東 寛先生が診察されている南越谷健身会クリニックの連絡先は、
〒343-0851 埼玉県越谷市七左町1-304-1 TEL 048-990-0777です。