365調査隊
長年たまった便が腸にこびりついている——そんな〝宿便〞 の話を耳にしたことはありませんか? 便秘が続くと宿便がたまると思ってしまいますが、実際は……。宿便のウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
医学的に「宿便」は存在しないと判明⁉
特に女性は、便秘に悩まされている人が多いのではないでしょうか。年齢を重ねると、腸の筋力が低下したり、大腸の蠕動運動が弱まったり……。できることなら、毎日スッキリと排便したいものです。
そういえば、よく「たまった宿便を出す」という表現を見聞きします。もし、ほんとうに腸内に長年の便がこびりついているのなら、どうにかスッキリさせたいところですが……。
「昨今、〝宿便〟という言葉を耳にする機会がありますが、実は医学的には宿便というものは存在しないんです」
そう語るのは、青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニック院長の金沢憲由先生です。これはいったいどういうことでしょうか?
「これまで数千人、数万人の腸を内視鏡で見てきましたが、何年もこびりついているような便は、一度も見たことがありません。特に下剤で洗浄した後の腸壁は、驚くほどピンク色でツルツルしていますからね」
これは驚きの新事実。金沢先生によれば、腸の粘膜は絶えず分泌液を出していて、常に新しい細胞に生まれ変わっているため、便が腸壁にこびりついて何年もたまるような現象はまず起こりえないとのこと。
「多くの人が宿便と呼んでいるものは、医学的には単なる滞留便(便秘によって直腸や結腸に残った便)であって、何年も蓄積するようなものではありません。単に排泄が遅れているだけで、特殊な老廃物ではないんです。ただ、腸の粘膜が新陳代謝によってはがれ落ちたり、たまっていた古い便がいっきに出たりすることはあるので、それが宿便という誤解を生んだのではないでしょうか」
宿便という言葉や概念が浸透したのは、明治時代から昭和初期にかけてのこと。その当時、民間療法や自然健康法が流行し、「腸内の腐敗物が万病のもとになる」という説が支持されたことが、こうした通説につながったのではないかと金沢先生は語ります。しかし、そこに科学的根拠はないのです。
「例えば、腸内洗浄を行うと、強力な洗浄や下剤によって腸が刺激され、はがれた腸の粘膜が便と混ざり、普段と異なる見た目の排泄物が出ることがあります。あるいは、洗い出された腸内細菌の死骸や胆汁によって変色した便も同様で、これらが宿便と誤認されるケースもあるかもしれません」
なお、健康な人が腸内洗浄を行うと、健康を損なうリスクがあるので要注意。ほんとうの意味のデトックスとは、バランスのいい食事や適切な水分摂取、十分な睡眠などによって肝臓と腎臓をいたわることなのです。


