日本先進医療臨床研究会理事長 小林 平大央
ガン死亡率の増加、「3大療法」の限界と新指標の登場による次世代ガン治療の台頭

ガン治療の世界では、これまでの常識を根底から覆す、極めて重要なパラダイムシフトが起こっています。それは、長年ガン治療の絶対的な指標とされてきた「ステージ(病期)」と「画像所見(腫瘍サイズ)」に代わる、「CTCタイプ」と「セルフリーDNA濃度」というまったく新しい生物学的な新指標の登場です。この新指標に基づく次世代ガン治療は「進行ガン・末期ガンであっても治る」という新たな希望を私たちに提示しているのです。
現在、日本のガン死亡率は増加の一途をたどっています。1990年以降、欧米各国ではガン死亡率が低下傾向にあるにもかかわらず、日本でガン発症率もガン死亡率も減らない最大の理由は、欧米で積極的に行われている「先端ガン検査」と「先進的ガン治療」が日本では普及せず、旧態依然としたガン治療が横行しているためだと指摘されています。
現在の日本のガン治療の主流は、40年以上も前から変わらず「手術療法」「放射線療法」「抗ガン剤治療(化学療法)」という、いわゆる「3大療法(標準治療)」です。しかし、標準治療におけるステージⅣ(全ガン種平均)の5年生存率は2割以下にとどまっています。
なぜ、これほどまでに生存率が低いのでしょうか。その理由は、3大療法が主にガンの「画像所見」や「転移の有無」に基づく「ステージ」という目に見える指標に依存しており、ガン細胞自身の生物学的な悪性度(CTCタイプ)や動的な状態(セルフリーDNA濃度)を見逃しているという根本的な限界を抱えているからです。
ガンのステージや画像所見は、切るため、焼くための指標です。しかし、手術・放射線治療という治療法には限界があります。これらの治療手法は初期のガン(ステージⅠやⅡなど)には極めて有効ですが、すでに血流に乗って全身に散らばった微小なガン細胞や転移したガンを根治することはできません。実際、転移してしまったガン(ステージⅢやⅣ)に対して、手術・放射線治療はリスクが高く適応となりません。
そして、3大療法の最後のとりでである抗ガン剤治療にも限界があります。現状でステージⅣの末期ガン治癒率が2割以下なのは、進行したガンに対して抗ガン剤が効いていないからです。
実は、ガン細胞には、悪性度に応じて主に3つのタイプが存在します。それほど怖いガン細胞ではない「上皮性ガン細胞(タイプ1)」と、上皮間葉移行(EMT)という細胞状態の生物学的変化によって転移する怖いガン細胞となった「間葉系ガン細胞(タイプ2)」、そして悪性度を高めている移行期の「中間細胞(タイプ3)」です。
抗ガン剤や分子標的薬は、増殖の早いタイプ1には効果がありますが、転移の元凶であるタイプ2にはまったく効果がありません。また、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫薬も、タイプ2には無効であることが判明しています。
これが、ステージⅣの末期で治癒率が2割程度しかないほんとうの理由なのです。つまり、抗ガン剤で一時的に腫瘍が縮小したように見えても、再発・転移を繰り返す最大の理由は、このタイプ2を生き残らせてしまうためなのです。そこで、タイプ2を標的とした次世代ガン治療が開発されました。
日本先進医療臨床研究会が提唱する「S式次世代ガン治療」では、ステージⅣの進行ガン・末期ガン患者において、3年生存率約83%(追跡可能な102名中85名が3年以上生存)という驚異的な治療成績を実現しています。この成果は、ガン治療の限界を突破する2つの先端検査と、それに連動する先進的統合医療によってもたらされています。

2つの先端検査の1つ目は、微小流路デバイスという特許技術を用いた「CTC(循環腫瘍細胞)検査」です。CTC検査では、画像診断(MRIやPET-CTなど)では発見不可能な「ガン細胞が1000個」という超早期の段階で血液中のガン細胞をとらえます。そして、この検査の最大の強みは、物理的にとらえたガン細胞がタイプ1なのかタイプ2なのかを特定できる点です。
先端検査の2つ目は「セルフリーDNA検査」です。この検査は、血液中を流れる遊離DNA(血液中に流れ出たDNAのかけら)の濃度を測ることで、ガンの進行度や全身への広がり具合、治療効果を正確に測る現時点で最強のガン状態を把握する指標です。健常者の遊離DNAの濃度(㌰㌘/㍃㍑)がおよそ700未満であるのに対し、進行期のガンは1000~2000、末期ガンは2000以上となります。検査結果が出るまで2週間程度かかりますが、治療効果があればこれらの数値は直ちに下がるため、ほぼリアルタイムでの治療効果の判定が可能です。
これらの検査は、近年増加傾向にある「ターボガン(急速悪化ガン)」のリスクを測る検査でもあります。また、免疫低下状態を持続させるIgG4抗体の体内残存濃度を測る「IgG4抗体検査」と併用し、自然免疫の再起動を図ることで、通常ガンから急速悪化ガンまでを対象とした次世代ガン治療への応用が可能です。
こうした先端検査を指標として活用する次世代ガン治療では、免疫を下げることなく「ガン細胞だけをたたく」先進的な統合医療を行うことが特徴です。特定されたタイプ2をターゲットとして、標準治療では届かないアプローチで根本原因を断ち切ります。
これまでのガンの「ステージ」と「画像所見」に依存した標準治療から、「CTCタイプ」と「セルフリーDNA濃度」という新しい指標に基づく次世代ガン治療が世界の常識になれば、ガンは人類にとって確実に「治る病気」となり、「怖い病気」ではなくなるでしょう。その最大の理由は、ガン治療が「後手必敗の外科的対処」から「先手必勝の生物学的管理」へと完全にシフトするからです。
ガンは、体内でひそかに進行し、気づいた時には手遅れになる「死の病」から、科学的データに基づいて的確に手なずけ、共存し、やがて消滅させることができる「管理可能な病気」へと変わろうとしています。新指標がもたらすこの希望の光は、ガン治療の歴史を大きく塗り替えることでしょう。
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