元気になっていくがん患者さんや、活躍する人を見ると、自分と比較してさまざまな感情が湧いてきます。
元気になった患者さんを見てうらやましく思うのは、ほんとうの自分はその患者さんと同じくらいすてきで、同じように元気になれることを知っているからだと思います。うらやましさを感じていることに気づいたら、「よしよし、自分も大丈夫!」と自分に伝え、その人をうらやむ気持ちから、憧れる気持ちに変えてみるのもいいかもしれません。うらやましさを憧れに変えて、さらに応援もできたら、きっと自分にも力が返ってきそうですね。生きる力のスイッチは、誰かに憧れることによって入るのだと思います。
9月16日に開催された「がん治っちゃったよ! 全員集合! in大阪」で、司会をしてくださったKさんのエピソードをご紹介します。Kさんは7年前にステージⅢCの乳がんと診断されました。3大療法(手術・化学療法・放射線療法)を受けた2年後、肺に転移が見つかりました。
その後、Kさんは大阪で出会った自然療法に取り組むクリニックの医師の指導のもとで体質改善に取り組みました。自由診療の治療を受けたKさんは、再発から半年後にがんが消失。現在も、半年ごとに受けている定期検査では肺に異常は見られず、腫瘍マーカーは基準値以下を保っています。
Kさんは、医師からいわれた「症状がないのに病気というだけで不幸でしょうか?」という言葉に安心感を覚えたとのことでした。さらに、深刻な状況から生還したがんサバイバーたちの話を聞いて、生きる希望がどんどん湧いてきたそうです。Kさんは、自分のがん細胞に、このように話しかけたといいます。
「がんちゃん、あなたを無理に追い出したらあかんね。うちの体の中におってもええけどなぁ、おとなし~くしててやぁ」と。
生きる希望が湧いたKさんは、2015年に「がん治っちゃったよ! 全員集合! in大阪」が開催されると知り、患者仲間の友人といっしょに参加。ステージの上で話されたサバイバーたちが取り組んでいた体質改善や養生法などの話に希望が湧き、「自分のやってきたことが間違っていなかった」と安堵したそうです。
最後に参加者の決意表明のコーナーがありました。Kさんが勇気を出して最後に手を挙げたところ、みごとに指名され、涙ながらに力強く宣言をしたのです。
「絶対にがんを治して、精神的につらくなっている患者さんに元気を届けて勇気づけたい! 世の中のため人のためにお役に立つ仕事をしていきたい。夢をかなえます!」と。
Kさんは、300人以上の参加者から「大丈夫!」コールを受け、大きな力をもらったそうです。
それから約1ヵ月後。定期検査のさいに受けたレントゲン撮影では、なんとがんが消え、腫瘍マーカーも基準値内に下がっていたのです。後日に受けたCT検査でも、画像には何も写っていませんでした。
そして今年の「がん治っちゃったよ! 全員集合! in大阪」では、Kさんが心の中で描いていた夢がかないました。司会者という形で! 4年半前の「がん治っちゃったよ! 全員集合! in大阪」での決意表明は、「予祝」(期待する結果が実現する前に祝うこと)だったんですね。周りにも、自分自身の未来にも、夢の宣言をしたことは、Kさんにとって大きな結果をもたらしました。
ぜひ皆さんも、大切な方と夢を分かち合ってください。その日が、夢に向かって現実が動きはじめる日になるかもしれません。夢を分かち合う場を共有するだけで、生きる希望のスイッチが入ると思います。