365調査隊
女性は妊娠から出産までの十月十日の間に体に大きな変化が起こります。特に、ホルモンバランスが乱高下するため体質も変化しそうですが、実際はどうなのでしょうか。出産に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
妊娠で女性ホルモンは数百倍に急上昇する
日頃どれほど食生活や生活習慣に気を配っていても、持って生まれた体質には逆らえないと実感させられることが少なくありません。アレルギーなどはその最たるものですね。
一方で、出産を経て「体質が変わった」と口にする女性もしばしば見かけます。人の体質は先天的なものではなく、後天的に変化することがありえるのでしょうか? 今回の記事では出産のタイミングに絞り、ファミール産院グループ代表の杉本雅樹先生に話をお聞きしました。
「結論からいえば、体質そのものが変化するというよりも、女性ホルモンの分泌量が産前・産後で変動することがコンディションに大きな影響を与えています。例えば、産後に肌が乾燥したりくすんだりすることがあるのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンの分泌量が急降下することで皮脂や水分の保持力が落ちるためです」
杉本先生によれば、性腺刺激ホルモンと女性ホルモンはそれぞれ2種類ずつあり、脳の視床下部や下垂体から卵巣に下される指令によってコントロールされているのだそう。それぞれの働きは次のとおり。
まず、性腺刺激ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)は脳から卵巣に「卵胞を育てなさい」と指令を出すホルモンで、生理周期の前半に分泌量が増えます。同じく、LH(黄体形成ホルモン)は排卵直前に急上昇し、脳から卵巣へ「排卵しなさい」と指令を出すホルモンです。
一方、女性ホルモンのエストロゲンは子宮内膜を厚くして妊娠の準備を整えるほか、肌や髪の潤い、骨密度を維持する働きを持っています。同様に、プロゲステロン(黄体ホルモン)はエストロゲンが整えた子宮内膜を維持し、妊娠を継続させるホルモンで、むくみやすくなったり便秘しやすくなったりする作用があります。
「これらのホルモンが連携することで生理の周期が作られ、妊娠、出産のタイミングではその分泌量が変化します。例えば、妊娠するとエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が急上昇し、12~16週目には非妊娠常時の数十倍から数百倍に達します。そして、出産をすると、ホルモン産生工場として機能していた胎盤が娩出されるため、この2つのホルモンの分泌量が急降下するのです」
その際、エストロゲンの分泌量の低下は脂肪分布や代謝に関与するため、太りやすくなったり、妊娠中の高エストロゲンで抜け毛が止まっていた分、産後の急降下で一気に抜けたりといった変化が起こりやすくなります。それが体質の変化と誤解されることがあるわけです。


