365調査隊
多くの人が習慣化している耳掃除。耳の内部には体や心に快感をもたらす迷走神経が走っており、耳掃除によって刺激されると快感が得られます。一方で、やりすぎは病気を招く場合も……。耳掃除に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
耳掃除の習慣化は外耳道炎のリスクあり
皆さんは、どのくらいの頻度で耳掃除を行っているでしょうか? なんとなくテレビを眺めながら、習慣的に週に1、2度という人が多いのではないかと思います。
しかし、実は自宅での耳掃除にはリスクも付き物。池袋ながとも耳鼻咽喉科院長の長友孝文先生は次のように語ります。
「自分で耳掃除をすると、どうしても耳あかを奥に押し込んでしまう可能性があります。その結果、奥のほうにたまっていった耳あかが、耳栓のように耳をふさいでしまうことがあるので注意が必要です。また、耳掃除のやりすぎで内部の皮膚を傷つけてしまい、耳の入り口から鼓膜までの通路である外耳道の炎症(外耳道炎)を起こすことも考えられます」
長友先生によると、そもそも常用している耳かき自体がきれいに保たれているかという衛生面の問題もあり、その点では使い捨ての綿棒を用いるのが望ましいとのこと。
ただし、耳掃除をせずに放置しておくと、耳あかがたまりすぎて聞こえづらくなったり、まれに耳鳴りの原因になったりすることもあるそうですから、さじ加減が難しいところです。
では、そもそも耳あかとはなんなのかといえば、「はがれた皮膚や皮脂腺などが混じり合った分泌物です」と長友先生。
「耳あかには耳の中を弱酸性に保ったり、細菌や真菌をブロックしたり、乾燥を防いだりする役割があります。そのため、取りすぎも逆によくありません」
また、外耳道には自然に耳あかを排泄する自浄作用もあります。
「古い皮膚や鼓膜が新しく入れ替わるのと同時に、排泄される耳あかがベルトコンベアのように耳の外へ送られていきます。耳はあごの近くにあるため、咀嚼や会話の際に筋肉が動いて、こうした自浄作用が働くわけです。ただし、高齢になるとこのベルトコンベアの力が徐々に弱まり、耳あかを外に出せなくなってしまうことがあります」
結局、最も安全なのは自宅で耳かきを使って掃除するよりも、耳鼻咽喉科で耳掃除をしてもらうことだと長友先生は語ります。
「前述のリスクから、歯磨きのように耳掃除を習慣化してはいけません。ベルトコンベアの力が弱まっているご高齢の方は、耳に違和感を覚えたら自己判断せずに耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします」
なお、自分で耳掃除をする場合は、入り口から1㌢㍍の外耳道の壁をこするように奥から手前にさらりとかき出すことを心がけること。耳あかを奥に押し込んでしまわないようにくれぐれもご注意を。



