プレゼント

血管を強くする〝香り〟があるってホント?

健康常識のウソ・ホント[365調査隊が徹底検証!]

365調査隊

安心や懐かしさなどの感情・記憶を呼び起こす香り。アロマテラピーのように心をやす香りは知られていますが、最近の研究で、体の栄養となって心身を健康にする「香り」が注目を集めています。香りの最新研究について、調査隊が真相に迫ります。

スパイシーな香気成分で動脈の硬化を抑制!

香りの新たな効果の1つとして、血管を強くする働きが認められたという論文が発表され、話題を呼んでいます。

2022年に「βベータ-カリオフィレンが血管を保護する」という研究論文を発表し、世界的に注目を集めているきん大学教授のざいのぶひろ先生に話を聞きました。

「β-カリオフィレンとは、黒コショウやクローブ、シナモン、バジル、ローズマリーなどの植物に含まれる香気成分の1種です。マウスを使った実験で、この成分を嗅いだ個体は、そうではない個体と比べて、血管のだんせいせんが保たれたり、しなやかさが維持されたりといった作用が確認されたのです」

香気成分は微小な分子の集合体で、鼻を通して人体に作用するもの。β-カリオフィレンのスパイシーで温かみのある香りは食品にも古くから利用され、私たちにとって非常に身近であるだけに、この香りを吸入することで血管保護効果がもたらされるというのは驚きの事実です。

「例えば、マウスにニコチンを与えると、血管の弾性線維が破壊され、動脈のこうけっかんたんを引き起こす原因になります。ところが、併行してβ-カリオフィレンの香りを嗅いだ個体は、弾性線維の構造が保たれたばかりか、血管を物理的に引っ張って強度を測定する実験において、切れることなくしなやかに伸びるという、明確な差が確認されたのです」

財満先生によれば、これは人間にも同じ作用が期待できるそうです。実際に喫煙者を対象にβ-カリオフィレンを含む条件下で一定期間生活してもらう試験を行ったところ、「およそ4週間後から動脈の硬化が緩和される傾向が見られた」といいます。

「別のマウス実験では、β-カリオフィレンが体内の特定の受容体を刺激し、炎症反応を抑制することも判明しました。将来的に、動脈硬化や糖尿病、がん、認知症、歯周病など、慢性炎症をベースとする疾患の抑制にも応用できる可能性もあるでしょう」

長年、「血管」を重要な研究テーマとしてきた財満先生。日本人の死因の約2割が血管系の疾患といわれる中で、香りによってそのリスクが少しでも抑えられるなら、これほど心強いことはありません。

「香りには、確実に人の世界を変える力があります。それは生活ががらりと変わる大きな変化ではないかもしれませんが、日常にそっと寄り添い、ケアしてくれるものなのです」

誰でもすぐに実践できる新しい健康法。さっそく取り入れてみてください。


365調査隊とは
ちまたにあふれる健康常識の真偽を検証するために編集部員とプロアスリートで健康マニアのライター・友清哲ともきよさとし氏が「365調査隊」を結成! 各分野の専門家を取材して健康常識の真実に迫ります!