理学博士 大野 秀隆
「糖尿病患者はウイスキーなら飲んでもいいが、ビールはよくない」といわれます。本質的にはその考えは誤りです。総カロリー及び、ほかの栄養とのバランスを配慮すれば、ウイスキーでも日本酒でもビールでも同じことなのです。
ただし、それぞれのお酒の種類に含まれているほぼ同じ量のアルコールを飲んだとすれば、カロリー面を考えると大きな差があります。特にビールの場合は顕著で、アルコール量に比べてカロリーが大です。しかも糖質が多く含まれていますから、ウイスキーや日本酒とは別の配慮が必要といえます。この配慮を怠ると、カロリーや糖質の摂取量が過剰となって、糖尿病が悪化する危険度が高まります。
では、どのようにして禁酒をしたらいいのかというと、まずは、総カロリーの枠を守り、栄養素のバランスを大きく崩さないことです。そのためには、アルコールの摂取量は日本酒に換算して180ml、つまり1合程度にします。また、治療に悪影響を及ぼさないように、過剰に酔っ払うのも控えましょう。晩酌をするときは、アルコールの摂取量を明確に定めて、その量を織り込んだ食事の計算を立てるべきです。 アルコールは主として脂肪と交換して考えるのが望ましいのですが、ビールなどの糖質が多く含まれるお酒を飲むときは、ビールの部分のカロリーは糖質と交換します。すでに合併症が起こっている糖尿病の患者さんは、禁酒しなければなりません。