365調査隊
満足感のある食事をとった後、ゴロンと寝たいと思った経験は誰にでもあるでしょう。食後にリラックスすることは消化を促すものの、ゴロンと寝るのは体にどのような影響を与えるのでしょうか……。食後の姿勢に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
誤った姿勢で休憩すると胸焼けのリスクあり
昔からよく、「食後すぐに寝ると牛になる」といわれます。これは、食べたその場ですぐ横になるのは行儀が悪いという戒めを意味するたとえ話と思われます。
ところが、医学が発達した昨今、食後すぐに休むのは健康にいいという意見も聞こえてくるようになりました。
いったいどちらが正しいのか? 大阪本町メディカルクリニック院長の濱田達雄先生にお聞きしました。
「食後に休憩を取ることには、消化の観点からメリットがあります。というのも、食後は胃腸への血流が増して消化活動が活発になるので、体を休ませることでほかの部位への血流を抑えられ、そのぶん、消化器官に十分な血流が確保されます。その結果、消化がスムーズに進むわけです。また、リラックス効果で副交感神経が優位になり、それが消化機能の活性化を促すことにもつながるでしょう」
ただし、休憩を取る際の姿勢や体勢には注意が必要だと濱田先生は語ります。
「横を向いて寝るのはおすすめできません。休憩する時はリクライニングチェアやソファを使うなど、座位の姿勢をおすすめします」
同様に、前傾に丸まった姿勢やうつ伏せの体勢も、消化器官の働きを阻害するので逆効果。濱田先生によれば、寝た状態から上半身を30度ほど起こした姿勢を、10~20分程度保つのが理想なのだそう。
「長時間の休憩は、逆に代謝を遅らせる可能性があります。長くても30分以内を目安にするのがいいでしょう」
また、休憩だけではなく、体に負担をかけない軽めの散歩は、胃腸の血流を促進して消化を助けるほか、「血糖値の上昇を抑える効果も期待できる」と濱田先生。つまり、食後すぐに寝るのは消化器官に余計な負荷をかけないメリットがありますが、注意点があり、正しい姿勢や体勢で体を休めたり、30分以内を目安にしたりすることも大切というのが真相のようです。
なお、濱田先生によれば、このほかにも適切な消化を促すために意識しておきたい習慣があります。
「食事の際にはよく噛むことです。食べ物が細かく砕かれ、唾液としっかり混ざることで胃腸の負担が軽減されますし、唾液と一緒に胃液の分泌も活発になります。また、食事は急いで食べるよりも、リラックスしてゆっくり楽しむことを心がけてください」
食事は誰もが毎日繰り返し行うものだけに、こうした習慣を養うことが、健康に長生きすることにつながるのです。