365調査隊
変化の激しい現代の社会情勢は、ストレスを多く抱えやすいといわれています。ストレスで健康を害すだけではなく、体臭も悪化して周りに不快な思いをさせているかも……。そんな体臭に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
金属的な臭いがしたらストレス過多⁉
現代人にはなにかとストレスが付き物です。人間関係に悩んだり、仕事に疲れて心の余裕を失ったり、あるいは社会情勢や政治に憤りを覚えたり……。
「風邪は万病の元」ならぬ、「ストレスは万病の元」といわれることもあるように、ストレスを放置するのは健康の大敵。おまけに、ストレスは体臭を悪化させる一因になるという、まことしやかなうわさも耳にします。しかし、ほんとうに人の体臭は精神状態によって変化するのでしょうか? たいや内科クリニック院長の加藤大也先生に聞いてみました。
「これは事実です。人はストレスを感じると、交感神経が過剰に刺激されます。すると、副腎からアドレナリンが分泌され、体内にさまざまな変化が連鎖的に起こります。皮脂や汗の分泌量が増えるのもその1つで、これが独特の体臭を引き起こす要因になるのです」
具体的には、皮脂に含まれるスクワレンや脂肪酸といった成分が、ストレスによる活性酸素の増加とともに酸化し、ノネナールやアルデヒド類といった臭いの強い化学物質を生成してしまうというのがそのメカニズム。こうして引き起こされる臭いが「ストレス臭」だと加藤先生は語ります。
「慢性的なストレスが自律神経を乱すことで、汗にアンモニアや乳酸が多く出てしまうこともストレス臭の原因になるので要注意です」
ストレス臭は「酸味のある臭い」や「金属的な臭い」などと表現されるのが特徴です。特に頭皮や首すじ、背中など、皮脂腺が多い部分で強くなる傾向があるため、エチケットの意味でも気をつけたいところ。しかし、体臭は自分では気づきにくいのが難点でもあります。
「自分の体臭に気づきにくいのは、嗅覚疲労が主な理由です。人の嗅覚は、同じ臭いを長時間嗅ぎつづけると慣れてしまい、その臭いに対して鈍感になる性質があるのです」
そこで、定期的に衣類や寝具を嗅いだり、親しい他人に尋ねたりするなどしてチェックするのがおすすめ。加藤先生によれば、体臭の変化は健康状態を示す重要なサインとなることがあるそうなので、なおさらです。
「例えば、糖尿病が進行すると、代謝異常で甘酸っぱい果物のような臭いがします。また、肝機能が低下するとアンモニアの代謝がうまくいかず、腐敗臭やカビのような臭いが発生することもあります」
「たかが体臭」と侮ることはできません。体を清潔に保ち、バランスのいい食事やストレス発散などを習慣にして、快適な生活を心がけましょう。