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国内唯一!活性酸素を除去する〝命水〟を長野県伊那市から広めています

ニッポンを元気に!情熱人列伝

有限会社いすゞ 代表取締役社長 織井 常和さん

仕事の引退後に掘った井戸水が評判になり大学と研究を開始

[おりい・つねかず]——長野県伊那市生まれ。大工修業を経て、1964年に株式会社織建を創業。以後、約40年にわたり、地域密着の工務店として建築業に携わる。2003年に掘削した深井戸水が評判となり、学術機関との研究を開始。信州大学、日本薬科大学、鳥取大学、名古屋市立大学の研究で多くの機能性が確認される。2005年に有限会社いすゞを設立し、名水以上の機能性が期待できる"命水"の普及に努めている。

今回の情熱人は、長野県伊那市で「ときわの命水」と呼ばれる機能水の普及に尽力している織井常和さん。全国各地に名水と呼ばれる湧き水は多くありますが、織井さんが手がける水は、おいしさはもちろん、期待できる健康効果も群を抜いていると、健康意識の高い人たちから注目されています。愛飲者たちから、「名水を超えた命水」と呼ばれるこの水に織井さんが携わるようになったのは、今から20年ほど前のことでした。

「私の本業は大工職人です。職人としての修業を終えた後、26歳で独立。会社を設立してから腕一本で仕事をしてきました。住宅を中心に、携わった建築は1000戸以上。この地域には、私が手がけた住宅がたくさんあるんですよ」

そう笑顔で語る織井さんは、長年にわたって大工の棟梁として地域密着の「ものづくり」に携わってきました。そんな織井さんと命水との出合いは還暦を過ぎた頃。会社の経営を息子さんに譲り、会長職として若い職人たちを見守ろうとしていた時のことだったといいます。

「第一線を退いてのんびりしようと決めた時に、昔のようにおいしい水を毎日飲みたいと思ったんです。昔はどの家にも井戸があって水を飲んでいたなあと思いながら、ふと亡くなった親父の姿が思い浮かびました。親父は亡くなる直前に水を欲して、飲み終えた時に『うまいなあ』といったんです。親父が飲んだ最期の水でした」

「ときわの命水」が出荷される工場では、水を直接、購入できるスペースを併設

父親が絶賛した水をもう一度、飲みたいと思った織井さん。当時使っていた井戸は枯れてしまっていたことから、すぐ横を掘って新しい井戸を造ろうと思ったそうです。

「井戸を掘っても水源に当たるとは限りませんが、地下100㍍ほどに水脈がありました。飲んでみると、とてもおいしく、親父が褒めていた水だと思いました。地下の水脈は、高低差が10㍍ずれると異なる水質になることがあります。私の井戸水が評判になってから、井戸を掘りはじめた近所の人もいましたが、同じような水質ではなかったそうです」

さまざまな健康効果を期待して"命水"を求める人が全国各地から訪れている

そのように当時を振り返る織井さん。以後、おいしい井戸水を地域の人たちに解放していると、思いがけない声が寄せられるようになったといいます。

「井戸水を飲んだご近所さんから、『織井さん家の井戸水を飲んだら元気になった』『家じゅうで風邪を引かなくなった』といわれるようになったんです。そんな声が増えていくうちに、もしかしたらうちの井戸水にはすごい秘密があるんじゃないかと思いました」

織井さんは井戸水の水質を確かめるために、専門の検査機関に井戸水の分析を依頼。反応は驚くべきものだったそうです。

「井戸水を分析した所長さんが直々に電話をかけてきて『この水はすごい!生まれた時からこの水を飲んでいれば120歳まで生きられる要素がある!』とおっしゃったんです」

かつては海だった南アルプスならではの特長をあわせ持つ機能水

検査機関の所長から、地元・信州大学での研究をすすめられた織井さん。大学との縁はなかったものの、井戸水の秘密を知りたい一心で大学に問い合わせをしたそうです。

「私は今から40年前に地域の有志たちと『伊那発明学校』というものづくりの同好会を立ち上げて活動を続けています。私自身も国際特許一つを含む計九つの特許と実用新案三つを取得し、会員の皆さんが考案したユニークな発明品で会を盛り上げてきました。ものづくりの観点からも、知らないことを調べたり、新しいことを構想したりするのが好きなんです。大学との共同研究にかかる費用は決して安くありませんが、とにかく井戸水の秘密を知りたいと思いました」

織井さんの情熱が届き、信州大学との共同研究が開始。農学部の井上直人教授(当時)の研究チームによって、活性酸素を除去する作用があることが確認されたのです。活性酸素は、酸化作用の強い酸素のことで、体内で増えると全身の細胞をサビさせる原因になります。活性酸素が体の中で過剰に増えると老化や病気の原因になるため、健康維持やアンチエイジング(抗加齢)には活性酸素の対策が欠かせないとされています。

「井上先生からは、『この井戸水には、4種類ある活性酸素のうち2種類を除去する機能があります』と説明がありました。毎日飲む水で健康を維持できるなら、こんなにありがたいことはありません。地域のみならず、全国の人が健康増進のためにこの井戸水を飲んでほしいと思いましたが、信州大学以外の大学とも研究を深めるべきだと思いました。より確かなデータを取って〝すごい水〟というお墨付きをいただいてから普及を図りたかったんです」

その後、織井さんは名古屋市立大学との共同研究を開始。岡島研二教授(当時)の研究によって、井戸水が海洋深層水の側面を持っていることが分かりました。

「海洋深層水は水深200㍍以上にあり、表層の海水とは異なる性質を持つ水のことです。標高約3000㍍の南アルプスは、約100万年前には海中にあり、隆起によってできたとされています。そのため、南アルプスの伏流水は海洋深層水の性質も持っているそうです。信州には貝が見つかったり、『塩』の名称がつく地名が多かったりします。信州の山々が海と密接な関係にあるなんてロマンがありますね」

その後、織井さんの井戸水は、日本薬科大学の研究でも活性酸素の除去作用が確認され、鳥取大学医学部とも研究を実施。その結果、主に以下の特長があることが分かり、二つの大学が論文を発表しています。

活性酸素3種の除去作用

4種類ある活性酸素のうち、2種類(過酸化水素・一重項酸素)の除去作用を信州大学が確認。以後の研究で、新たに1種類(スーパーオキシド)の活性酸素も除去できることを日本薬科大学が確認。

動物実験で認知機能の向上を確認

加熱しても活性酸素除去能を維持

抗加齢・健康増進作用を発揮するインスリン様因子が増加

ダイアグラム分析により、おいしい水の指標の高さを確認

大学での研究結果が続々と発表された織井さんの井戸水は地域で話題を集め、地元自治体・伊那市の記者室で信州大学が公開記者発表を開くまでに発展。会見当日は、3社のテレビ局と11社の新聞社が市役所の会見場に押し寄せたそうです。

「活性酸素の除去をはじめ、従来の井戸水では成しえない特長の数々を会見で発表しました。そのほかにも、この井戸水を使うことで、そばの食感がよくなったという研究結果もあります。長野県はそばの産地ですから、井戸水を使ってそばの味がもっとよくなったら地域振興につながると思います」

織井さんは大工としての腕を生かして、丸太から掘り出したチェーンソーアートを趣味にしている

織井さんは大工としての腕を生かして、丸太から掘り出したチェーンソーアートを趣味にしている。

その後、織井さんは行政機関と保健所の厳しい審査を経て、「ときわの命水」と命名した水の販売を始めます。

「井戸水を詰めたボトルにはキャッチフレーズとして『活性酸素の除去作用が極めて高い』という一文を入れています。水の販売には公的機関の厳しい審査があるのですが、大学の研究で確認された事実が後押しとなり、表現の承認をいただきました。名水ではなく〝命水〟というネーミングにこだわったのも、期待できる健康効果が立証されている自信の表れです」

「ときわの命水」はクチコミで評判が広がり、工場の敷地内にある販売所には全国から多くの人が井戸水を汲みに訪れています。織井さんは通信販売も開始し、期待できる健康効果を全国に広める活動を展開しています。

「研究で実証された健康効果は、多くの方に役立てられてこそ意味があります。とはいえ、家を建てる腕には自信がありますが、商品販売の腕前はまだまだですね(笑)」

そういいながらほほえむ織井さん。ある老人施設にお願いして、ときわの命水を3ヵ月間飲んでもらったところ、入所者の表情が明るくなったり、髪が黒くなったりしたことから、高齢者の健康増進に対する効果に一段と自信を深めているそうです。

3年前には、ときわの命水に独自の技術で高濃度酸素を溶かし込んだ「ナノバブル酸素水」を開発した織井さん。美容やアンチエイジングのほか、呼吸機能の低下から酸素不足に陥りやすい肺疾患の患者さんにも広めていきたいと話してくれました。