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肝臓は再生する臓器ってホント?

健康常識のウソ・ホント[365調査隊が徹底検証!]

365調査隊

栄養素の代謝や解毒げどくなど、生命維持に不可欠な働きを担う肝臓。肝臓を手術で切除しても元の大きさに戻ると耳にしますが、果たしてほんとうなのでしょうか……。肝臓に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。

肝臓の70%を切除しても数ヵ月で再生

楽しいお酒の席では、ついつい飲みすぎてしまうもの。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、やまいにむしばまれていても自覚症状が伴わないことが多いと耳にします。気づいた時には取り返しのつかない状態になりかねないので、日頃からいたわってあげなければなりません。

ところで、「休肝日」という言葉がありますが、飲酒にあたって肝臓は具体的にどのような仕事をし、そしてどのくらい休ませるべきなのでしょうか。てんのうやすえ消化器内科・内視鏡クリニックのやすひろ先生に聞いてみました。

「肝臓は体内に入ったアルコールを分解し、体に害のない形に変える働きをしています。しかし、その処理能力には限界があり、休みなく酷使しつづけると肝機能が低下し、肝炎や脂肪肝、さらにはかんこうへんへと進行するおそれがあるので要注意です。肝臓はほかにも栄養の代謝、脂肪の消化を助けるたんじゅうの生成など、人が生きていくうえで欠かせない、500以上の働きを担っているといわれていますから、なおさらですね」

普段あまり意識することのない臓器でありながら、極めて重要な役割を担っている肝臓。だからこそ、休肝日を確保することが大切ですが、お酒好きな人ほど、どのくらい我慢すればいいのかが悩みどころです。

「推奨されるのは、週に2日以上の休肝日を設けること。これは単に肝臓を休ませるだけではなく、慢性的な炎症の進行を防ぐためにも大切な習慣です。飲酒する日が続くほど肝臓への負担は大きくなりますので、週の途中で意識的に休肝日を設けるのがいいでしょう」

なお、健康的なアルコール摂取量としては、男性の場合は1日にビール中瓶1本程度、日本酒なら1合程度、女性の場合はその半分ほどに抑えるのが理想とされています。しかし、これはあくまで目安にすぎず、年齢や体調、肝機能の状態などによって左右されるため、「以前より酔いやすくなったり、翌日に残りやすくなったりすると感じる場合は、肝臓がアルコール処理に時間を要するようになっているサインと考えるべき」と安江先生は語ります。

「一方で、肝臓は非常に再生力の高い臓器でもあります。例えば、手術で肝臓の70%を切除しても、数ヵ月から1年程度で元の大きさまで再生することが医学的に知られています。ところが、こうした再生力も肝硬変などを患うと著しく低下して機能回復が難しくなってしまうので、日頃からのケアがなによりも重要なのです」

肝臓をいたわることは、健康を守る第一歩と心がけましょう。


365調査隊とは
ちまたにあふれる健康常識の真偽を検証するために編集部員とプロアスリートで健康マニアのライター・友清哲ともきよさとし氏が「365調査隊」を結成! 各分野の専門家を取材して健康常識の真実に迫ります!

安江千尋先生が診療されている天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニックの連絡先は、
〒543-0056 大阪府大阪市天王寺区堀越町11-11 天王寺ガーデンスクエア3F ☎06-6779-1150です。