指圧Livin院長 新田 英輔
リハビリを受けても効果が得られなかった脊柱管狭窄症の痛みが新田式指圧療法で解消
腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症と略す)の最も特徴的な症状は、しばらく歩いたり立ったりしていると、下肢に痛みやしびれ、だるさなどが生じる間欠性跛行という歩行障害です。
間欠性跛行が起こる原因は、神経の圧迫にあるといわれています。加齢をはじめ、さまざまな原因によって椎骨や軟骨、椎間板、黄色靭帯が変形・肥厚すると、背骨の腰の部分にあたる腰椎の脊柱管が狭くなります。脊柱管が狭窄した状態が続くと、脊柱管の内部にある神経や血管が徐々に圧迫されて血流が悪化。神経に浮腫や炎症が起こり、足腰の痛みやしびれなどが現れると考えられています。
神経の障害以外に脊柱管狭窄症の痛みが起こる原因として、筋肉のこり(過度な収縮)が挙げられます。筋肉がこることで痛みが起こる理由は複数ありますが、その一つが血流障害です。筋肉がこりによって硬くなると、中にある血管が収縮して血流が悪くなります。その結果、筋肉にたまった疲労物質や発痛物質がうまく排出されず、痛みが生じると考えられています。
筋肉のこりが生じる原因の一つに、毎日の姿勢の悪さがあります。私が院長を務める指圧Livinで行っている指圧や指導しているストレッチなどは、緊張して収縮してしまっている筋肉を指圧し、全身のバランスを調整することで高い効果を出しています。
筋肉のこり対策として最適な手技が、私たち指圧師の専門であるツボ刺激とストレッチです。例えば、脊柱管狭窄症と診断されて私の治療院を訪れたAさん(70代・男性)は、整形外科でリハビリを2年間受けたものの、間欠性跛行の症状が改善しなかったそうです。
ところが、当院で指圧とストレッチ指導を受けたところ、Aさんの症状は徐々に軽快し、2年後には劇的な改善が見られました。当初は5分しか歩けなかったAさんの歩行時間は、最長72分と14倍以上に延びたのです。私はこのAさんの症例を論文にまとめ、日本指圧学会で発表しました。
この記事では、私が脊柱管狭窄症の患者さんに指導している「新田式ストレッチ」「新田式指圧療法」をご紹介します。
腰の筋肉はとても大きく、腰回りだけではなく、肩甲骨やお尻にまで及んでいます。そのため、肩やお尻の可動域が狭くなることでも腰の筋肉がこりやすくなります。タオルを使った新田式ストレッチで肩・腰・お尻の筋肉の可動域を広げましょう。
指圧は自分で行わず、受けることに徹しましょう。受ける時は力を抜いてリラックスすることが大切です。力んだ体は筋肉が硬く、施術側の指が深く入らないため指圧の効果が激減します。自分で指圧すると力が入ってしまうので、第三者に指圧してもらいましょう。
指圧は腕に力を入れず、体重を乗せて圧をかけるのがコツです。こっている筋肉に対して垂直に、ある程度の時間をかけて、徐々に圧を加えてその後に徐々に力を抜くことで効果が高まります。腕の力だけで指圧をすると無駄な力が入りやすく、指圧を受ける人の筋肉を緊張させてしまうるので注意しましょう。
今回ご紹介したツボを指圧することで、腰回りのこりが軽くなることを実感できると思います。注意点として、筋肉は全身と連動しているため、こりも全身で起こります。より長期的な改善には、今回紹介した三つのツボの指圧だけでは不十分です。また、患者さんの一人ひとりで姿勢のゆがみの状態は異なり、全身をただ揉んだり指圧したりすればいいというわけでもありません。
指圧は厚生労働省に認可された、あん摩・マッサージ・指圧師という国家資格が必要な手技です。指圧は施術者の経験や手技の有無によって得られる効果が変わります。高い治療効果を得るためにも、治療院で国家資格の有無を確認するといいでしょう。