365調査隊
国民の約8割がスマートフォン(以下、スマホと略す)を持つといわれる現代。デジタル機器の普及に伴って眼精疲労に悩む人が増加しています。「目が疲れたら緑を眺めるといい」といわれますが、果たして効果のほどはいかに……。目の休息法に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
遠くの風景を眺めることが眼精疲労に有用
スマホやパソコン、タブレットなどの普及によって、現代人の目はとにかく疲れがち。しかし、目は末永く健やかな状態を保ちたい大切な器官ですから、少しでもいたわっておきたいものです。そこで気になるのが昔からよくいわれる「目が疲れたら緑を眺めるといい」といううわさ。これが事実なら、ぜひ日頃から意識して習慣づけたいところですが……。海老名駅前眼科の早川卓浩先生に話を聞きました。
「色彩としての緑色には、視力をよくする効果はありません。ただ、緑を見ようと意識して遠くにある景色を眺めるのは、目にとっていいことです。というのも、遠くの景色を見ることで目のピント調節を行う毛様体筋が弛緩し、目が休息できるからです。スマホやパソコンなど、近くのものを見つづける現代人の生活では、毛様体筋が緊張しやすく、それが眼精疲労の原因となります。そこで、遠くを見ることで目のピント調節機能を休ませられれば、疲労改善につながるわけです」
つまり、ここでいうところの「緑」とは、カラーではなく自然の風景を意味するもの。早川先生によれば、遠くを眺めることで近視が治ることはないものの、近視の進行を抑える効果が期待できるのだそうです。
「緑色を見ていると気分がリラックスして、副交感神経が優位になるという研究結果もあります。その場合、結果として目の緊張がほぐれることはあるかもしれませんが、それが近くにある緑色だった場合、結局は毛様体筋を緊張させてしまうことになりますから、目の疲労回復に効果はないと考えられます」
つまるところ、レーシックなどの外科的手術で視力を矯正することはできても、裸眼視力を根本的に上げるのはなかなか難しいのが現実と早川先生は語ります。それでも、目の疲れは放置すべきではありません。
「眼精疲労がひどくなると、目の疲れだけではなく、頭痛や肩こりなどの症状を引き起こすこともあります。できるだけスマホやパソコンなどの画面を見る時間を減らし、目を休める時間を増やすことが大切ですが、パソコンを使って仕事をしている人には難しいのも事実です。そこでせめて、作業中に一時間おきにでも遠くをぼんやりと見て目を休める時間を作るよう意識してください。パソコンの場合、なるべく文字を大きく設定して、顔の位置を画面から離して作業をするのもいいですね」
目の周辺を蒸しタオルで温めたり、マッサージをして血行を促進したりするのも、目の疲労回復に効果的です。ぜひ今日から試してみてください。