プレゼント

第22回 スケジュール管理をなにでしていますか?

ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる

雨野 千晴

スケジュール管理をなにでしていますか?

[あめの・ちはる]——北海道生まれ。北海道教育大学札幌校卒業。公立小学校教員として10年間勤務。2017年にADHD(不注意優勢型)と診断。現在はADHD専門ライフコーチ、NPO法人代表理事、福祉事業所スタッフなど"多動な"複業活動を展開中。

雨野あめのさんはいろんなことをやっているけれど、スケジュール管理はどうしているの?」とよく聞かれます。ADHD脳タイプは、行動量が多くなりがち。頭の中では常に妄想が暴走。あれやりたい! これやりたい! と、わくわくの種がいっぱいになっている人も多いはず。そんな私たちは、新しいこと、やりたいことをスタートするのも得意で、見切り発車で走り出すこともしばしば。それが仕事につながったり、新たな出会いを引き寄せたりと、強みにもなる部分なんですよね。しかし! なにかを始めれば、そのぶんそれに伴って新たな行動と予定が増え、やることも増えて、ダブルブッキングやトリプルブッキングが発生! という状態に陥るのです。

ではどうすれば……を考える前に、ADHDの多動脳が常に予定いっぱいの理由をひも解いてみましょう。

①時間の見積もりが苦手

ADHD脳タイプは「時間盲」なんていわれたりするのですが、「今と未来をつなげて考えるのが苦手」なことが多いんです。1時間で終わると思ったことに3時間以上かかったり、「これもできそう!」と見積もりが甘く、楽観的に考えてしまったり。「その後どうなるか」という見通しを持つのが苦手で、予定を詰め込みすぎてしまうんですよね。

②断るのが苦手

軽い気持ちで「やります!」と、その場の勢いで引き受けてしまう。「後のことは後で考えればいいか。なんとかなるか!」と、予定の見通しを立てるよりも「それ楽しそう!」「みんなが喜んでくれるなら!」という目の前の刺激を優先して後から「なんで引き受けちゃったんだろ~⁉(泣)」となるパターンです……。

③空白が怖いという不安感

ADHD脳タイプは予定がないと落ち着かず、スケジュール帳に空白があると、つい埋めたくなる……そんな感じを持つ方も多いんです。「退屈が苦手」「なにもしてないという焦り」「予定がないと落ち着かない、何をしていいか分からない」。そんな心理が影響しているようです。

ちなみに私は、スケジュールが埋まっているのを眺めるだけで、なんだか達成感があったりします。でもそれって実は危険信号。詰め込みすぎてパンクする。情緒不安定になり、周りに迷惑をかけて自己嫌悪のループに陥ってしまうことも……。

では、そうならないためには? 

①「今週のキャパシティーは何%?」という自己チェックをする

1週間を振り返って、今週の自分のキャパシティーは何%だったかと自分に聞いてみる。疲弊している、睡眠が足りていないといった状況があるなら、数値化して振り返り、気づくことから始めてみましょう。

②余白を作る

余白に名前をつけてしまうんです。「休み」というスケジュールをあえて入れる。なにもしない日を作る。1日が難しければ、半日でも3時間でもよいと思います!

③ちょっと考えるクセをつける

いったん寝かせる、1日置いてお返事をする。落ち着いて、「ほんとうにできるのか?」「ほんとうにやりたいことなのか?」を考えてからお返事してみましょう♪

そのうえで!冒頭のご質問にお答えすると、私は、Googleグーグルカレンダーに集約しています。手帳を使っていた時期もあったのですが、いつも持っていないとその場で書き込めず、後から書こうと思っても忘れてしまうことが多発。そこで私の場合は、常に手元にあるスマートフォンで管理するようになりました。Googleカレンダーは、詰め込み具合が視覚的にも分かりやすいので、この週はもう予定を入れないようにしよう、と感覚的にバランスを取りやすいです。

自分に合ったツールを使って、スケジュールも心にも「余白」を持っていきたいなぁと思うこの頃です。

イラスト/雨野千晴