雨野 千晴
スマホを忘れた一日、あなたなら、どうする?
皆さんは「スマホ」を持たずに出かけたことはありますか?
つい先日、私はとある講座を受講するためにいつもどおり、ぎりぎりに出発をして、自宅から最寄り駅まで小走りで向かっていました。駅が見えてきて、「乗車を予定していた特急に間に合う!」というところで、ハッとしました。なんと、スマホを持ってくるのを忘れてしまったのです。
ここで引き返してスマホを取りに戻れば、乗車予定の特急には確実に乗り遅れます。遅刻確定。だけど、このままスマホなしでたどり着けるだろうか……。目的地は東京です。しかも、スマホがあれば覚えなくてもいいだろう、と安心しきっていて、目的地の会場名さえ定かでない。電車の乗り継ぎも分かりません。講座を受ける場所の住所や主催者の連絡先などはメールで届いていたので、スマホがないと何も見られない……。やっぱり家に戻るしかないかな、という気持ちがよぎったのですが、「いや、試しに行ってみよう!目的地の最寄り駅だけは昨日確認したから覚えている!」と思い直し、そのまま特急に飛び乗ったのでした。
こうやって振り返って書き出してみると、よくこんな状況でそのまま行こうと思ったよな……と、我ながら思います(笑)。ともかく「なんとかなるか」精神でスマホを持たずに出かける一日が始まりました。
初めの難関は「乗り換えの電車が分からない」ということ。新宿駅から乗り換えをするのは覚えていたのですが、どの電車にどこから乗ればいいのかまったく分かりません。いざとなったら新宿の街を行き交う見知らぬ方に「すみません、乗り換えアプリで調べてもらえませんか……」と尋ね歩こうかとも思ったのですが、その前に運よく駅員さんを見つけることができました。
次の難関は、会場の最寄り駅は分かるけれど、会場が分からないということ。これは結構高いハードルですよね。しかし、おぼろげながら、講師の先生が勤務する大学での開催だったのではないか、ということを記憶の断片から絞り出しました。目的地の駅で降り、改札前にある地図を見てみると、すぐ近くに大学がある! 大学内の何階のどの部屋で開催なのかも不明だったのですが、学内で人に聞きまくり、なんとか場所のあたりをつけ、時間内に目的地へ到着できたのでした。
ADHD脳タイプの方は、うっかりミスを責められがちであったり、感情の揺れが大きかったりと、不安感が強い方や自己肯定感が低い方も多いそうです。二次障害としてうつを発病する方も。私自身もそうなのです。それでもどうにかこうにか生きていると、ADHD脳の柔軟な発想力や行動力でピンチを切り抜ける経験を、知らず知らずのうちに重ねることができている気がします。
今回の場合、無事に到着できた要因の1つは、「人に話しかけるのが得意」という自分の特徴を活用できたのかな?と思います。もちろん、前日に準備ができているに越したことはないのですが、ピンチに陥ったときは自分の得意を生かしてできることは何かな、と考えてみると案外うまくいくかもしれませんね!
この話をSNSに投稿したところ、「手帳を併用するといいですよ」とアドバイスをいただきました。それも1つの方法ですね。しかし、私の場合は有効ではありません。なぜかというと、その手帳も忘れる可能性があることと、スマホと手帳両方に書き込むのはめんどうでやらずに終わってしまうからです。年始に勇んで手帳を買っては3日で使うのをやめて真っ白なまま……ということを長年続けています(笑)。とはいえ、今後はスマホを忘れる可能性も頭に入れ、遠出の予定がある時はせめて前日には目的地の名前くらいは確認して、手の甲にメモをするという自分でもできそうな工夫を試してみたいと思います。