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ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる!第10回

ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる

雨野 千晴

心と体は連動している!「多動脳」を休める方法

[あめの・ちはる]——北海道生まれ。北海道教育大学札幌校卒業。公立小学校教員として10年間勤務。2017年にADHD(不注意優勢型)と診断。現在はADHD専門ライフコーチ、NPO法人代表理事、福祉事業所スタッフなど"多動な"複業活動を展開中。

「発達性協調運動障害」という言葉をご存じですか? 私は診断されたわけではありませんが、その傾向が強いのではないかな、と思っています。私の場合、ただ走るということは結構速いのですが、道具を使う運動がてんでダメなのです。例えばバレーボール。まず、サーブしたボールがまったくコートに入らない。何度やってもあさっての方向にボールが飛んでいってしまいます。テニスやソフトボールなどはさらにひどく、ラケットやバットにボールを当てることすらできません。

体を動かすこと自体は嫌いではないので、小学生のうちは、自分の運動音痴ぶりに全然気がついていませんでした。中学生になり、友だちが入るという理由でソフトボール部に入ってしまったからさあ大変。キャッチボールすらままならないのに、田舎の中学校で部員が少なく、どんなにへたっぴでも試合に出なければいけませんでした。バッターボックスで築き上げる三振の山。守備では外野(ライト)を守っていましたが、敵が私のポジションに打てばホームラン決定というありさまです。

土日も毎週、練習や試合があり、平日も始業時間前に朝練まであるという気合の入った部活でした。そこで私は、「よし! 自主朝練をしよう!」と思い立ち、朝練の前に30分早く登校し、一人で素振りをする。お年玉でマイバットを購入して、家でも素振り。壁に向かってボールを投げるなど、ソフトボールに明け暮れる日々を過ごしたのでした。その結果、どうなったかというと……。スイングだけはめちゃくちゃ美しくなったのですが、結局ボールをバットに当てることができず、変わらずある意味三振王。今でも覚えているのですが、引退試合の最終打席はセカンドゴロ。それでもバットに当たったということで、チームのみんなから「がんばったね!」といわれたのでした(笑)。

これだけやってダメなんだから、自分は運動に向いていないのだとようやく察し、その後運動はいっさいやらずに生きてきました。でも汗をかくことは好きだったんです。そこで、一人でできて誰にも迷惑をかけない「ヨガ」ならどうだろう?と、思いつき、教員時代にホットヨガを始めました。体を動かし、汗をかく。私は体が硬いので、ヨガの先生のような美しいポーズは取れませんでしたが、それでも「楽しい!」と感じて続けることにしました。1年ほど続けた後、妊娠を機にやめてしまったのですが、最近また再開したのです。きっかけは、昨年秋ごろに心身の調子を崩し、外出すらままならなくなってしまったことです。仕事を休み、ずっと家にいる生活。病院で投薬治療を経て、少し動けるようになった時、「まずは体を動かそう」と思いました。

私の通っているヨガ教室は、いくつものポーズを先生がどんどん誘導していきます。私はそれについていくのがやっと。でも、それがよかったんです。というのは、いつも多動にフル回転している脳の、考える暇がない(笑)。次はこのポーズ、次はこのポーズと、いわれるがままに体を動かし、終わった後は汗をかいて、不思議と気持ちもすっきり。さらに、シャワーまで浴びて帰ることができるのもありがたい。

メンタルが落ちてくると、お風呂に入るのもすごくおっくうになってしまうんですよね。体と心はつながっている。ヨガに通う、までいかなくても、ちょっと伸びをしてみたり、ストレッチをするだけで気分が切り替わったりすることもありますよね。頭の中が忙しいADHD脳の人には「体を動かす」ことも大切だなぁ、と感じたここ最近でした。

さて、ここで終わらないのが多動な私。体調が上向いてきて調子に乗り、今、ヨガインストラクターの「RYT200」という資格取得に挑戦しています。実技を含めて計200時間の講座を学ぶというもの。どうなることやら!? 試験に合格するように、皆さま応援してください! また一つ、肩書きが増えることになるかもしれません♪

イラスト/雨野千晴