日本先進医療臨床研究会理事長 小林 平大央
驚異的な新治療法は原因不明の難病に苦しむ患者さんの希望の光となるか?

現代の医学・医療の世界において、依然として「原因不明」とされ、多くの患者さんを苦しめている疾患群に関節リウマチや膠原病をはじめとする「自己免疫疾患」があります。本来、私たちの体に備わっている免疫システムは外敵から身を守る防衛機構ですが、これがなんらかの理由で正常な自己の細胞や組織を「異物」と誤認して攻撃してしまうのがこの病態です。
自己免疫疾患に対する現在の標準治療は、ステロイド製剤や免疫抑制剤を用いて過剰な免疫反応を強制的に抑え込む対症療法が主流です。しかし、副作用のリスクを伴ううえに、根本的な治癒に至ることは非常に困難とされています。
こうした難治性の疾患群に対して、まったく新しい視点から根本治癒を目指す画期的な治療法が注目を集めはじめています。それが、福島県郡山市にあるあさひ内科クリニック院長の新井圭輔医師が提唱する「A式自己免疫疾患治療」です。新井医師は、この新治療法を日本中に広めるため、新たに「理論医学臨床研究学会」という学会を設立し、理事長として自身が開発したA式自己免疫疾患治療を広める活動を開始しています。
新井医師は、自己免疫疾患を単なる不可逆的な免疫の暴走として片づけるのではなく、その発症から治癒に至るまでの作用機序を科学的な知見に基づいて徹底的に考察し、病気発症の原因と進行過程を独自の仮設を立てて再構築しました。具体的には、自己免疫疾患の発症と持続のメカニズムを「体内炎症反応(アジュバント)」と「自己免疫抗体の誘導」という一連のプロセスとしてとらえ、その強力な引き金となっているのが、現代日本人にまん延している過剰な糖質摂取による「血液中の高血糖」であると仮定したのです。
通常、医学領域で「アジュバント」とはワクチンの効果を高める免疫賦活物質(炎症促進物質)を指しますが、日常的な高血糖状態そのものが強力な炎症促進物質として体内で作用し、不要な炎症反応をあおり立てている、というのが新井医師の提唱する新理論と新治療法の核心です。
新井医師の仮説によれば、過剰な糖質摂取による慢性的な高血糖状態が慢性的なインスリン分泌の過剰を促し、インスリン分泌は活性酸素の増加を促進します。活性酸素は血管内皮細胞や全身の組織や細胞で炎症を発生させて自己組織の破壊をもたらします。そして、この自己組織破壊によって漏出した細胞片などが炎症促進物質として機能してしまいます。つまり、この仮説によれば、インスリンの過剰分泌が炎症促進物質を発生させるのです。
さらに、糖質の過剰摂取は腸内環境を悪化させて腸管漏出症候群(リーキーガット症候群)を誘発し、未消化たんぱくや毒素が血液中に漏れ出します。これらが複合的な内因性アジュバントとして機能し、本来抑制されているべき自己抗原への異常な免疫反応(自己免疫抗体の産生)を強く誘導してしまっていると推測されるのです。
この病態の根本原因を断ち切るため、A式自己免疫疾患治療では2つのアプローチを併用する手法を提案しています。
第1に、炎症の火種となる炎症促進物質の供給を根元から絶つための「糖質ゼロ療法(厳格な糖質制限食事療法)」を行い、食後の急激な血糖値上昇を防いで血液中をクリーンに保つことで、過敏になった免疫系を落ち着かせる土台を作ります。
A式自己免疫疾患治療では、第2のアプローチとして「IPD製剤(一般名:スプラタストトシル酸塩)」を活用します。本来、IPD製剤は気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に対して処方されるTh2サイトカイン阻害薬です。しかし、新井医師は独自の考察から自己免疫疾患の治療に応用し、いわゆる医薬品の適応外使用(ドラッグ・リポジショニング)による治療で大きな治療効果を上げる方法を発見しました。つまり、異常を起こした免疫回路が多量の自己免疫抗体を産生しつづける状態に対し、IPD製剤を投与することでその抗体産生回路のスイッチを切り、自己組織への攻撃を物理的にストップさせることを見つけたのです。

このように、糖質ゼロ療法によって新たな炎症の火種を消し、IPD製剤によって現在稼働中の抗体製造工場を停止させるという双方向からの理にかなったアプローチで、従来の対症療法では得られなかった高い治療効果をもたらす作用機序が成り立っているのです。
実際に、この理論に基づいた併用療法を自由診療の枠組みで行ったところ、驚くべき臨床結果が多数得られました。多岐にわたる自己免疫性・炎症性の疾患において治癒あるいは劇的な改善が数多く報告されており、その対象は関節リウマチ、脱毛症、白斑症、腎炎、再生不良性貧血、アルドステロン症、副腎髄質機能亢進症、間質性肺炎、たんぱく漏出性胃腸症、もやもや病、バセドウ病などにまで及んでいます。
診療科も標的臓器もまったく異なるこれらの疾患群が横断的に治癒・改善される事実は、「高血糖によるアジュバント作用とそれに誘導される自己抗体産生回路の異常」という共通の根本原因をこの治療法が正確に射抜いていることを強く裏づけているのです。
原因不明の難病とされてきた自己免疫疾患に対し、過剰な糖質摂取という現代のライフスタイルへの警鐘と、既存薬の作用機序の本質的な理解に基づく論理的な転用を融合させたこの手法は、根本治癒を目指す全国の志ある医師たちのネットワークを通じて、いよいよ多くの患者さんに対して実施される〝普及〟の段階へと移ろうとしています。これは、日本の医療に大きなパラダイムシフトをもたらし、自己免疫疾患に苦しむ多くの患者さんにとって確かな希望の光となることでしょう。
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