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「治る可能性がある」と意識を変えることでがんに負けない体になる

杉浦貴之の「治す力は自分の中にある!」
ミスター・メッセンジャー 杉浦貴之

[すぎうら・たかゆき]——1971年、愛知県生まれ。28歳のときに腎臓がんを発症し、両親には余命半年、2年後の生存率0%と告げられ手術を受ける。以後、『メッセンジャー』編集長兼シンガーソングランナーとして精力的に活動中!

4月13~14日は、ホノルルマラソンを目指すがんサバイバーたちが集まった〝チームメッセンジャー〟の関東合宿がありました。13日は昨年に続き、茨城県土浦市でトーク&ライブを行い、14日は40人近いメンバーといっしょに茨城県で開催されたかすみがうらマラソンに参加しました。

茨城県に向かう車の中で、『世界の哲学者に人生相談』というテレビ番組の音声を聴いていました。番組の中で取り上げられていたのは、20世紀に活躍した仏哲学者のメルロ・ポンティ。一生をかけて身体について研究し、『身体論』を発表したメルロ・ポンティの理論は「意識と体はつながっている」というものでした。

体を動かしているのは脳、いわゆる意識です。しかし、意識から命令がなくても体は動きます。それは無意識や潜在意識と呼ばれています。例えば、自転車の乗り方を覚えるとき、最初は意識して足を動かし、ペダルをこぎます。徐々に慣れてくると、意識をしなくても、無意識にペダルをこぎ、バランスが自然に取れるようになります。車の運転や歯磨きなども同じです。野球を経験した人なら分かると思いますが、ずっと野球をしていた私は、いつの間にか素振りをしているときがあります。あとは、ところかまわず歌うので、嫁さんに怒られます。ほんとうに無意識に歌ってしまうんです!

笑いと涙にあふれる杉浦さんのトーク&ライブは全国各地で大きな反響を呼んでいる

4月13日のトーク&ライブで披露した『ひねくれ者の歌』という歌があります。この歌はサビをみんなで歌うので、事前に集まってくれた方全員で練習しました。「冗談じゃない~ぜっ!」という歌詞を「冗談じゃない~Z!」にして、「Z!」をいっしょに叫んでもらうのです。

「冗談じゃない~Z!」「マジンガー~Z!」「フェアレディ~Z!」「アリナミン~Z!」と、どんどん盛り上がっていきます。皆さん、気づかれました? アリナミンは「A」か「V」なんです。「Z」はありません。でも、会場の皆さんはみんな「Z!」と叫んでくれます。

最初は意識して「Z!」と歌ってくれていたのが、だんだん無意識になっていくんですね。習慣化されると、間違っていても、それが答えだと認識し、声帯に反応します。でも、「オロナミン~」というと、「Z!」ではなく、みんな「C!」といえるんです。これだけ「Z」を連呼しても、CMなどでさんざん「オロナミンC」という情報を取り入れているので、無意識は「C」が優勢で、アリナミンは「Z」が優勢になったのです。

がんについても同じことがいえます。「がん=死」という概念を取り入れすぎると、「がん」という言葉を聞いただけで、「死」という反応が出てしまいます。私も最初はそうでした。

そこで私は、がんを克服された人の本を読み、会いに行き、異なる概念を脳にダウンロードしていきました。結果、「がん」といわれても、「治る可能性がある」という概念が優勢になったのです。「がん」を「ポン」といい換えるのもいいけれど、こちらのほうが概念を根っこから変えることができます。

トーク&ライブの後のマラソン前夜祭には、6年連続でホノルルマラソンに出て、担当医から「こんな例は初めて」といわれた方、毎年のように参加し、ステージⅣから復活した方、病室にダンベルを持ち込んでトレーニングしていた方など、レジェンドサバイバーと呼べる方がたくさんいました。このような環境に身を置くだけでも、体にはいい反応があると思います。

杉浦貴之 | 「命はやわじゃない」、がん・余命半年から19年を経過し、ますます元気になった男が伝えるメッセージ
杉浦貴之「がん余命半年から16年目を迎えて」 マガジンと歌とRUNで伝える「命のメッセンジャー」
この記事は「健康365」2019年8月号に掲載されています。