365調査隊
40歳前後から症状を自覚することが多い老眼。日常生活を快適に過ごすために老眼鏡は重要ですが、かけはじめたら老眼が悪化するといううわさを耳にします……。老眼に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
老眼鏡は補助器具であり進行を早めるは誤解!
細かい文字が読みにくかったり、視界がかすんだり、老眼が進んで不便な思いをしている人は少なくないでしょう。
そうかといって、安易に老眼鏡に頼ると、かえって老眼が進行してしまうという、まことしやかなうわさもあります。いったいどうすればいいのでしょうか? 海老名駅前眼科の早川卓浩先生に相談してみました。
「老眼鏡を使うと老眼が進行するというのは、完全な誤解です。老眼鏡は近くのものを見るための補助器具であり、ピント調節の負担が軽減され、目をらくに使うことができます。老眼の進行を早めるものではありません。逆に、無理に裸眼で見ようとすることで眼精疲労や肩こり、頭痛などを引き起こす可能性もあるので注意が必要です」
老眼は加齢に伴う生理的な変化であり、決して病気ではありません。年齢とともに、水晶体の弾力性が低下してピントの調節機能が衰えるのは、誰にでも起こる自然な現象なのです。
しかし、不便であることに変わりはありません。老眼は治療できないのでしょうか?
「残念ながら、根本的に老眼を治す方法は今のところありません。というより、病気ではないのですから、治療する必要がないんです。ただ、適切な矯正は必要でしょう。放置することで老眼が進行するわけではありませんが、見えにくい状態を我慢することは生活の質(QOL)を低下させる可能性がありますからね」
つまり、老眼によって生活に不便が生じたら、迷わず老眼鏡を使うのが正解。あるいは、遠近両用コンタクトレンズを用いたり、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術(白内障の手術の際に遠近両用機能を持つ眼内レンズを挿入する方法)を行ったりする選択肢もあります。
「ちなみに、ちまたではビタミンEやアントシアニン、ルテイン、ゼアキサンチンなど、目にいいとされる成分が多々あります。しかし、ビタミンEやアントシアニンには抗酸化作用こそ認められるものの、老眼への効果は限定的と考えられています。ルテインやゼアキサンチンにしても、老眼ではなく加齢黄斑変性という別の目の病気に対する効果が研究されているものです」
つまり、目の健康が気になる場合は、とにかくすぐに眼科医に相談するのがベストであると早川先生はいいます。
「せめて、目をあまり酷使しすぎず、暗い場所での作業を避けて目の負担を軽減するなど、日頃から目をいたわる習慣をつけてください。定期的に眼科検診を受けることも、なんらかの異常の早期発見につながるのでおすすめですよ」


