365調査隊
膨大な研究と臨床試験の末に承認されている特定保健用食品(トクホ)。〝健康の応援団″としてさまざまな働きが認められているトクホですが、体脂肪への影響はどの程度なのでしょうか……。トクホに関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
ケルセチン配糖体は内臓脂肪の減少に有効
太りやすい人にとって、ダイエットは常に切実な課題です。健康のためにも美容のためにも、体脂肪は少ないに越したことはないでしょう。
そこで気になるのが、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでよく見かける、特定保健用食品こと〝トクホ〟商品の数々。いずれの商品にも「体脂肪が気になる方に」「体脂肪を減らすのを助ける」といった文言が添えられていて、ほんとうに飲むだけで痩せられるなら、こんなにいい話はありません。でも、実際に効果があるのでしょうか?
「例えば、有名なサントリーの『特茶』に関していえば、臨床試験において12週間継続摂取した結果、内臓脂肪が5%から10%も減少するというデータが報告されています。BMI(肥満度の判定に用いられる体格指数)が25未満の、そもそも肥満体ではない人に対しては効果が期待しにくいものの、脂肪の蓄積を予防する効果は十分にあるといっていいでしょう」
そう語るのは、筑波胃腸病院の鈴木隆二理事長です。そのメカニズムは次のとおり。
「特茶には、ケルセチン配糖体という成分が配合されています。これは簡単にいうと、体内の脂肪を燃やすスイッチを入れる役割を果たすもの。つまり、体が脂肪をエネルギーとして使いやすくなるため、結果として脂肪が徐々に減っていくという流れが成立します。ただ、スイッチを入れるだけでは不十分で、運動やバランスのいい食事と組み合わせることで、より効果が発揮されるしくみになっています」
鈴木先生によれば、ケルセチン配糖体は、主に代謝が活発な内臓脂肪の減少に効果的なのだそうで、皮下脂肪に対しては分解が比較的遅く、効果が実感しにくい可能性があるとのこと。
また、トクホ商品にはほかにも、カテキンやカフェイン、ポリフェノールなどの機能性成分を含むものがあります。これらの成分の効果も気になるところですが……。
「これらの成分も同様に、脂肪分解酵素(リパーゼ)を活性化し、脂肪酸をエネルギーとして利用するプロセスを促進する働きがあります。また、血中中性脂肪の抑制にも有効でしょう。特にカテキンは内臓脂肪の減少に一定の効果が認められています。なお、飲み方としては、食事中や食後に飲むこと、そして1日に1~2本の摂取を3ヵ月以上続けることで、より脂肪の吸収を抑える効果が期待できます」
ただし、トクホ商品はあくまで補助のためのもの。食生活や運動習慣の見直しとセットで考えることが重要であることを、よく肝に銘じておきましょう。