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「頭痛」のツボ 風池・頷厭

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

つらい頭痛に悩まされたことはありませんか? 頭痛が起こると何もする気がなくなり、集中力を保つこともできません。ある調査によると、外来初診患者の約1割が頭痛を主訴として来院しているそうです。また、日本人の3~4人に1人(約3000万人)が「頭痛持ち」といわれています。頭痛はもはや〝国民病〟といってもいいかもしれません。

3000万人もの頭痛持ちの内訳は「緊張型頭痛」(2200万人)、「片頭痛」(840万人)、「群発頭痛」(1万人)の3タイプ(一次性頭痛)に大別されます。また、クモ(まく)()(しゅっ)(けつ)(ずい)(まく)(えん)、脳出血、(のう)(しゅ)(よう)、頭部外傷などの原因によって頭痛が起こる二次性頭痛(危険な頭痛)も存在し、中には命を落とす危険性のある頭痛もあるので要注意です。これらの頭痛を発症したら、早急に病院で診察・検査を受けることが大切です。

3つのタイプの頭痛の特徴について解説しましょう。

①緊張型頭痛の特徴
・後頭部から始まる鈍痛
・非拍動性で両側性の頭痛
・肩こりを伴うことが多い

②片頭痛の特徴
・典型的な片頭痛では、(せん)()(あん)(てん)(突然、視野の真ん中に太陽を直接目にした後の残像のようなキラキラした点が現れる現象)の前兆を伴う
・環境の変化やストレスで誘発されやすい
・発作性・反復性に現れる、拍動性の頭痛
・女性に多い

③群発頭痛の特徴
・中年男性に多い(男女比は五対一)
・大量の喫煙者(ヘビースモーカー)に多い
・目をえぐられるような激しい痛み、(がん)(けん)()(すい)(しゅく)(どう)、充血、(りゅう)(るい)、鼻閉、顔面紅潮などの症状があり、すべて片側に発症
・反復発作性で夜間に発症

頭痛が起こる原因としては睡眠不足や睡眠過多、環境の変化、精神的ストレス、疲労などが考えられます。特に、緊張型頭痛は眼精疲労や肩こりなどが原因となって起こると考えられています。片頭痛の場合は、チョコレート、チーズ、ハム(()(しょう)(さん)(えん)が関与)、赤ワインなどの誘発食品を控えることも大切です。群発頭痛は、飲酒および喫煙によって誘発されると考えられています。

では次に、タイプ別の頭痛対処法をご紹介しましょう。

緊張型頭痛の対処法
精神的・身体的ストレス、長時間座った状態の姿勢を取りつづけている場合に、首の後ろや肩周囲の筋肉が緊張して起こる頭痛です。

緊張型頭痛には、首および肩のストレッチが有効です。ここでは家庭で手軽にできる肩こり解消体操をご紹介しましょう。首の後ろで両手を組み、できるだけひじを横に広げて、(ちょう)の羽のようなポーズを取ります。ひじを最大に広げた状態で五秒間維持した後、一気に両ひじを下げて脱力させます。以上の流れを5回、計3セット行ってください。

片頭痛の対処法
片頭痛は、左右どちらかに起こる拍動性の頭痛です。拍動している部分に冷たいタオルなどを当てると、血管が収縮して痛みが軽減します。逆に、拍動している部位に温かいタオルを当ててしまうと、血管を拡張させて痛みが増してしまう場合があるので控えてください。

また、適量のコーヒー、紅茶、日本茶は、カフェインを含んでいるため血管の収縮を促します。痛みの軽減が期待できるでしょう。

群発頭痛の対処法
まずは飲酒や喫煙を控えて、頭痛外来などの専門医に()てもらいましょう。診察や検査を受けた後は、医師の指導のもとで投薬治療を優先的に行ってください。

私の専門である(しん)(きゅう)でも、頭痛に対して効果が期待できるツボがあります。今回は、「(ふう)()」「(がん)(えん)」という2つのツボをご紹介しましょう。

2つのツボへの刺激法は、「風池」のツボに親指を当て、反対側の目に向かって5秒間押し込んで刺激します。これを5回、計3セット行ってください。「頷厭」のツボ刺激は、人さし指と中指を軽く押し当て、5秒間程度、円を描くようにゆっくりと刺激してください。こちらも5回計3セット行うことで、頭痛の改善が期待できるでしょう。

由来
【風池】「風」は風の病。「池」は水のたまるくぼみ。いわゆる風邪(ふうじゃ)のたまるくぼみの穴という意味がある

【頷厭】「頷」とは頭を下げてうなずくという意味。「厭」は煩わしい、やっかいという意味で、うなずくことができないほどの病を治すことができるという意味からつけられた

効能
【風池】頭痛、カゼ、頸部痛、寝違え、めまい、眼精疲労、肩こり、背部痛、鼻炎、耳鳴りなど

【頷厭】片頭痛、眼精疲労、歯痛、めまい、耳鳴りなど