丸山
「健康365」の人気連載ページとして評判をいただいている「ニッポンを元気に!情熱人列伝」は、医療や健康、福祉の分野において、その名のとおり〝熱い情熱″を持って取り組んでいる情熱人を紹介しています。毎月3ページの記事は読んでみるとあっけないものですが、全国にいる情熱人を探し、取材を終えるまでの過程には思いのほか手間と時間がかかります。
「さて、今月はどんな情熱人に取材を依頼しようか…」と頭を悩ませていた時、ある情報源から「大きな野球盤を作ってイベントをしている人がいる」という情報が入りました。その情報源いわく、「とにかくすごいんだから見るしかないよ」と誘われ、大きな野球盤の正体を見に行くことになりました。
会場となったある学校の体育館に入ると…「おお~ッ!」確かに中央に置かれているのは野球盤!しかも想像以上にデカい!
野球盤といえば、昭和世代には「エポック社の野球盤」がおなじみの人気ボードゲーム。
野球場をかたどった50センチ四方のボード上で、パチンコ玉のようなボールを打つゲームです(昭和世代の方なら説明しなくても分かりますよね)。
記憶によれば、エポック社の野球盤には複数の種類があり、人工芝バージョンや、観客席が豪華なスタジアムバージョンもあったような…。グレードが高い野球盤を持っている友達がうらやましかったなあ…なんて、小学生の頃を思い出します。
話を戻しまして…体育館にドッシリと鎮座した野球盤でプレーする野球は正式に「ユニバーサル野球」といいます。鉄道車両整備を行う堀江車輌電装に勤務する中村哲郎さんが開発し、改良を重ねてきた、本物の野球場の20分の1スケールで作られた野球盤なのです。
取材当日の会場となった学校は、東京都立のある支援学校。体育館には、車イスに乗った青少年らが集まってプレーボールの瞬間を待っていました。中村さんは「体が不自由でも野球を楽しんでほしい!」いう熱い思いからユニバーサル野球盤を構想し、バットを振らなくてもボールを打つことができる野球盤を完成させたのです。
実際にプレーが始まると、想像以上の臨場感!バッターボックスにあるヒモを引いてバットを振り、ボールに当たると「カキーン!」と、まるで高校野球を見ているような金属音が鳴り響きます。バットにボールが当たったときの快音は、野球盤の製造開発において、中村さんがこだわった一つとのことです。ほかにも、本格的なシャツと審判用のマスクを着用した主審が「ヒットォ~!」「アウトォ~!」と高らかな声を上げてくれるのも、野球場ならではの臨場感を盛り上げます。中村さんを中心に、親御さんやボランティアスタッフの皆さんが一体となってユニバーサル野球のプレーを盛り上げている様子に心を動かされました。中村さんがユニバーサル野球盤を手掛けるようになった、ある少年との物語は、「健康365」4月号でお読みいただけます。