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「健康コスパ」を意識して節約しながら食の栄養価と満足度を高めましょう

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管理栄養士 浅野 まみこさん

同じ価格帯や似た商品でも体によい食品を選びましょう

[あさの・まみこ]——糖尿病の行動変容理論をもとに、総合病院・女性向けクリニック・企業を中心に18,000人以上の栄養相談に携わる。現在は、健康経営サポートをはじめ、レシピ開発や食のコンサルティング、
講演・イベント・メディア出演など多方面で活躍中。具体的な食品を使った独自の「実践型栄養アドバイス」が評判を呼んでいる。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで食品を買う時、皆さんは何を基準に選んでいますか?多くの食品が値上がりする中、健康を損なわない食材や食品選びに悩む人が増えています。20~60代の社会人男女約2400人を対象にしたある食品メーカーの調査結果によると、7割の人が「節約をしながら健康にも気遣うことに苦労を感じる・やや感じる」と回答しているのです。

「同じ価格や似た食品なら、できるだけ体によいものを選びたい」と考える人が増える中、管理栄養士の浅野まみこさんが提唱する「健康コスパ」の考え方が注目を集めています。健康を軸にしてコストパフォーマンスを考える食品の選び方で効率よく健康維持を図ることができます。「健康コスパ」について、浅野さんにお話を伺いました。

「私が提唱している『健康コスパ』とは、『健康を軸にしてコストパフォーマンスを見る』という指標です。1つの食材を購入した際に、どのような栄養素がどのくらい含まれ、さらに得られる価値やメリットまで分析することで、同じ価格で食材や食品を購入しても最大の健康効果をもたらすことを目指しています」

浅野さんによると、「健康コスパ」を考える際に必要なのは、以下の4つの軸だといいます。

①健康コスパ
②コスパ(費用対効果)
③タイパ(手に入れやすさ・アレンジのしやすさ)
④食品特性

この4つの視点を軸に、以下に挙げる4つの食品を例にしながら「健康コスパ」を見てみましょう。健康コスパを考えるなら、あなたはどちらを選びますか?

対決1:乳酸菌のみのヨーグルト対乳酸菌+ビフィズス菌入りヨーグルト

①健康コスパ(乳酸菌のみ<乳酸菌+B菌)

乳酸菌、ビフィズス菌どちらも整腸作用が期待できますが、乳酸菌は「乳酸」を作り出し主に小腸で働くのに対し、ビフィズス菌は主に大腸で働き、「乳酸」だけではなく短鎖脂肪酸の1つである「酢酸」も作り出してくれます。乳酸菌のみのヨーグルトよりビフィズス菌が入っている方が、健康コスパが高いと言えるでしょう。

②コスパ(乳酸菌のみ<乳酸菌+B菌)

どちらもほぼ同じ価格帯で販売がされていますが、「乳酸菌のみのヨーグルト」の方が少しだけ値段は高い場合があります。

③タイパ(乳酸菌のみ>乳酸菌+B菌)

「乳酸菌のみのヨーグルト」は、コンビニやドラッグストアなどほぼすべての店舗に置かれていますが、「乳酸菌+ビフィズス菌入りのヨーグルト」は、コンビニなどでは置かれていないことがあります。

④食品特性(乳酸菌のみ<乳酸菌+B菌)

ヨーグルトの味の特徴である「酸味」を比較的強く感じるのは「乳酸菌のみのヨーグルト」。ビフィズス菌は酸に弱い性質があるので「乳酸菌+ビフィズス菌入りのヨーグルト」の方が、酸味が抑えられ、まろやかさを感じるものが多いです。

対決2:木綿豆腐対絹ごし豆腐

①健康コスパ(木綿>絹ごし)

木綿豆腐は、大豆本来の栄養素であるたんぱく質やカルシウムなどが多く含まれ、絹ごし豆腐に比べて栄養価が高くなっています。絹ごし豆腐は水分量が多く、栄養価はやや下がるものの、低カロリーでカリウムが多いのが特徴です。

②コスパ(木綿=絹ごし)

どちらも1年を通じて手頃な価格で購入できます

③タイパ(木綿<絹ごし)

絹ごし豆腐は、コンビニエンスストアでも売られていることが多く、サラダや白和えなどの惣菜メニューも多数あり、より身近で購入しやすいといえるでしょう。木綿豆腐は焼く、煮るなどの調理には適していますが、コンビニエンスストアなどでは扱っていない店舗もあります。

④食品特性(木綿<絹ごし)

軟らかさという観点から比較すると、歯ごたえのある木綿よりも軟らかくてツルリとしたのどごしが特徴の絹ごし豆腐を上位としました。

対決3:ツナ缶対サバ缶

①健康コスパ(ツナ缶<サバ缶)

脂質が少ないあっさり味のツナ缶に比べて、全体的な栄養価はサバ缶のほうが高くなります。さらにサバ缶はツナ缶に比べて血液の凝固低下作用や認知症の予防効果も期待できる「オメガ3脂肪酸」を多く含んでいます。カルシウムやビタミンD、鉄、亜鉛、ビタミンEなども

豊富に含まれるサバ缶の圧勝といえるでしょう。

②コスパ(ツナ缶<サバ缶)

それぞれの価格には変動がありますが、現状としてはサバ缶のほうが手軽に購入できる価格といえます。

③タイパ(ツナ缶>サバ缶)

どちらの缶詰も手軽に入手できますが、ツナ缶の方がコンビニエンスストアなどでも入手しやすい印象です。ツナ缶・サバ缶ともに長期保存できるのも、魚の缶詰ならではの長所です。

④食品特性(ツナ缶<サバ缶)

脂がのっているサバ缶のほうがこってりとして、ツナ缶はあっさりとした味です。

対決4:モズク対メカブ

①健康コスパ(モズク<メカブ)

ワカメの根元部分を使っているメカブは、モズクに比べて食物繊維が100㌘当たり3.4㌘、モズクは1.4㌘と2倍以上の差があります。さらに、造血ビタミンと呼ばれる葉酸のほかカリウムなど、多くの栄養素においてメカブがモズクを上回ります。

②コスパ(モズク>メカブ)

通常、1パックあたりの内容量はモズクのほうが比較的多いため、グラム当たりで考えると、モズクのほうがメカブよりコスパが高いといえます。

③タイパ(モズク=メカブ)

どちらもコンビニエンスストアなどで味がついた商品を手に入れることができます。スーパーマーケットではプライベートブランドの商品が充実しているので、ともに入手できやすいので同点とします。

④食品特性(モズク=メカブ)

パック入りの商品を比較すると、コリコリとした歯ごたえを楽しむならメカブ、シャキッとした食感とツルリとしたのごごしを楽しむならモズクがおすすめです。

ここに挙げさせていただいたのは、私たちがよくとっている食品の一例です。同じ陳列コーナーに置かれて同じように見える食品でも、4つの軸をしっかり吟味することで健康維持に役立ちます。これからは毎日の買い物の際に「健康コスパ」を意識してみてください。