とにかく前向きな性格で思い立ったらすぐに行動に移しています
幼いころから体が大きく、自分でいうのもなんですが、運動神経は抜群です。学校で体力測定をすれば、50㍍走などのすべての項目でA判定。特に腕力は強く、ソフトボール投げは30㍍を超え、まわりの子とは別格でした。
腕相撲は敵なしで、小学2年生のときに7つ上の兄に勝ち、6年生のときには父も負かしました。父は身長170㌢、兄は182㌢と2人とも体は大きく、ほかの人と比べても決して腕力がないほうではありません。私の腕力が特に強かったのだと思います。実際、数年前から本格的に挑戦しているアームレスリング(競技腕相撲)では、日本代表に選ばれました。
若いころは野球に夢中でした。ポジションは肩の強さを活かした投手か外野手。持ち前のパワーのおかげで球が速かったからです。
ところが、高校1年生のときにむちゃな練習で肩甲骨付近を痛めてしまいました。思ったようなプレーができなくなり、野球はあきらめることにしました。その後は一転、運動と同じく好きで得意だった歌の世界で勝負しようと、歌手をめざすことにしました。
私はとにかく前向きな性格です。失敗ではなく、成功することしか考えません。マイペースでもあり、思い立ったらすぐに行動します。ですから、歌手になりたいと思った瞬間から、自分はスターになった気分でいたんです(笑)。親を含め、自分のまわりの全員から反対されましたが、学校を休学して上京することを決意。東京に行けばなんとかなる、歌手になれると信じきっていました。
兵庫県から上京して1ヵ月ほどたち、靴屋でアルバイトをしていたときのことです。偶然、現在も所属する芸能事務所の会長が訪れ、私をスカウトしてくれました。1年半後には歌手デビュー。デビュー曲『一度だけなら』は大ヒットし、日本レコード大賞新人賞を受賞。NHK紅白歌合戦にも出場しました。まだ18歳になるかならないかの年齢で、夢をかなえることができたのです。
ただ、芸能界はそんなに甘い世界ではありません。しだいに人気は落ちていきました。でも、私は前向きでした。「芸能人として成長しよう」とアメリカへ渡り、ミュージカルを学びました。アメリカから帰国後は、ミュージカル、テレビドラマ、映画の仕事をいただく機会が増えました。30歳になったころ、時代劇『水戸黄門』に怪力の忍者役〝柘植の飛猿〟として出演。役者としても広く世間に知られるようになりました。
40歳を超えたころから、パワー、スピード、ジャンプ力などを競い、芸能人の身体能力ナンバーワンを決める番組に出演。まわりの出演者は20代の若者ばかりでしたが、その中で準優勝という結果を出しました。その後、50歳を超えるまで20回近く出演させていただきました。スポーツマン芸能人として認知してくれた方も多いのではないかと思います。
幼いころから健康体で、大病をした記憶はありません。だからといって、生活習慣に気を遣ってきたわけでもなく、食べ物の好き嫌いもあります。テレビを見るのも大好きなので、夜更かしをして朝方まで起きていることも少なくありません。
仕事がないときは起床時間も遅めで、だいたいお昼前に起きます。食事は1日2回が大半。ご飯でもパンでも何でも食べるので、特に決まりやこだわりはありません。レトルトカレーや電子レンジでチンして食べられる、簡単なメニューが大半です。
食べるものにはこだわりませんが、添加物など体に悪そうなものが入っている食品はなるべく食べないようにしています。肉が大好きで外食はほぼ焼き肉ですが、カルビなど脂の多い部位ではなく、ミノ、センマイといったホルモンがメニューの中心です。肉をたくさん食べたと思うときには、意識的に野菜や魚を食べるように心がけています。それでも野菜が足りないと思ったら、野菜ジュースを飲むようにしています。
強い気持ちを持てば体の不調に打ち克てると信じています
とにかく体を鍛えることが好きで、運動をしていない時期はほとんどありません。ジョギングよりも筋肉トレーニングが好きで、ジムに行ったり、自宅で鍛えたりしています。暇さえあれば、いつでもどこでも体を鍛えています。体を動かす番組など、仕事で体を鍛える必要がある場合には、さらにトレーニングに力を入れます。激しいトレーニングをしている期間は、いつもの食事だけでは栄養が足りないので、たんぱく質を豊富に含んだプロテインやサプリメントなども摂取しています。
若いころと比べて体力が落ちたり、体が疲れやすくなったりしたということは感じません。腕力も衰えることなく、次男と腕相撲をしても負けません。寝起きもよく、朝もスッキリ起きられます。
僕がこの歳まで健康でいられたのは、あることを意識してきたからだと思います。それは、体調がちょっと悪くても〝強い気持ち〟を持ちつづけることです。たいていの不調は、医師や薬に頼らなくても改善すると思っています。心と体はつながっていると考えているからです。
逆の場合もしかりです。精神的に調子が悪いときは、とにかく体を動かして汗をかく。体を健康にすることで、心も健康に導くことができます。
実はアメリカに留学していたとき、精神的に落ち込んだことがあったんです。一種のノイローゼ、いまでいうパニック症候群の一歩手前だったと思います。顔面神経痛になり、目の下が痙攣を起こすようになりました。ベッドに入っても、不安や心配が心を支配してまったく眠れず、「死んだほうがましだ」と思ったこともありました。
まわりからは「医師の診断を受けたほうがいい」といわれましたが、私は病院を受診することはありませんでした。気持ちを強く持てば治ると考えていたからです。「絶対に大丈夫。必ず治る」と自分にいい聞かせ、常に前向きな気持ちでいるよう努めました。積極的に体を動かし、汗をかくことにも励みました。気づけば心の不安は消えていました。
今年、65歳になりますが、心も体も健康だと胸を張っていえます。年齢を重ねるにつれて「最近、体力が落ちてきた」「疲れやすくなった」「なんとなくやる気が出ない」と感じる方も多いと思います。ぜひ、運動を通じて心と体を健康にしてください。