蔡内科皮膚科クリニック院長 蔡 篤俊
あらゆる病気の原因といえる瘀血は異常なたんぱく質・脂質などの蓄積によって起こる
私は婦人科や内科、精神科の病院で勤務し、現在はクリニックを開院しています。1つの分野にとどまることなく、さまざまな病気の患者さんを診て分かったのは、「西洋医学では根本的な治癒が望めない」という事実です。
私はかつて、多発性関節炎という難病を患って西洋医学の治療を受けたものの、いっこうに改善しませんでした。医師である自分自身が、みずからの病気を治せなかったのです。これでは患者さんに西洋医学について説明をしても、納得してもらうことは難しいでしょう。
その後、世界中に存在する西洋医学以外の治療法を求めてたどりついたのが、東洋医学の「瘀血」という考えです。瘀血の体質を変えることで、私の難病は改善しました。尋常性乾癬も原因不明の難病ですが、瘀血の体質を変えれば乾癬が改善することを、多くの患者さんが証明しています。
瘀血は蓄積した老廃物や毒素を含む血液のことで、黒い色でドロッとしています。瘀血が体内にたまると血流が悪くなるため、細胞への栄養や酸素の供給が滞ります。さらに、細胞にたまった老廃物を排出する働きも阻害されてしまうため、細胞が正常に機能しなくなり、全身に不具合が出るようになるのです。乾癬に限らず「あらゆる病気の原因は瘀血」といっても過言ではありません。
血液が汚れてしまう瘀血は、次の3つの原因によって起こると考えています。
● 肉毒の蓄積
肉毒は、肉や魚が腐敗していたり大量の食物添加物が使われたりして、異常になったたんぱく質や脂質のことです。肉毒が体に蓄積すると、瘀血の原因になります。
乾癬は、肉類や魚に含まれる肉毒が原因で起こると考えています。その証拠に、乾癬の「癬」という漢字は、やまいだれの中に「魚」「羊」という漢字が収まっています。文字どおり、肉類や魚をとりすぎることで起こる病気が乾癬なのです。
肉類の中でも、特に外国産の肉類は鮮度が悪く、酸化や腐敗が進んでいるおそれがあるので注意が必要です。外国産の肉類は、飛行機や船によって輸入されるため、腐敗を防ぐために冷凍保存して日本に送られます。しかしながら、冷凍されている肉でも輸送中に酸化や腐敗が進み、スーパーマーケットで陳列されるときには状態がかなり悪くなっているのです。
さらに、加工食品に使用される食品添加物にも注意が必要です。保存料などの食品添加物を使うことで長期的な保存はできても食品としての鮮度は落ち、腐敗が進んでいるのです。食品添加物も体にとっては異物なので、体に蓄積して瘀血の原因になります。
● 化学物質の蓄積
病院で処方される医薬品の中には、石油から人工的に作られるものがあります。体にとって異物といえる化学物質を服用すると薬効成分が全身を巡り、最終的に肝臓で解毒されます。しかし、肝臓で分解しきれなかった化学物質は、体に徐々に蓄積していきます。その結果、異物が血液にたまって瘀血になり、病気を引き起こしてしまうのです。
● プラスチック製品の蓄積
外科手術の際に、メッシュなどのプラスチック製品が使われる場合があります。手術の際に使用されるメッシュはポリエチレン製で、体内で溶けた後、異物となって蓄積します。その結果、瘀血を引き起こすのです。病気によっては外科手術が必要な場合がありますが、体内にプラスチック製品が残らない手術法を選びましょう。
乾癬は瘀血がたまっている状態で肉や魚を控えて化学物質を断てば改善できる
乾癬の患者さんはすでに瘀血体質となっているので、老廃物を出すことが難しくなっています。まずは、体内の瘀血を増やさないために、鮮度が落ちた肉や魚は控えましょう。可能であれば、肉や魚を食べずに、豆腐や納豆のような植物性たんぱく質が豊富な豆類や野菜類を多くとると快方に向かいます。
さらに、瘀血の原因になる保湿剤やステロイド剤、免疫抑制剤などの医薬品も、できるだけ断つべきと考えています。赤みやかゆみ、肌の乾燥で苦しむかもしれませんが、それは体が毒素を出そうとしているサインで、瘀血が徐々に少なくなると症状が治まります。
乾癬の改善には、瘀血の原因を増やさないことはもちろん、排出を促すことも必要です。瘀血の排出を促す方法は、ウォーキングやジョギングのような運動です。運動することで血流がよくなり、細胞に栄養が届くようになって瘀血を排出する力が向上します。汗をかくと老廃物を排出できるので、水分をしっかり補給しながら運動を行うことをおすすめします。最初は無理のない範囲でウォーキングを行い、毎日1時間の運動ができるようになったら瘀血の排出は促されているといっていいでしょう。加えて、私が独自に開発した「NAT針療法」を行うことで、乾癬の改善は加速度的に速くなります。