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万病に効く?水素は酸化還元で病を治す

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

万病に有効とされる水素治療の要は体内で水素を分解する酵素にあった

[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

水素は、宇宙で最も小さな元素です。最近、水素に病気を治す働きがあるとして、多方面で取り上げられています。なぜ水素に病気を治す効果が期待できるのか——水素には、体に害をなしてさまざまな病気の元になる活性酸素を水に変えて無害化する働きがあるからです。また、活性酸素が傷つけたDNAや細胞を修復する力もあることが分かってきました。

こうした水素の力は「酸化還元反応」という現象で説明されます。酸化還元反応とは、二種類の物質間で「酸素」「水素」「電子」の受け渡しが同時に起こる化学反応のことで、次の三つの定義があります。

①物質が酸素と結びつく反応=酸化、酸素を失う反応=還元
②物質が水素を失う反応=酸化、水素と結びつく反応=還元
③物質が電子を失う反応=酸化、電子を受け取る反応=還元

酸化還元反応はもともと酸素に着目して説明されていましたが、その後、酸素、続いて水素が関与せずに電子の受け渡しを伴う反応が多数あること分かりました。この記事で注目していただきたいのは定義③です。

人間は生きるために肺から空気を吸ってエネルギーを作りますが、エネルギーを作る過程で「ミトコンドリア」という器官で酸素の一部が活性酸素になってしまいます。活性酸素は不安定で、ほかの物質から電子を奪う酸化還元反応を起こして安定しようとする性質があります。そのため、活性酸素はたんぱく質や脂質、核酸などと反応し、酸化・変性させてしまうことがあるのです。

活性酸素は1日に細胞当たり約10億個も発生します。それほどの数の活性酸素を放っておくと、酸化還元反応によって細胞内のDNAや組織を構成する細胞からも電子が奪われ、損傷してさまざまな病気を引き起こしてしまうのです。

活性酸素にはいくつかの種類がありますが、その中でも反応性が非常に強く人体に多くの害を与えるのが「ヒドロキシラジカル」です。ヒドロキシラジカルを体内で主に消去しているのが水素なのです。水素が活性酸素に電子を与えて人体に危害を加えないように無害化してくれているのです。

現在、世に出回っている水素の関連製品はさまざまです。水素水や水素サプリ(カプセル)、水素吸入器、水素風呂(すいそぶろ)などがありますが、どれも同じように効果を発揮するのでしょうか——実は、この問題には「水素の量」と「水素の形」が関係していることが分かってきました。

『私は万病でも水素で治します』白川太郎著

多くの人にとって、水素治療は有効です。しかし、どういうわけか、水素をとってもあまり効果がない人がいることが以前から知られていました。

体には活性酸素を消去する抗酸化物質や抗酸化酵素などが用意されていますが、その中の一つがヒドロキシラジカルの消去に役立つ酵素「ヒドロゲナーゼ」です。通常の水素分子は非常に安定しているため、活性酸素に電子を与えて消去することができません。水素分子は体内でヒドロゲナーゼによって「水素原子」という状態になることで活性酸素を消去できるようになるのです。体内で活性酸素の害を効果的に防ぐためには、摂取する水素の量だけでなく、水素分子を分解して水素原子に変える酵素が関係していることが分かってきたのです。

ところが、ヒドロゲナーゼという酵素の活性には個人差があることも明らかになってきました。ヒドロゲナーゼの活性は特殊な検査で測ることができますが、ヒドロゲナーゼの活性が低い人は一般的な人よりも水素による酸化還元療法の効果が小さいのです。こうしたことから、最近では、水素分子でなく水素原子を発生させる水素吸入器が開発されています。

通常の電気分解による水素発生機では、水素分子は生成できますが、水素原子は生成できません。水素原子は非常に反応性が高く、生成してもあっという間に水素分子となってしまうのです。そこで、日本のあるメーカーは、電気分解ではなく独自の特許技術で水素原子を保持する方法を考案しました。

研究を重ねて開発に成功した水素発生ヒーター装置は700~750℃という高熱を長時間安定して維持します。この高熱のヒーターを水蒸気(H₂O)が通り抜けると水蒸気を構成している酸素(O)が特殊なカートリッジと反応して取り除かれ、水素原子(H)が二つ残ります。この水素原子が水で包囲され、水素原子を含んだ「スイソニア蒸気」ができるのです。

『水素ガスでガンは消える⁉』赤木純児著(辰巳出版)

スイソニア蒸気では水素原子の周りが水分子で包囲されているため、そのまま水素原子として吸入が可能と考えられています。ただし、スイソニア蒸気中の水素原子も時間がたつと水素分子になってしまうため、出来上がったらすぐに吸入することが重要です。このメーカーでは、スイソニア蒸気の気体構成をくずさないように体内へ運ぶための特別な吸入チューブも製品化しています。

最近では、活性酸素の害を効果的に消去する酸化還元療法として、水素以外にもさまざまな治療法が考案されています。例えば、ガン治療で使われる「コロイドヨード」や「メタボジェニック」という酸化還元療法があります。

コロイドヨードは、水素原子とヨウ素原子を結合させたものがコロイド状(粒子となって分散している状態)に分布している液体のことです。飲用すると、体内の必要な部位で水素とヨウ素の結合が外れて水素原子が表れます。水素原子は活性酸素を消去し、活性酸素に電子を奪われたDNAや組織に電子を与えて修復するのです。

一方のメタボジェニック療法は、水素の二倍の電荷を持つイオン化した亜鉛を特殊製法で保持した海外製のミネラル・サプリメントを飲用する治療法です。多数のイオンミネラルが水素の二倍の電子を与えることで活性酸素を消去し、活性酸素によって電子を奪われたDNAや組織に電子を与えて修復するのです。