プレゼント

ミネラルバランスを調整して老化抑制、ストレス低減に効く「フルボ酸」とは?

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

化学肥料の普及で急速に失われつつある奇跡の栄養素「フルボ酸」をご存じですか?

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事(臨床研究事業)、一般社団法人不老細胞サイエンス協会理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

「フルボ酸」という栄養素をご存じでしょうか? 動植物の体内でミネラルのバランスを最適化して重金属を排出したり、天然の抗酸化剤として活性酸素を除去したりするほか、生命活動の(かなめ)とされる酵素活性の因子として代謝やエネルギー生産に重要な役割を果たしている物質です。

非常に重要な物質であるフルボ酸ですが、近代農業が発展する前までは、特に意識せずとも摂取不足になることはありませんでした。というのも、土中に多く含まれるフルボ酸は植物が根から吸収していたため、野菜や果物を食べることで人間もフルボ酸を知らないうちに補給していたからです。また、自然な土壌で生育した牧草を食べるウシやヒツジなどもフルボ酸を体内に多く備えており、これらの動物の肉を食べることでも人間はフルボ酸を必要な量だけ補給できていました。

ところが、近代農業が発展して土壌改良や化学肥料が急速に普及したうえにエネルギー革命が進んだことで、世界中の農地や森林、土壌が変容してしまいました。特に1940年代以降、フルボ酸は地球上でもごく限られた「手つかずの自然」の中にしか見いだせない希少な栄養素になってしまったのです。

フルボ酸は人体にも0.02%程度含まれているといわれていますが、通常、動物の体内では合成できず、植物だけが長い年月をかけて生み出す物質です。地中深くに潜んでいて、決まった形を持たず、ナノレベルと極小サイズです。そのため、人工的な精製が非常に困難で、これまでほかの栄養素に比べて研究が遅れていました。現在、最も研究が遅れていた極小の栄養素であるミネラルの研究に付随する形で、ミネラルの生体内バランスの調整や活性を促進する働きを持つ栄養素として、やっと研究の端緒が開かれた段階です。

ノーベル賞を2回受賞した世界的な科学者であるライナス・ポーリング博士は「すべての病態、すべての疾病(しっ ぺい)、すべての病気を追求するとミネラル欠乏にたどりつく」と指摘していますが、近年ではミネラルの働きの素地を作っているフルボ酸によるところが大きいと考えられはじめています。

また、フルボ酸はストレスの低減に関してもたいへん重要な働きをする栄養素です。長期的なストレス下ではミネラルの排出量が増加します。そして、欠乏したミネラルが次のストレスを生むという悪循環に陥ることもあります。こうした体内ストレスの低減にフルボ酸が有効なのは、フルボ酸が細胞にとって使いやすい形にミネラルを変換することができるからです。

『フルボ酸で健康づくり』ディック・ミヤヤマ著(メディアイランド)

フルボ酸はさまざまな物質と結びついて電子移動や触媒反応を起こし、結合したミネラルをキレート作用(カニのはさみのように捕らえた分子を包み込んで結合する作用)によって細胞が利用可能な微量元素の形に変換します。そして、最適な形に変換されたミネラルは、ビタミンを細胞内に効率よく運び込む能力を持っているため、細胞内でビタミンの触媒として働きます。

フルボ酸は「生命バランスを整える物質」ともいわれます。その理由の一つは、フルボ酸自体がパワフルな有機的電解質だからです。フルボ酸は水やそのほかの溶液に溶かすことができ、電気を通すだけではなく、接触するものの形を最適化して活性化する能力を持っています。

生物の健康の基礎は正常な電位を保つことにあります。細胞の電解質の電位を除去すると、細胞は破裂して死に至ります。多くの場合、継続的な電位の低下は、食事のバランス不良、長期の睡眠不足、感染症、出血、手術後のショック、進行ガンなどのストレスによってもたらされます。しかし、電位を再度与えると細胞が再生され、復活して健康を取り戻すことができます。このことから、フルボ酸は強力な電解質の力によって細胞を再生させることが可能であると考えられています。

さらに、フルボ酸は疲労回復にも効果があることが分かっています。疲労を回復させるには、体内の代謝を活発にさせることが重要で、そのためには規則的な睡眠と排泄(はいせつ)が欠かせません。

現代日本人は世界でも有数の眠らない国民で、便秘に悩む女性が多いことも知られています。これは代謝が衰え、免疫力も下がっている証拠です。睡眠は、体の疲れを取るためにも必要ですが、脳を休める点がさらに重要です。睡眠中はさまざまなホルモンが分泌(ぶんぴつ)され、新陳代謝を活発にして日中の疲れた心身を効率よく修復してくれます。

『環境・健康改善の特効剤「腐植土・フルボ酸」の基本と応用』鈴木邦威著(セルバ出版)

一方、排泄が困難になるということは、老廃物を排出する機能が低下していることを意味しています。これを放置すると、体調が悪化して大きな病気を招く危険性も高くなります。フルボ酸は生体内分子の働きを調節することで、睡眠や排泄を自然に促す働きをすることが分かっているのです。

加えて、疲労回復と密接な関係にある免疫力の向上においても、フルボ酸は大きく貢献していることが分かってきました。フルボ酸は胸腺(きょうせん)を大きくして免疫細胞の一種であるリンパ球を作る能力を刺激することが判明しました。また、同じく免疫細胞の一種である顆粒球(かりゅうきゅう)を刺激して、インターフェロンα(アルファ)β(ベータ)γ(ガンマ)及び腫瘍壊死因子(しゅようえしいんし)-α(TNF-α)などのサイトカインの生産を促進し、これらの物質のバランスを調整して効果的に働かせる役割も果たしていることが明らかになってきたのです。

免疫システムが増強されて副交感神経が優位になると、ガンや糖尿病、感染症に効果を発揮します。一方、強すぎる免疫が抑えられて交感神経が優位になると、花粉症やアトピー性皮膚炎、関節リウマチ、アレルギーなどの自己免疫疾患がコントロールできます。フルボ酸のこうした能力は、摂取した人の状況に応じてさまざまに変化し、不調を解消する方向に働いて時には不治の病にすら効果を発揮することがあるのです。