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花粉症の原因は花粉ではない⁉花粉症が1日で治る、効果的な方法とは?

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

花粉症は炎症によるアレルギー症状で酪酸菌を摂取すれば6時間で完治する?

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

「花粉症のほんとうの原因は花粉ではない」といったら、あなたは驚きますか? しかし、これは事実です。もし花粉症の原因が花粉なのだとしたら、今よりも森の面積が広くスギ花粉も多かった昔は、花粉症の人がずっと多かったはずです。しかし、そんな話は聞いたことがありません。

実際、日本で花粉症が初めて報告されたのは1964年で、当時、花粉症は非常に珍しい病気でした。実は、花粉症は花粉が多いだけでは発症しません。もっと正確にいうと、いわゆる花粉症は花粉に排気ガスや粉じん、PM2.5など、大気汚染物質が付着することで発症することが分かってきたのです。

日本の国立環境研究所では、大気汚染物質が花粉症に及ぼす影響に関してモルモットを用いて実験し、その結果を公表しています。面白いことに、モルモットでも人間と同じように花粉症の症状であるくしゃみや鼻水、目の充血が起こります。そして、ディーゼル排気やオゾン、二酸化窒素など、大気汚染物質の濃度が高いと、花粉症の症状が発生することが判明したのです。

同様のことは、イギリスでもアメリカでも報告されています。イギリスでは、1819年に医師が花粉症を初めて発表していますが、その当時は1760年以降の産業革命による大気汚染が深刻化していた時期でした。また、アメリカでも1865年以降の急激な工業化による大気汚染が問題となっており、その影響で1872年以降に現地に多いブタクサによる花粉症患者が増大しています。

「花粉症」と呼ばれるアレルギー症状が花粉の舞う時期に多く発症するのは、普段は低濃度のアレルギー物質が花粉によって大量に運ばれてくるためです。つまり、花粉そのものではなく、花粉に付着している大気汚染物質が問題なのです。同じ量の空気を吸っていても、花粉の舞う時期は数倍~数十倍のアレルギー物質を吸ってしまうために花粉症の症状が出てしまうというわけです。

では、どのように予防や治療をすればいいでしょうか? もちろん、原因物質である大気汚染物質をなくすのがいちばんいいのですが、現代社会で大気汚染物質をいきなりゼロにするというのは無理があります。解決のヒントは同じ状況にいるにもかかわらず、風邪になる人とならない人がいるという現象にありました。この違いは環境に起因する体内炎症の度合いと、それを治める免疫力の差です。

花粉症は、花粉に付着して運ばれてきた大気汚染物質によって鼻や口腔(こうくう)に炎症が生じ、炎症を止めようとする免疫が体内でヒスタミンを過剰に放出することで引き起こされます。通常、過剰なヒスタミンは、これを止める別の免疫によって解消されるため、問題となりません。しかし、免疫力が下がっていると、こうした免疫機構がきちんと働かず、つらい花粉症の症状がいつまでも治まらずに続くことになります。こうした事実から、現在、花粉症を抑制する具体的な対策として、次の三つが最も効果的と考えられています。

⑴炎症を引き起こす大気汚染物質を避けるため、マスクや花粉対策グッズなどを装着し、できるだけ原因物質を避ける。また、大気汚染物質が多い地域での外出を避ける。

⑵体内で過剰な炎症が発生しないように体内で炎症を引き起こす物質の摂取を控える。また、炎症を抑える物質を体内で作れるようにする。

花粉症の抑制には、炎症を誘発する生活習慣や食習慣を避けること、特に体内で炎症を引き起こす脂質バランスの乱れを減らすことが重要です。脂質で最も危険なトランス脂肪酸を避け、オメガ6系を多量にとらないようにしましょう。オメガ6系とバランスを取って、炎症を抑えるオメガ3系の脂肪酸(DHAやEPA)を魚などでとることも大切です。

また、炎症を抑えるには、酪酸菌(らくさんきん)を増やすことが効果的です。酪酸菌はエサとなるフラクトオリゴ糖によって大腸内で大量に増え、体内での炎症を効果的に抑えます。これを「プレバイオティクス」といいます。酪酸菌が生産する酪酸そのものをサプリでとる方法もあります。これを「バイオジェニックス」といいます。

フラクトオリゴ糖が豊富な食材は、キクイモやゴボウ、タマネギなどです。しかし、これらを毎日大量に食べるより、炎症抑制成分を多量に含む食材を粉末にしたサプリメントなどで摂取するほうが現実的かつ効果的です。

『花粉症は1日で治る!』小柳津広志著(自由国民社)

東京大学名誉教授で微生物博士の小柳津広志(おやいづひろし)先生の著書『花粉症は1日で治る!』によれば、「極端な話、酪酸菌にフラクトオリゴ糖をエサとして与えるだけで、理論的には、たった6時間で花粉症は治ってしまう」「花粉症の強度によって個人差はありますが、本当に花粉症が1日で治ります」とのことです。

⑶体内で過剰なヒスタミンを抑え、制御系の免疫がうまく機能するように免疫力を低下させない。また、免疫力を強化する。

まずは免疫力を上げるより、下げないことが重要です。免疫と直結する腸内環境の乱れや副腎疲労(ふくじんひろう)を誘発するものを避けること。つまり、小麦を避ける(グルテンフリー)、乳製品を避ける(カゼインフリー)、砂糖や甘いものを避ける(シュガーフリー)、そしてクスリ(特に抗生物質)を避けることです。

次に免疫力を強化する方法ですが、炎症を抑えて免疫力を上げる効果的な食材やサプリメントがいくつかあります。効果が高いのはタマネギです。タマネギには、抗ヒスタミン作用が高い「ケルセチン」という成分が多く含まれています。タマネギの皮部分が最も含有率が高いので、タマネギの皮のお茶や粉末サプリがオススメです。また、ショウガにも抗ヒスタミン作用のある「ショウガオール」という成分が多いので、おすすめです。ウコンというショウガの仲間にも「クルクミン」という抗炎症、抗酸化、抗菌、抗ガン、抗変異原性の作用を持つ成分が多量に含まれています。ニンニクやビタミンDも免疫力と抗炎症の作用をあわせ持っています。

こうした報告をもとに、日本先進医療臨床研究会では、花粉症を効果的に治癒(ちゆ)・改善する食材や素材による治療研究を開始する予定です。