株式会社東洋炭酸研究所 代表取締役社長 石川 峰生さん
シュワシュワとしたのど越しの炭酸水やはじける気泡の炭酸泉など、健康・美容への関心が高い層に人気がある「炭酸」。医師も注目する炭酸の健康効果を広めるべく、みずから〝炭酸王子〟と名乗って普及活動を展開する石川峰生さんに、炭酸の魅力と可能性について伺いました。
炭酸を使った血管拡張と血行促進の作用こそ健康になる答えと確信
「長年にわたって健康・美容の分野で仕事をしてきましたが、炭酸ほど健康効果を期待できるものはないと断言できます。『炭酸は世界を救う!』『炭酸はあなたを裏切らない!』をキャッチフレーズに日々、炭酸の魅力を発信しています」
そのように力強く話すのは、株式会社東洋炭酸研究所の代表取締役を務める石川峰生さん。健康・美容を目的とした炭酸製品市場の中で独自の存在感を放つ石川さんは、社長業に加えて〝炭酸王子〟として炭酸の健康効果の普及に努めています。「炭酸こそライフワーク」と話す石川さんは、その経緯について、このように振り返ります。
「私は30代後半から40代にかけて、米ぬかを発酵させた美容・健康素材を扱う企業に在籍していました。当初は社外取締役の立場でしたが、後に社内の常務取締役まで昇進しました」
役員時代は海外との原料取引をはじめ、テレビショッピング用製品の原料供給を担当し、大きな実績を上げていたという石川さん。ところが、石川さんが選んだのは社内での昇進ではなく、独立開業の道でした。
「当時は健康食品の原料になる素材の研究発表会に参加する機会が多くありました。各企業が自社製品を華々しく発表する光景を見ながら、『科学的に検証されているのだろうか』と思うことが少なくなかったのです」
メディアなどで話題を集める美容・健康情報を懐疑的な目で眺める日々を送りながら、「間違いなく健康作りに役立つ素材」を探し求めるようになった石川さん。その答えは、透析治療を専門に行っている医療機関で知ることになりました。
「愛知県にある半田東クリニックで当時、理事長を務められていた先生のもとで炭酸を使った治療を見せていただく機会があったんです。多くの透析患者さんは動脈硬化が進み、深刻な血行障害に悩まされていました。下肢の血行障害が進行すると細胞の壊死を引き起こしかねませんが、半田東クリニックでは炭酸を使った治療(手浴・足浴)で透析患者さんの血液循環を回復させていたんです」
炭酸の健康効果については、以前からそれなりの知識があったという石川さん。透析患者さんが炭酸浴で血行を促進させ、褥瘡や壊疽が改善していく様子には抜群の説得力があったと振り返ります。
「あらためて調べてみると、炭酸の血管拡張作用と血流促進作用は当時から医学界で常識とされていました。私たちの全身に存在する数十兆個の細胞が活動するために必要な酸素を運ぶのが血液です。炭酸は血流を促進させることで細胞に酸素を届けやすくしてあげるのです」
健康になれる真実の情報を探し求める中で唯一、信頼できたのが炭酸だったという石川さん。当時、勉強していた漢方の知識からも炭酸の効果に説得力を感じたといいます。
「漢方では生薬ごとにさまざまな効果効能が謳われていますが、一つだけ共通している効能が血行促進なんです。健康を考えるうえで大切なのは、血管を拡張させて血行促進を図ること。炭酸は知れば知るほど魅力的な存在で、ついに行き着く境地にたどりついたと思いました」
炭酸で血行促進をすれば健康になれる。炭酸を使って血流をよくすれば、老若男女、すべての人が元気になれる——そう確信した石川さんは、常務を務めていた企業を辞め、東洋炭酸研究所を設立したのです。
毎日使えるように高濃度の炭酸ガスを閉じ込める技術を開発
東洋炭酸研究所を設立した当時、炭酸が医療に使われていたのは、先の透析治療における手浴・足浴や、床ずれで起こる褥瘡、美容面が中心でした。石川さんは、それまでスペシャルケアとして使われていた炭酸をデイリーホームケアとして利用する提案をし、大きな支持を集めるようになったといいます。
「美容を目的にした当時の炭酸製品は一般の方から見れば高額で、1週間~1ヵ月に一度、お肌へのごほうびとして使う特別なアイテムとされていたんです。炭酸の血行促進作用は毎日使ってこそ実感できます。めんどうな手間がかからず、時間を取らずに使える炭酸製品の開発こそ、生活の中で炭酸が自然になじむ必須条件と考えました」
リーズナブルな価格で、毎日手軽にらくに使える条件をかなえる炭酸製品のカギとして石川さんが開発したのが、炭酸ガスを閉じ込める〝泡〟でした。
「当時流通していた炭酸はジェル状の製品が中心でした。垂れやすいジェル状の炭酸製品は、お客様が横になるエステサロンでは使いやすいかもしれませんが、毎日の生活の中で使うには、やや手間がかかります。私が開発した炭酸の泡はシェービングクリームのようにしっかりと肌に付着します。動いても落ちないので、料理や掃除をしながら炭酸ケアができるのです」
さらに、石川さんが開発した炭酸の泡には、独自の技術によって高濃度の炭酸が閉じ込められています。
「炭酸博士と呼ばれている国際医療福祉大学・前田眞治教授が『炭酸の血流促進作用は、炭酸の濃度に伴って早く・長く・強く続く』という主旨の研究を発表されています。高濃度の炭酸を泡に閉じ込めたことで、それまで手浴・足浴のみだった医療の分野で炭酸が広く活用されるようになりました」
炭酸が高濃度で含まれる石川さんの炭酸製品は医療従事者の間で評判を呼び、医療機関での活用が広がっています。
「炭酸は美容向けという印象をお持ちの方が多いと思いますが、炭酸の可能性は美容面だけにとどまるべきではありません。医療面での活用を広げていくために、医療機関と共同でエビデンスを蓄積しています」
若年層では炭酸水を日常的に飲むなど、炭酸が生活に根付きつつあります。石川さんは、高齢者こそ炭酸の健康効果を実感してほしいと話します。
「血管は加齢に伴って老化しやすいので、炭酸を使って血行をよくしてあげれば、老化現象と思って諦めていた症状が改善することもあります。例えば、私が開発した炭酸製品を使って頭皮のケアをした70代後半の女性から、『石川さんにすすめられた炭酸を使って朝起きたら、何十年ぶりに髪がライオンみたいに立っているんです。髪が生き生きとして立っていますよ!』と、早朝に電話がかかってきたことがありました。この女性の場合は髪に効果が現れましたが、炭酸の血行促進作用は、使い方次第で全身のあらゆる部位での健康効果が期待できます」
炭酸王子としてラジオ・イベントなどで炭酸の魅力を発信中!
炭酸の健康効果を広めるべく、業界のけん引役として忙しい日々を送る石川さん。普及活動に一役買っているのが、代表取締役のほかに持っているもう一つの顔〝炭酸王子〟のキャラクターです。
「2019年に、横浜で開催されたあるイベントで炭酸についてお話をする機会があったんです。炭酸に関するウンチクが評判を呼んで、3ヵ月間限定でラジオ番組のDJ(司会者・進行役)を任されることになりました。DJを引き受ける際にラジオ局にお願いしたのが、企業の社長とは異なる肩書きで出演することでした。炭酸製品を作っている会社の社長が炭酸のウンチクを話すと宣伝になってリスナーの方々が楽しめないと思ったからです。そこで考えたのが、顔と髪を炭酸の泡で覆った炭酸マニアの男性というキャラクターでした。もともとは炭酸男という名前でしたが、当時は〇×王子というネーミングがはやっていたので、その波に乗って炭酸王子と改名しました」
「すぐにネタが切れるだろう」と思われていた炭酸男改め炭酸王子の炭酸ウンチク話は、ネタが途切れるどころか回を重ねるごとに反響を呼び、番組のレギュラー化が決定。現在も毎週水曜日の深夜に炭酸のウンチク話を惜しみなく披露しています。
「コロナ禍によって、あらためて免疫力の大切さが注目されるようになりました。私はこれまでシンガポールやマレーシア、インドネシア、タイなど東南アジアをはじめ、ドバイ、スリランカ、アメリカ、フランスなどの国々で炭酸を試していただいたことがあります。そこで分かったのは、炭酸は人種・民族・性別・年齢を問わず血行促進作用が期待できること。血行促進によって体温を上げれば、免疫力を高めることができます。炭酸には、コロナ禍で疲弊した世界中の人々を心身ともに健康にする力があると確信しています」