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アマゾン原産の秘薬!ガンと難病に効く樹木「タヒボ」ってなに?

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

「神からの恵みの木」として珍重されてきた著効の有効成分を含むタヒボは一種類だけ?

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事(臨床研究事業)、一般社団法人不老細胞サイエンス協会理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

南米アマゾン川流域で1500年以上も前から「神からの恵みの木」として珍重されてきた樹木「タヒボ」をご存じでしょうか? 高さ30㍍以上、直径2㍍近くまで成長する大木です。古代インカ帝国の時代には、タヒボは難病を治す秘薬として知られ、当時は健康の源として黄金と交換するほど貴重な宝物であったと伝えられています。

南米植物学の権威であった故・ウォルター・ラメダス・アコーシ博士(サンパウロ大学名誉教授)が50年にも及ぶ研究から、アマゾンの先住民たちが「神からの恵みの木」と呼ぶ樹木の種を特定し、ノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種であると結論づけました。ノウゼンカズラ科タベブイア属の樹木は南米全域に広く分布し、100以上もの種類があります。

残念ながら、同じ属の木というだけでは「神からの恵みの木」と呼ばれるほどの効能は発揮しません。また、面白いことに、同じノウゼンカズラ科タベブイア属アベラネダエ種の樹木でさえも、地域によって含有成分が異なります。ガンや難病など難治性疾患に対して奇跡的な効能を発揮する「神からの恵みの木」と呼ばれるのは、南米アマゾン川流域の特定地域に自生するものだけなのです。

この特殊な地域に自生するアベラネダエ種にはほかの地域とは違う成分が含まれていることに気づき、成分分析を行った研究グループがあります。日本の研究者である故・上田伸一(うえだしんいち)博士(京都大学薬学部助教授)たちの研究グループです。上田博士たちの研究グループは、アベラネダエ種の特有成分の化学構造を解明しました。そして、人の健康維持に役立つ新しい有機化合物であることを発見し、国際特許を取得したのです。それが、現在日本の医療機関などで主にガンや難病の治療に使用されている「NQ801(フラノナフトキノン)」という成分です。

ちなみに、「タヒボ」とは南米アマゾンの先住民の言葉で「神からの恵みの木」「神の恵みの光」といった意味です。また、タヒボとよく混同される植物に「紫イペ」「ラパチョ」「パウダルコ」などがありますが、これらは別物です。ブラジルでは、ノウゼンカズラ科タベブイア属の樹木を一般的に「イペ」「イペー」などと呼びます。また、アルゼンチンなどのスペイン語圏では、同じ樹木を「ラパチョ」や「パウダルコ」と呼びます。

1960年代にブラジルのサンパウロに住む医師サンティ氏の兄が末期の白血病と診断されました。治癒(ちゆ)は絶望的とされる中、地元のシャーマンが使用した紫イペによって1ヵ月ほどで白血病が完治しました。その情報からアルゼンチン国立植物分布学研究所が臨床医師の協力のもと、末期ガン患者に紫イペの樹木茶を与えたところ、すばらしい効果がありました。アルゼンチンやブラジルのマスコミがこれらの事実を報道し、紫イペは抗ガン茶として一躍有名になったのです。南米の多くの病院がこの治療法を導入しましたが、その後、下火になりました。

実は、紫イペにもタヒボと同じ抗ガン成分のNQ801が少量含まれています。「イペ」と呼ばれるタベブイア属の植物に含まれるナフトキノン類は「ラパコール」という成分を誘導体として数種の中間体を経ながら最終体である数種類のフラノナフトキノンに生合成されます。ナフトキノン類の中で最も抗ガン活性が高いのが、NQ801なのです。

ところで、イペには色の薄いものから濃いものまで多数の種類があります。白や黄色の花をつける色の薄いイペは最終体であるフラノナフトキノンまで生合成が進まず、中間体で止まってしまいます。また、誘導体として働くラパコールも多く含みます。ラパコールにも多少の抗ガン性能はありますが、収斂性(しゅうれんせい)(渋味)があるため、一般的には下剤などとして使用されます。

『大アマゾンの生命力 タヒボ抽出物の奇跡』ロバート・M. ナカムラ著、笠原 靖訳(エディションq)

一方、色の濃い赤紫の花をつける紫イペなどは最終体まで生合成が進みます。しかし、数種のフラノナフトキノンに分化するため、最も抗ガン効果が高い最終体であるNQ801の含有量はそれほど多くありません。つまり、紫イペとタヒボの違いをひと言でいうと、天然の抗ガン成分であるNQ801の含有量の違いなのです。

では、NQ801の抗ガン性能はどの程度のものなのでしょうか? NQ801はラパコールの抗ガン性能と比べると細胞レベルの実験で約14倍の差があり、代表的な抗ガン剤である「マイトマイシン」とほぼ同等の抗ガン活性を示しました。しかも、マイトマイシンには重い副作用がある一方で、タヒボには副作用がまったくなく、安全性試験でマイトマイシンに比べて8~40倍の安全性が確認されたのです。

タヒボは一般的にお茶の形で摂取されてNQ801が供給されますが、多くのガンに対して有効だったという論文が世界中で多数あります。日本先進医療臨床研究会理事の赤木純児(あかぎじゅんじ)医師(くまもと免疫統合医療クリニック院長)も、実際の臨床でタヒボ茶を使用したガン治療に関して「タヒボの免疫学的効果」という論文を発表しています。

さらに、抗ガン活性以外にも、タヒボには抗酸化作用や抗炎症作用、内臓脂肪蓄積抑制作用があるほか、骨吸収阻害の物質を含むため、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にも有効なことが明らかになっています。機能性食品としての開発が進めば、ガンの予防のほか、さまざまな健康効果を持つサプリメントとしての製品化が期待されます。

近年、タヒボは近大マグロで有名な近畿大学と医薬品の〝種〟を見つける研究で取り上げられ、共同研究が開始されています。また、タヒボの含有成分NQ801が新型コロナウイルスに対して不活化効果があることが奈良県立医科大学医学部微生物感染症学講座の研究で明らかにされ発表されました。

こうした事実から、日本先進医療臨床研究会では、ガン治療や難病治療に対してNQ801を高含有するタヒボ茶を使用した治療と症例集積研究を開始します。それとともに、新型コロナウイルス感染症などに対する予防措置として、NQ801高含有のタヒボ茶を推奨していく予定です。