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「ストレス解消」のツボ 労宮・太衝

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

桜が満開になる4月は、最も春らしさを感じる季節といえます。また、新入学や進級、就職など、新しい環境のもとで生活を始める人も多いことでしょう。新しい環境の中では、慣れないことも多く、やがてストレスとなって現れます。ストレスには、以下の3つの段階があります。

①警告期:ストレスを受け入れる時期です。「疲れたな」「体調が思わしくないな」と感じるなど、身体に危険信号が現れます。血圧変動が大きくなり、イライラ感や肩こりなどの自覚症状、人間関係のトラブルや仕事のミスなどが目立つようになります。

②抵抗期:ストレスに対して反発や抵抗を感じる時期です。疲労感から興奮した気持ちに変化したり、逆に脱力感に陥ったりします。血圧変動がさらに強くなり、胃腸や心機能に異常が現れて、仕事を抱え込んだり、仕事を休まなくなったりします。

③疲弊期:心身ともに疲れ切って、精神的な疾病に移行する時期です。自分の力に限界を感じて集中力がなくなり、物忘れがひどくなります。ストレスが原因となって()(かい)(よう)や心身症、うつ病などを発症する時期となります。

ストレスには何よりも早めの対策が必要です。すぐにできる3つのストレス解消法をご紹介しましょう。

適度な運動:歩くことは優れた有酸素運動であるだけでなく、自律神経のバランスを整えることもできます。街の中を歩くよりも森林浴がおすすめです。森林浴によって森の香気を浴びることは、自律神経の調整に役立ちます。さらに、清浄な空気、風の音、鳥の鳴き声、水のせせらぎ、木漏れ日の光、木々の緑といったさまざまな森林環境の相乗効果で、心身のリラックスを図ることができます。

適度な休息:とにかく休養を取ることです。いちばんの休養は睡眠ですが、 適度な飲酒も精神を落ち着かせ、自律神経の安定化につながります。

適度な気分転換:スポーツや旅行、温泉、部屋の模様替え、友人との食事、絵画、音楽鑑賞、家庭菜園、日曜大工など、日常から離れて気分転換を図るといいでしょう。環境の変化によって気分をリラックスさせることはストレス回避につながります。

そのほかのストレス解消法として、ルーティーン(毎日の生活の中にパターン化した動作を入れること)を取り入れると、ストレス回避につながります。特にスポーツ選手は、試合前や試合中にルーティーンを入れて、メンタルコントロールの一つの方法としていることが少なくありません。例えば、世界的なメジャーリーガーとして活躍したイチロー選手((すず)()(いち)(ろう)さん)は、以下のようなルーティーンを実践していたことで知られています。

・毎日カレーを食べる
・ネクストバッターズサークルで行うストレッチ
・バッターボックスに入るまでの一連の動作
・試合後のグラブ磨き

イチロー選手は、このようなルーティーンを行うことで心身の安定を図り、その結果としてメジャーの歴史に残るさまざまなパフォーマンスを発揮したのです。

ツボ刺激は、ストレスに対しても有効です。今回は「(ろう)(きゅう)」「(たい)(しょう)」という2つのツボをご紹介しましょう。

「労宮」のツボには、親指(指紋のある指の腹全体)を押し当てながら、円を描くように5秒間押し込んで刺激します。これを5回で1セットとし、計3セット行いましょう。親指で強く押し込むと「ズーン」と感じる部位を中心に刺激してください。

「太衝」のツボは足にあります。足の1番目と2番目の足指の間を手の親指で押し上げると、足の甲で親指が止まる部分が「太衝」のツボです。太衝のツボを親指で押し上げると「ズーン」と感じる部分を刺激します。「労宮」と同様に親指を押し当てながら、円を描くように5秒間押し込んで刺激しましょう。回数も「労宮」と同じ5回で1セット、計3セットです。「太衝」のツボは、ボールペンの後ろの部分を使って押し込むのも有効な刺激方法です。

由来
【労宮】「労」は労働、「宮」は要所や宮廷の意味。労働に従事する器官である手のひらの中心にあることから名づけられました

【太衝】「太」は大きく豊かな形状、「衝」は要衝や大きく突き動かす意味。旺盛な気血をめぐることから名づけられました

効能
【労宮】ストレス、性的機能障害、頭痛、不眠、カゼ、肩こりなど

【太衝】ストレス、眼精疲労、足の冷え、肝機能障害など