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治癒率96%の衝撃!「重曹点滴療法」とは?

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

ガンの原因はカビ?『ネイチャー』掲載論文で大注目の治癒率96%を誇る「重曹点滴療法」

[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

2019年10月2日、世界的権威のある科学誌『ネイチャー』に掲載された論文で膵臓(すいぞう)ガンの発生に真菌(カビ)が関与している可能性が報じられました。論文では、(ちょう)管腔(かんくう)から膵臓に移動した真菌が膵臓ガンの一つである膵管腺(すいかんせん)ガンの発症に関係していることが示唆されると結論づけられています。

つまり、腸内の真菌が膵管に移動して膵臓ガンを発症させている可能性が示されたわけです。ヒトおよびマウスモデルにおける膵管腺ガンでは、正常な膵臓組織と比較して約3000倍もの真菌の増加が示されました。

この論文で膵臓ガンの発症と関係が深い真菌として示されたのは、ヒトの不調の原因としてよく知られるカンジダ属やアスペルギルス属ではなく、「マラセチア属」と呼ばれる種類でした。膵臓ガンの発症に関して、マラセチア属と「MBL(マンノース結合レクチン)」という自然免疫系が関与していることが示唆されるとしています。

MBLは進化の過程で生まれた生体防御機構で、獲得免疫系のT細胞やB細胞よりも古い存在です。MBLは体内に侵入した微生物を食細胞などに(どん)(しょく)させる目印を付ける働きをします。真菌では、カンジダ属やクリプトコッカス属、アスペルギルス属をよく補足することが知られていますが、マラセチア属との関係はあまり知られていませんでした。

今回の研究では、これまで知られていなかった真菌と自然免疫系との関連によって膵臓ガンという難治性腫瘍(なんちせいしゅよう)の形成が促進される事実が判明しました。『ネイチャー』の論文では膵臓ガンに限定していますが、ガンは「転移」の特質を持ち、膵臓だけが真菌関与でほかの臓器や部位がまったく違う原因とは考えにくいと思われます。おそらく、膵臓ガンの研究が主であり、論文として出せるほどのほかのガンのデータがまだ少ないのでしょうが、そちらも大いに期待したいところです。

実際、この事実の発見は世界のガン治療を新たなステージへと導く可能性を秘めているのです。というのは、実はガンの発症理由として「真菌原因説」を唱え、高い治癒率(ちゆりつ)を誇る「(じゅう)(そう)点滴(てんてき)療法」という治療法を提唱している医師が存在するからです。その治療法を日本に紹介したのは、日本で書籍化されてアマゾンのガン関連書籍でベストセラーとなった『ガンの新しい治療法』の著者である世古口裕司(せこぐちゆうじ)先生であり、その博士とは、書籍の監修者でもあるトゥリオ・シモンチーニ博士(外科医、腫瘍学博士・哲学博士)です。

シモンチーニ博士は、外科医として40年以上にわたってガン治療にあたる中で、多くのガンを重曹点滴療法によって治癒できることを発見しました。驚くべきなのはその治癒率です。なんと約96%という驚異的な治癒率を達成したのです。

『ガンの新しい治療法』世古口裕司著、トゥリオ・シモンチーニ監修(現代書林)

重曹点滴療法の開発は、シモンチーニ博士の「ガンは何かの感染症ではないか」という着想から始まりました。さまざまな治療法を試した結果、最終的に重曹点滴療法にたどりつき、驚異的な治癒率を上げる中で「ガンは真菌が原因で発生するのではないか」と考えたのです。そして、抗真菌剤である重曹がこれほど高い治癒率を出せる事実と腫瘍部位に非常に高い確率で真菌が見つかることから、ガンの原因は真菌であるという考えに確信を持つに至ったそうです。

ただ、ガンそのものが真菌というわけではありません。重度のストレスや免疫力低下、低体温、低酸素などの状態から体内の真菌による感染症を発生した結果、これを発端とした生体防御との兼ね合いでガンが拡大していくと考えたのです。

重曹は、塩化ナトリウムを電気分解して得られた水酸化ナトリウムに二酸化炭素を加えて作られ、強いアルカリ性を示します。実は、真菌は塩に弱い性質があるのですが、アルカリ性にもたいへん弱いのです。

真菌は自身の構造を変化させて抗真菌薬剤などに対して耐性を持つことができますが、重曹の殺菌力は非常に高いうえに強いアルカリ性であるため、真菌の耐性を獲得するスピードが重曹の殺菌力に追いつかないのです。

ただし、すべてのガンを重曹点滴療法で治癒できるかというと、部位によっては重曹を腫瘍まで届けることが難しく、簡単にはいきませんでした。治療に時間がかかる場合もあり、ガンの進行に間に合わなかった症例も多かったようです。

しかし、この頃にはシモンチーニ博士の重曹点滴療法の効果を知り、多くの協力者や賛同者たちが集ってアイデアを出し合い、難治性の腫瘍や部位を一つひとつ克服する方法を開発していきました。例えば、「カテーテルを入れて人体深部の(びょう)(そう)に重曹を直接送り込む方法」「動脈に造影剤を入れてX線で視覚化しながら腫瘍に栄養を送る動脈を特定し、そこに細いカテーテルを入れて重曹を送り込む方法」「脳腫瘍(のうしゅよう)に対して(けい)(どう)(みゃく)からの『選択的動脈造影』という手段によって重曹を届ける方法」などです。最終的にほぼすべてのガンに対して効果を上げることができ、治癒率約96%を達成したのです。しかも、重曹点滴療法は副作用がほとんどなく、少数の人で一時的な疲労やのどの渇きを覚える程度だそうです。

実は、重曹点滴療法は古くから日本でもガン治療に行われた治療法なのです。当研究会・相談役で初代厚生労働大臣を務めた坂口(さかぐち)(ちから)先生によれば、昔は多くの医師が重曹点滴療法によるガン治療を行っていたとのことです。また、昭和30年代に大阪大学医学部で悪性腫瘍の入院患者35名に対して重曹点滴療法が行われており、ほぼすべての患者に対して良好な結果を残し、特にその中の20名に対しては著効だったという論文が残っています。また、論文の中で当時の大阪大学医学部教授が「併用療法としてすべてのガン患者に対して行うべき治療法である」との結論を述べています。

異なる時代と場所で、重曹点滴療法がガン治療に対して行われ、ともに著効を記録していたことは非常に興味深いことです。『ネイチャー』という世界的権威のある科学誌に掲載され、日本でベストセラー書籍となったことをきっかけに、日本でもこの古くて新しいガン治療法がきちんと検証され、ほんとうに高い効果が望めるならば、広く普及していくことを願っています。