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がん克服のカギは高性能レーダーによる状況把握にあり

がん治療の進化を目撃せよ!
日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

ぜひ知っておきたいがん治療の効果を測定する最先端の検査方法

[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

がんを克服した方の多くは「メンタル療法」や「食事療法」に積極的に取り組んでいると、前回の記事でご紹介しました。しかし、それだけではありません。効果的な治療法を提案してくれる「頼れる医師や治療家」を見つけ出し、さまざまな治療法を試しているのです。

この「頼れる医師や治療家」は大きな病院では見つかりません。日本の病院には「混合診療禁止」というルールがあり、病院の医師が保険適用外の治療法をすすめることができないからです。

そこで、効果的ながん治療を行ってくれる頼れる医師や治療家を病院とは別に探す必要があります。実は、患者さんの利益を第一に考えてさまざまな提案をしてくれる頼れる医師や治療家は、町の小さなクリニックや治療院にいるのです。いわゆる「赤ひげ先生」とでもいうべき存在です。そして、そうした頼れる医師や治療家と幸運にも出会えた方は、さまざまな治療法の中から自分にとって最適と思える治療法を選択することができるのです。

しかし、最適と思える治療法でも期待どおりの効果を上げるとは限りません。そこで、効果があったかどうかを知るための指標として、いくつかの検査が重要となります。

がん治療では、一般的に腫瘍しゅようマーカーやCT(コンピューター断層撮影)による検査が指標として使われます。しかし、腫瘍の大きさを調べるCT検査や、たんぱく質やホルモン、酵素などの最終代謝産物を調べる腫瘍マーカーは、がんの動きを捉える指標としては感度が低く、特に早期発見や予防にはあまり役に立ちません。

そこで、一般にはあまり知られていませんが、がん治療で特に重要な指標をいくつかご紹介しましょう。ただし、医療技術は日進月歩で、ここに挙げる指標が古くなることも十分にありえると頭に入れておいてください。

がんに限らず、免疫力はすべての病気との闘いにおいて主力部隊です。そのため、免疫力を測る指標は非常に重要です。実は、がんそのものを測る検査よりも、がんと闘う力を測る検査のほうが重要ともいえます。つまり、免疫力こそが、がんと闘うための高性能レーダーともいえる指標なのです。

通常、がん治療の場合、免疫力はリンパ球の数で測ります。がんに対する最も強力な部隊がリンパ球やその一種であるNK細胞だからです。免疫力の指標として、リンパ球数が1500以下の場合は免疫力が不足していてたいへん危険な状態です。できれば、2000以上は欲しいところです。もし2000以上の数値に達していないのであれば、リンパ球は栄養から作られていますので、細胞の材料となるたんぱく質や細胞膜の材料となる質のいい脂肪酸、さらに細胞の産生を促すビタミンやミネラルなどの栄養を適切かつ早急に補給する必要があります。

次に、がん治療の成果を大きく左右する指標として、がんの勢いを示す「NLR(好中球こうちゅうきゅう・リンパ球比率)」があります。この指標は新潟大学名誉教授の故・安保徹あぼとおる先生が早くから提唱していたため、別名「安保比率」とも呼ばれています。好中球数をリンパ球数で割った比率が2.0以上あると、がんの勢いが強くてたいへん危険な状態です。がんの勢いを抑える目安としては1.5以下を目指します。

また、NLRは自律神経の指標にもなります。好中球(顆粒球かりゅうきゅうの一種)は交感神経が優位の緊張状態で増加し、リンパ球は副交感神経が優位のリラックス状態で増加することが分かっています。そこで、体のNLR1.5以下を目指すためには、休養や温泉保養などで副交感神経が優位になるリラックス状態を心がけます。もちろん、リンパ球も好中球も体内で作られる物質ですので、適切な栄養補給が重要なことはいうまでもありません。

がん細胞は酸性の体にしか生存しないことはよく知られています。そこで、体の酸性化を防止する必要があります。血液は厳密にpHペーハーがコントロールされており、がんの進行による酸性化が反映されることはありません。そこで、酸性・アルカリ性の度合いを調べる指標として血液ではなく尿を測ります。尿に排出されるカリウムとナトリウムの量を測り、その比率をアルカリ度の指標とします。この数値が11.55以上であれば、がんが嫌うアルカリ度の高い環境になります。

また、自宅でpH試験紙を使って尿のpHを調べることでも代用できます。その場合はpH7.5~8程度を目指します。体内をアルカリ性に導くためには、野菜や果物など、カリウム含有量の多い食材を積極的に食べ、ナトリウムの多い食塩や加工食品、肉などを控えることが大切です。

「乳酸菌マッチング検査」「住宅フローラ検査」など、最先端検査の日本での普及を推進する国際和合医療学会の陰山康成かげやまやすなり医師(中央)と長岡美妃ながおかみき医師(右)

そのほかにも指標となるさまざまな検査があります。例えば、体内のたんぱく質の指標となる「アルブミン検査(目標値は4.0以上)」やがん発生の元である炎症の指標となる「CRP検査(目標値は0.1未満)」、体内のホルモン産生の指標となるビタミンD濃度(目標値は30以上)などです。

さらに、最先端検査として世界的に注目されているのが、将来のがんや発病の危険性を測る「乳酸菌マッチング検査」や「遺伝子検査」「住宅フローラ検査」です。腸内フローラや遺伝子は究極の個人差を生みます。同じ状況で病気になるかならないか、同じ治療で治るか治らないかを左右する大きな個人差です。

また、病気は、原因菌と個人差だけではなく、生活環境にも大きな影響を受けます。人が住む住宅の細菌や微生物、化学物質のバランスが健康にはたいへん重要なファクターであるとする「住宅フローラ」の測定は、日本ではほとんど注目されていませんが、欧米ではすでに盛んに行われています。こうした最先端検査は、将来の治療や健康の維持・増進に計り知れないメリットとなる可能性を秘めているといえるでしょう。

■日本先進医療臨床研究会ホームページ