プレゼント

あなたの体を守る「脂溶性ビタミンC」の大量摂取療法

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

短時間で排出される水溶性ビタミンCと長時間体に留まる脂溶性ビタミンC

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事(臨床研究事業)、一般社団法人不老細胞サイエンス協会理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

非常に多くの働きがあり、私たちの体を守るうえで重要な成分といえるのがビタミンCです。ビタミンCには、ストレスの軽減効果、骨折・外傷の早期回復効果、風邪(かぜ)などに対抗する抗ウイルス効果、ガン・動脈硬化・糖尿病に対する効果、公害・統合失調症・老化に対する効果、不妊症・白内障・アレルギーに対する効果などがあります。

ところが、イヌやネコなど、ほかの動物は通常ビタミンCを体内で作れる一方で、人間を含む数少ない生物はビタミンCを体内で合成できません。そのため、人間は外から食品やサプリメントの形でビタミンCを補給する必要があります。

なぜ人間がビタミンCを体内で作れないのか——一説には、人類の祖先が野菜や果物などで大量のビタミンCを毎日補給していたために体内で合成する必要がなくなり、その機能が退化してしまったと考えられています。ところが、現代になって昔ほど野菜や果物などを大量にとらなくなってしまい、機能障害や発病など、多くの問題が起こってきたのです。

ビタミンCが足りないことで起こるいちばんの問題は、壊血病(かいけつびょう)という死に至る病気になってしまうことです。壊血病は、明治時代まで多くの死者を出したビタミンB不足で起こる脚気(かっけ)と同じ栄養欠乏による病気です。

人類は、ビタミンCやビタミンBの欠乏が死に至る病気の原因と気づくまでに長い年月を要しました。こうした重要な発見にもかかわらず、現代医学では速効性が高く副作用のある薬を重視し、疾病(しっぺい)と障害から体を守るビタミンという重要な栄養素については軽視されていると感じられてなりません。

こうした風潮に対して、米国人で分子矯正医学の提唱者であり、ノーベル賞を二度受賞したライナス・ポーリング博士は『さらば風邪薬!』(講談社)という著書の中で、ビタミンCの効用について医薬品などと比較して次のように指摘しています。

まず「ビタミンCの大量摂取は風邪に効果がない。医学的な根拠がない」との批判に対して、「摂取量が一日10㍉㌘から200㍉㌘など少量での実験なので、風邪などの薬理を期待するならその10倍以上(数グラム)の大量でないといけない」と反論しています。また、「大量摂取しても尿として体外に出てしまうので無駄」との批判に対しては、「一度に摂取するのではなく一日に複数回に分けて摂取することで血中濃度を上げることができる」と反論しています。さらに、副作用に関しても、ポーリング博士はビタミンCの大量摂取は無害であることを主張しており、特に風邪薬の代表であるアスピリンと比較して毒性が低いと述べています。

実は、ポーリング博士も指摘した「一日に何度もとらないといけない」という水溶性ビタミンCの不便さを解消するために開発されたのが、今回ご紹介する「脂溶性ビタミンC」というビタミンC成分をパルミテートなどの脂溶性成分で包んだサプリメントなのです。

さて、ポーリング博士の盟友であり、分子栄養学の創始者である三石巌(みついしいわお)博士も、その著書『ビタミンC健康法』(講談社)の中でポーリング博士の「ビタミンCの適正摂取量は人によって個人差があるので一概にはいえないが、おおむね一日に250㍉㌘から10㌘」との主張に対して、「『ビタミンは食物から』への疑問」と題して、次のように言及しています。

「野菜のビタミン含有量はビニールハウス栽培によって60%以下に低下し、農薬使用によってさらに40%以下に低下するので、現実には野菜や果物のビタミン含有量は役所が把握している量の約16%程度になる。こうした量で一日250㍉㌘から10㌘を摂取するのは食品だけでは現実的ではない」と述べ、サプリメントによるビタミンC大量摂取の重要性を説いています。

また、「必要なビタミンCの量―『C』が特に大量に必要とされる根拠」と題して、次のような主張をしています。

「ビタミンCという物質が壊血病との関わりの中で発見され、この事実の重みがあまりに大きいことから、壊血病になりさえしなければビタミンCの摂取は十分という図式が定着したかのようだ。これが誤解であることは風邪とビタミンCとの関係ですでに明らかである。すべての病気に軽症と重症があり、急性と慢性があるが、壊血病でもそうである。いきなり歯茎(はぐき)が出血というのが決まりではないのだ。(中略)大量摂取がない限りビタミンCの不足は普遍的に見られるはずである」

『ビタミンC健康法―健康と長寿の第一条件』三石 巌著(講談社)

さらに続けて、「人間は細胞の新陳代謝によって生きている。この代謝を助ける補酵素としてビタミンCは働いている。そして、ビタミンCが助ける酵素の代謝は膨大な数に上る。このため、十分なたんぱく質と十分なビタミン・ミネラルをとることは健康のための必須条件である」と述べています。

ちなみに、三石博士は別の書籍で、人によって代謝の優先順位があり、ビタミンCの量が足りないと、遺伝的にその人の優先順位の高い順から使われていって、足りないところにはビタミンCが届かないため、人によって栄養欠乏による健康障害などの不具合が出る箇所が違うという「カスケード理論」を提唱しています。

人によって健康障害の出る場所が違い、白内障など目であったり、肝臓や腎臓(じんぞう)であったり、シミや肌荒れなど皮膚であったりするため、健康障害の理由がビタミンCなどの栄養欠乏に起因することが分かりにくく、解決策として大量のビタミンC摂取という方法にたどりつきにくいとしているのです。そのため、優先順位が下位の部位まで健康を維持するには大量のビタミンCが必要になり、食物からだけでは十分にとれない大量のビタミンCをサプリメントによって摂取する「メガビタミン主義」を推奨しています。

ポーリング博士や三石博士が活躍し、その説が主流だった2000年代までは水溶性ビタミンCしかありませんでしたが、現在は利便性と有用性に優れた脂溶性ビタミンCが市場には多くあります。以前のように一日に何度も大量のビタミンCをとらなくても、一日一回か二回摂取するだけで長時間体内に留まって体内のさまざまな代謝を助けてくれるのです。

日本先進医療臨床研究会でも、ガン治療や難病治療の補助的療法として脂溶性ビタミンCの代表格である高配合量のビタミンCパルミテートの併用療法を推奨しています。