プレゼント

「顎関節症」のツボ 聴宮・下関

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

顎関節症がくかんせつしょうとは、口を開け閉めしたときに「顎関節で音がする」「口が開けにくい」「あごが痛い」「ものが噛(か)みにくい」などの症状を引き起こす関節症の1つです。顎関節症は随伴症状として、頭痛・肩こり・めまい・目の疲れなども起こる場合があります。

現在、日本国内では、あごになんらかの症状を抱えている人が全人口の7~8割にも上ると考えられています。しかしながら、実際に病院で治療を受けている人の割合は7~8%程度とされています。顎関節に痛みを訴える患者さんは女性に多く、男性の2~4倍といわれています。また、特に若い女性と中年女性に患者さんが多いのが特徴です。

顎関節症が起こる背景として、主に4つの原因が考えられています。

咀嚼筋痛障害そしゃくきんつうしょうがい(あごを動かす筋肉に痛みが生じる状態)
②顎関節痛障害(顎関節に痛みが生じる状態)
③顎関節円板障害(顎関節の中にある、顎関節の骨と骨の間にある関節円板という組織にずれが生じる状態)
④変形性顎関節症(顎関節を構成する骨に変形が生じる状態)

このような状態に至るまでの背景としては、①歯の噛み合わせの異常、②精神的な緊張やストレスを原因とした顎関節への負担、③歯ぎしり・食いしばり・噛みぐせといった生活習慣を原因とするものがあります。

【顎関節症の予防】
硬いものを避けて、おかゆや軟らかい麺(めん)類など、噛む力が少なくすむ食事をとる
顔の筋肉をほぐし、上下の歯が接触しないように心がける
大きなあくびや長時間の歯科治療など、口を大きく開ける動作をできるだけ控える
うつぶせ寝によるあごへの負担を避ける
長時間、同じ姿勢を取ることを避ける。また、ネコ背やあごを突き出すような姿勢を避ける
ほおづえをつくなど、顎関節に負担がかからないように心がける

そこで今回は、顎関節に関連するトラブルが生じた場合に効果のあるツボを2つご紹介しましょう。

最初のツボは「聴宮ちょうきゅう」です。人さし指の指腹(指紋がある部分)でツボ部分を押し当てながら、円を描くように五秒間刺激します。これを5回、計3セット行ってください。

次に「下関げかん」のツボは、ほお骨の下縁のくぼみに取ります。この部分を親指の腹を使って押し下げるように刺激します。指を押し込んだときに「ズーン」という感覚があったら、その部分を5秒間押し当てて刺激しましょう。以上を5回、計3セット行うことで、顎関節の痛みが軽減できるでしょう。

由来
【聴宮】「宮」は要所の意味。聴宮のツボは耳中央にある突起の前方にあり、ここを治療すれば聴力が回復することから名づけられました

【下関】「下」は下方、「関」は扉の開閉を行うために扉に開ける穴「とぼそ」の意味。このツボは、上顎骨(上あごの骨)と下顎骨(下あごの骨)の連結点の下方にあり、下顎骨を動かすポイントであることから「下関」と名づけられました

効能
【聴宮】顎関節症、耳鳴り、中耳炎、めまい、難聴など

【下関】顎関節症、歯痛、頭痛、顔面のむくみ、耳鳴りなど