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「更年期障害」のツボ 湧泉・三陰交

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

「更年期症状」とひと口にいっても、全身の倦怠感(けんたいかん)や不眠、めまい、頭痛といった身体的症状をはじめ、やる気の起こらなさや(ゆう)うつ、不安といった精神的症状など、現れる症状はさまざまです。そして、顔面のほてりや全身発汗といった血管運動症状が見られるものの、検査では異常が認められないことが少なくありません。これらの症状がひどくなり、日常生活に支障をきたすようになると、「更年期障害」と呼ばれるようになります。

更年期とは、生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)の間の移行期のことです。一般的に更年期の年齢は閉経前後の5年間で、計10年間が該当します。閉経の年齢には個人差があり、40代前半から不調に悩まされる女性もいれば、50代後半になっても症状が現れない場合もあります。

更年期障害の原因は、卵巣から分泌(ぶんぴつ)される女性ホルモンのエストロゲンです。更年期になると卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量も減少します。エストロゲンの減少を脳が感知することで自律神経の失調を招き、更年期障害を引き起こすと考えられています。

最近では、女性だけでなく、男性の更年期障害も注目されています。男性の更年期障害は、加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少することで引き起こされます。医学上は、LOH症候群(加齢男性・性腺(せいせん)機能低下症候群)と呼ばれています。

男性の更年期障害は、主に40代後半から起こり、最も発症する年代は50~60代です。70~80代で症状を訴える高齢者もいます。代表的な症状として、うつ傾向、倦怠感(けんたいかん)、筋力低下、勃起不全(ぼっきふぜん)などが挙げられます。男性の更年期障害は、気分の落ち込みを表すうつ傾向と関連しやすく、「元気がなくなった」「毎日の楽しみが減った」「若い頃と比べて仕事への意欲が減った」などの感情を抱くようになります。

更年期障害は、これまで女性特有の現象として考えられてきましたが、近年では男性にも発症するという考えが社会的に広く浸透してきています。「更年期障害に男女の区別はない」という認知度の高まりとともに、医療機関で男性更年期障害と診断される方が増えてきていることも事実です。

ツボ刺激は、更年期障害(男性の更年期障害を含む)にも優れた効果を発揮します。有効なツボを二つご紹介しましょう。

最初のツボは「湧泉(ゆうせん)」です。両手の親指の指腹全体で、足裏の(へこ)み部分を足指に向かって押し込むように刺激します。5秒間を5回行うことを1セットとし、計3セット行いましょう。押す力は、指の(つめ)の色が白くなる程度が目安です。また、足裏の刺激方法として「青竹踏み」があります。青竹踏みは、特に立ち仕事や歩き疲れの後には効果抜群です。湧泉のツボとあわせて刺激することをおすすめします。

二つ目にご紹介する「三陰交(さんいんこう)」のツボは、骨の際を親指で押し上げるように刺激します。5秒間を5回行うことを1セットとし、計3セット行ってください。押す力は、湧泉のツボと同じように、指の爪の色が白くなる程度が目安です。

また、三陰交のツボは、(ぼう)(きゅう)(スティック状のお灸)を使って温めると心身の安定にもつながりますので、ぜひ試してみてください。

由来
【湧泉】「泉」は地底から湧き出す水のことで、「湧」は水が下から噴き出すという意味。すなわち、人間が生きるためのエネルギーが泉のように湧き出るツボという意味から名づけられました

【三陰交】「三」は数字の3、「陰」は宇宙の2大元気の1つ、「交」は交わる(交叉(こうさ))を意味しています。三陰は、太陰(たいいん)(しょう)(いん)厥陰(けついん)という3つの陰経(太陰脾経(ひけい)・少陰腎経(じんけい)・厥陰肝経(かんけい))が交わるところから名づけられました

効能
【湧泉】更年期障害、腰痛、下腹部痛、胃痛、歯痛、全身倦怠感、冷え症、足のむくみ、不眠など

【三陰交】更年期障害、冷え症、自律神経失調症、生理痛、生理不順、骨盤位(逆子)、足のむくみ、下痢、便秘など