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低放射線ホルミシス療法でガンや難病が改善する?

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

低線量の放射線の照射で免疫力を増強しガンや難病を改善する「ホルミシス療法」とは?

[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

「ホルミシス療法」という言葉をご存じでしょうか? ホルミシス療法は「少量の毒は薬になる」という事実を根拠として始まった治療法です。現在は、主に低線量の放射線によって免疫力を増強することでガンや難治性の疾患を改善する治療法として医療の現場で応用されています。

ホルミシス効果とは、もともと菌類の成長を抑制する物質が低濃度では逆に菌類を刺激して成長を促進するという事実から発見された「アルント・シュルツの法則」を元にした言葉です。その後、「ホルミシス」という言葉は使用範囲を広げ、「薬剤や放射線による少量の害が逆に生体の免疫力を増強することで病態の改善・治癒(ちゆ)などの有益性を持つ」という意味で使われ、今日に至っています。

一般的に放射線は少量でも害があることが知られ、医療用検査のレントゲンやCT(コンピューター断層撮影)検査などでも怖がる人がいます。福島の原発事故や原爆の影響からか、日本では「放射線」というと非常に害の大きな怖いものという印象があるのかもしれません。

ところで、放射線を浴びたら、体はどうなるのでしょうか。放射線を浴びると電離作用、つまりイオン化が起こります。人間の体は約70%が水なので、当然放射線は水に当たります。すると、水分子の H2OはHとOHに分断され、活性酸素フリーラジカルが発生します。つまり、放射線の害は活性酸素の害なのです。

皆さんが怖がる放射線は、実は自然界にも普通に存在します。例えば、まず宇宙からやってくる放射線。次に岩盤から地表に放出される放射線や、空気中の放射性物質によってもたらされる放射線。また、食品中に含まれる放射性物質によってもたらされる放射線も自然界には存在します。つまり、普通に生活していても、人は常に放射線に被ばくしているのです。その被ばく量は世界平均で年間約2.4㍉シーベルト、日本では約1.5㍉シーベルト程度といわれています。

ここで、放射線の単位についてまとめておきましょう。ベクレルは放射性物質が放射線を出す能力(放射能の強さ)を表す単位、シーベルトは放射線を受けた時の人体への影響を表す単位です。1ベクレルは1秒間に1回放射線が出る程度の量で、人の放射線被ばく量に換算すると約0.019㍃シーベルト程度の量になります。また、1000㍃シーベルトは1㍉シーベルト、1000㍉シーベルトは1シーベルトです、

『低量放射線は怖くない』中村仁信著(遊タイム出版)

食品に含まれるカリウムの0.01%は「カリウム40」という放射性元素です。カリウム40の放射線量は約4000ベクレルで、1秒間に約4000回も放射線が出ていることになります。食事で摂取するカリウム40の総量による年間の内部被ばく量は、0.2㍉シーベルト程度といわれています。つまり、少量の放射線を怖がる人は太陽の紫外線や携帯電話の電磁波を怖がるのと同じことなのです。ちなみに、体内からカリウム40などの放射性元素がまったくなくなると、細胞が働かずに代謝不全や発育不全などが起こることが知られています。

東北大学医学部放射線科教授の坂本澄彦(さかもときよひこ)先生らの研究チームによって、ガン治療に低線量放射線治療を応用した治療研究が行われました。その内容は、100㍉シーベルトを週3回、5週間で合計1500㍉シーベルトの照射でガンを治療するというものでした。

まず、動物実験によって低線量全身照射でガン転移を抑制することが確かめられ、ヒト悪性リンパ(しゅ)に対して低線量放射線治療が行われました。その結果、早期で消失する例もありましたが、末期ガンに対しては効果が薄かったと報告されています。

ただし、全体の5年生存率は有意に上昇しました。また、5週間という短期間で1500㍉シーベルの照射はかなり多い量ですが、100人以上の患者さんに行っても特に副作用がなく、一例も増悪によって治療を中断する事態になりませんでした。

こうした報告から、低線量放射線治療はガンに対してたいへん効果的な併用治療法といえます。しかし残念ながら、低線量放射線治療は一部の悪性リンパ腫を除いて行われていません。

イギリスで集められた放射線科医の症例データも報告されています。X線が発見された当時は放射線機器も未発達で放射線防護の知識も乏しかったため、放射線科医は大量の放射線に被ばくしていました。そのため、1920年以前の調査では、放射線科医339名は年間約1000㍉シーベルト以上の放射能を被ばくし、その結果、ほかの一般の医師に比べて1.75倍もガンで死亡する数が多かったと報告されています。

低放射線ホルミシス吸入器「ヘルシーラドン」

その後、放射線の有害性が明らかとなり、放射線防護機器や放射線照射機器が改善されて放射線科医の被ばくは急激に減りました。1955年以降には年間約5㍉シーベルトまで減っており、その結果、放射線科医1352人のガン死亡率はほかの一般の医師に比べて29%も減りました。

また、ガンだけではなく、それ以外の死亡率も36%も低下しました。つまり、低線量の放射線を浴びた放射線科医は、ほかの一般の医師よりも平均的に長生きしたことが判明したのです。

このように、低放射線は有害どころか、ガン治療や健康増進、長生きなどに効果があることが判明してきたのです。そこで、日本先進医療臨床研究会の会員など一部の医師らは、年間500㍉シーベルトまでは安全性が高く治療改善の可能性があるとして低放射線ホルミシス療法に取り組んでいます。例えば、100万ベクレル以上(年間19㍉シーベルト以上)の低放射線を発生するラドンガス発生器による吸入治療や、毎日の入浴時・歩行時にラドンによる低放射線を照射する低放射線ホルミシス機器などを使って、標準治療だけでは完治が難しいガンや難病の治療を行う症例研究などがあります。