プレゼント

カルシウムに潜む「吸収率」という盲点

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事長 小林 平大央

不溶性の炭酸カルシウムから微量ながら水溶性の酸化カルシウムへの転換が劇的な治療効果を生む

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主宰。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事長(臨床研究事業)、エポックメイキング医療研究会発起人代表(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

私たちの体を構成し、生命活動を維持するために不可欠なミネラルとして「カルシウム」という栄養素があります。しかし、私たちが日常的に摂取しているカルシウムが「どのような形態を取っているか」や「体内にどの程度吸収されているのか」といった視点は多くの場合、見落とされているといえます。実は、カルシウムには一般的に普及している「炭酸カルシウム」という形態と、人体にとって非常に有用な作用を持つ「酸化カルシウム」という形態があります。

私たちが食事やサプリメントなどから摂取するカルシウムの多くは、炭酸カルシウム(CaCO3)という形態で存在しています。この物質の最大の物理的特性は「水にほとんどようかいしない」という点にあります。 

人間の消化器官において、栄養素は水溶液中のイオン状態にならなければ腸管から効率的に吸収されません。そのため、炭酸カルシウムの形では胃酸によってある程度は溶解・イオン化されますが、加齢に伴って胃酸のぶんぴつ量が低下すると、その吸収効率は著しく低下してしまいます。

それに対して、化石サンゴを1200℃という高温で焼くというプロセスを経た「サンしょうせいカルシウム」は根本的に異なるアプローチを提示します。

炭酸カルシウムは通常860℃以上の高温で加熱すると熱分解反応が進行し、二酸化炭素が脱離して酸化カルシウム(CaO)へと変化します。そして、この変化で特筆すべきは、酸化カルシウムが微量(0.18%程度)ながらも「水への溶解性」を獲得するという事実です。炭酸カルシウムの熱分解反応による変化と、酸化カルシウムの水溶性に関する物理化学的特性は、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)などの基礎化学データベースなどで研究者にはよく知られています。

さて、水に不溶な状態から微量であっても溶解する性質を持つ状態への化学的変化は、生体内における吸収ダイナミクスを劇的に向上させる決定的な要因となります。一般的な医療機関で処方される炭酸カルシウム製剤によるこつ鬆症しょうしょう治療では、骨密度の改善は非常に緩慢です。一般社団法人日本骨粗鬆症学会のガイドラインなどの標準的な臨床データに照らしても、2年間の継続服用で骨密度の上昇は1~2%程度にとどまるのが通例です。ところが、水溶性を獲得した酸化カルシウム形態のサプリメントを摂取した骨粗鬆症治療の症例においては、わずか3~6ヵ月という短期間で骨密度が30%も上昇したという報告が存在しています。

既存の標準治療のペースを根本からくつがえすこの圧倒的な改善率は、生体内に取り込まれる化合物の「形態」が治療の有効性を左右する最大のカギであることを示唆しています。そして、この劇的な骨密度の変化は、単なるカルシウム摂取量の増加だけによるものではなく、水溶性という物理的特性がもたらす「腸管からの急激かつ高効率な吸収」が引き金となっていると考えられています。

吸収速度が飛躍的に高まることで、血液中のカルシウムイオン濃度が迅速かつ安定的に上昇し、それが骨形成を担うこつ細胞の働きを強力に活性化させるシグナルとして作用し、骨の再構築(リモデリング)プロセスを加速させているのではないでしょうか。

これは骨折患者の治療においても同様です。水溶性と吸収性が高い酸化カルシウムサプリメントを継続的に摂取した骨折患者の速度は、一般的な治療を行う骨折患者と比べて速いスピードで回復する可能性が多くの研究者から論じられています。

ところで、生体におけるカルシウムの役割は、骨格という構造的な支持体の形成にとどまりません。脳神経科学の領域でも、カルシウムイオンは神経伝達物質の放出プロセスに不可欠なトリガー(引き金)として機能しています。

脳内の神経細胞(ニューロン)において、活動電位(電気信号)がシナプス末端に到達すると、電位依存性カルシウムチャネルが開口し、細胞外からカルシウムイオンが急速に流入します。このカルシウムイオンの流入こそが、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質を含んだシナプス小胞を細胞膜と融合させ、情報を次の細胞へと伝達するための絶対条件なのです。

つまり、吸収性の高い酸化カルシウムによって血液中のカルシウムイオン濃度が適切に維持されることは、脳内の神経ネットワークにおける情報伝達を最適化し、メンタルヘルスの安定や認知機能の維持といった神経機能全体を底上げする強力なサポートとなりえるのです。

水溶性の珊瑚焼成カルシウム

サンゴを高温で焼成することによって得られる酸化カルシウムは、従来の炭酸カルシウムとは一線を画す体内吸収性を誇ります。短期間での劇的な骨密度の改善や、神経伝達プロセスの正常化など、医学的・生物学的に非常に興味深い健康効果を秘めているのです。

ただし、酸化カルシウムを食品として摂取しようとした場合、1つ大きな欠点があります。それは味が非常にまずいという点です。粉状や錠剤といった形で摂取した場合、まずすぎて多くの人が続けられないのです。また、酸化カルシウムには、水と反応すると熱を持つという物性もあります。

そこで、これらの欠点や物性をカバーするため、酸化カルシウムのサプリメントはごく微量を小さなカプセルに閉じ込めて飲用するという形を取っています。飲用時に味を感じない非常に小さなカプセルに微量の酸化カルシウムを入れることで、味も問題にならず、胃や腸で吸収されて水などと反応する際の熱発生を最小限に抑えたのです。今後、先進的な臨床研究の枠組みを通じて、この酸化カルシウムサプリメントの有効性と安全性が厳密なエビデンスとして検証され、新たな治療の選択肢として確立されていくことが強く期待されます。

日本先進臨床研究会では、今回ご紹介した珊瑚焼成カルシウムを使用した骨粗鬆症や骨折治療の早期改善、神経伝達障害の改善・予防などの症例研究を行っていく予定です。こうした治療研究にご興味のある医師・歯科医師、患者の方は、ぜひ当会までご連絡ください。