プレゼント

3大療法の限界を突破する次世代ガン治療(前編)

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事長 小林 平大央

次世代ガン治療の治療素材によってガンは怖い不治の病ではなくなる?

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主宰。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事長(臨床研究事業)、理論医学臨床研究学会発起人理事(理論医学の普及・推進)などの分野で活動中。

今回は、次世代ガン治療で用いられる代表的な治療素材をご紹介します。日本先進医療臨床研究会では、初代理事長である元京都大学大学院教授・しらかわろう先生が開発した次世代ガン治療を「S式次世代ガン治療」と呼んでいます。

この治療の最大の特徴は、ガン患者の免疫力や免疫細胞の数を低下させることなく、ガン細胞だけを狙い撃ちするさまざまな治療素材を組み合わせ、先進的な統合医療を実践することです。S式次世代ガン治療では、これまで抗ガン剤が効かず、完治を難しくしていた元凶である「かんよう系ガン細胞(タイプ2)」を標的とし、標準治療だけでは届きにくい根本原因へアプローチします。

その中心となる治療素材が「ヨウ素」です。近年、ガン治療の分野では、ヨウ素製剤が次世代の治療素材として大きな注目を集めています。特に、転移しやすく、抗ガン剤が効きにくい進行ガンや末期ガンに多く見られるタイプ2に対して、特異的な効果が期待されています。

では、次に次世代ガン治療の切り札として期待されるヨウ素製剤が、どのようなしくみで間葉系ガン細胞を狙い撃つのかをご紹介しましょう。

ガン細胞が周囲の組織へ深く入り込み、遠隔転移を起こす過程では、細胞の性質が接着力の強い「上皮系」から、自由に動き回る能力を持つ「間葉系」へと変化する現象が起こります。この現象は「上皮間葉移行(EMT:Epithelial-Mesenchymal Transition)」と呼ばれ、ガンの悪性化や薬剤耐性の獲得、すなわちタイプ2への変化を引き起こす最大の要因と考えられています。

ヨウ素製剤の最大の特徴は、体内に存在するPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ)という受容体に直接働きかけることです。ヨウ素によってPPARγが活性化すると、分化異常を起こしたガン細胞を正常な状態へ近づけるように働きます。その結果、ガン細胞が間葉系へ変化するEMTのプロセスが根本から抑えられ、しんじゅんや転移する能力を失わせることが、近年の研究で明らかになってきました。

この作用機序は基礎研究だけではなく、臨床の現場でも検証が進んでいます。メキシコ国立自治大学(UNAM)などの研究チームは、ステージⅢを含む進行乳ガン患者を対象に、従来の化学療法(抗ガン剤治療)とヨウ素を併用する臨床研究を実施しました。発表された論文によると、ヨウ素を併用した患者群では、抗ガン剤による副作用が有意に軽減しただけではなく、しゅよう細胞の再分化や抗腫瘍免疫の再活性化も確認されました。その結果、腫瘍縮小効果の向上や、無病生存期間の延長などの成果が報告されています。

このように、ヨウ素には抗ガン剤への耐性を改善し、その効果を高める可能性があり、難治性の進行ガン治療に新たな希望をもたらす治療素材として期待されています。

ヨウ素は、こうじょうせんをはじめ、人体に古くから存在し、安全に利用されてきたひっミネラルです。そのため、未知の化学物質から作られた新薬と比べて生体との親和性が高く、副作用を抑えながら継続できる治療法として期待されています。従来の抗ガン剤のように正常な細胞まで無差別に攻撃するのではなく、細胞の悪性化を遺伝子レベルから正常化へ導き、ガンそのものを無力化しようとする点がヨウ素製剤の大きな特徴です。

ヨウ素製剤に続いて、次世代ガン治療を支える治療素材として注目されているのが「ゼオライト由来の水素サプリメント」です。生体内の酸化ストレスを抑え、本来備わっている免疫力を引き出すこのアプローチは、ガンとの闘いにおいて重要な役割を担うと考えられています。

ガンの発生や進行、さらに治療に伴う副作用の背景には、ヒドロキシルラジカルなどの「悪玉活性酸素」の過剰発生があります。悪玉活性酸素は、細胞のDNAを傷つけるだけではなく、本来は異常細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞やT細胞などの免疫細胞まで疲弊させ、免疫機能を大きく低下させてしまいます。

『私は万病でも水素で治します』白川太郎著(さんが出版)

そこで注目されているのが「水素」です。2007年、日本医科大学名誉教授のおおしげ先生らが『Nature Medicine』誌で発表した研究をきっかけに、水素分子が毒性の強い悪玉活性酸素だけを選択的に還元し、無害な水へ変える働きを持つことが広く知られるようになりました。この優れた抗酸化作用によって細胞の酸化ダメージが抑えられると、疲弊していた免疫細胞が本来の働きを取り戻し、全身の抗腫瘍免疫の活性化につながることが期待されています。

しかし、水素は宇宙で最も小さく軽い元素であるため、体外へ抜けやすく、体内に長時間とどめておくことが難しいという課題がありました。この課題を克服するために活用されているのが「ゼオライト(ふっせき)」です。

ゼオライトは、ミクロレベルの無数のさいこうを持つ天然の多孔質鉱物です。スポンジのような空洞構造を利用して、水素、あるいは体内で水素を発生させる物質を吸着・保持することができます。そのため、ゼオライト由来のサプリメントを摂取すると、消化管内で水分と反応しながら、水素がゆっくりと持続的に放出されます。これにより、一時的ではなく、体内で悪玉活性酸素を継続的に除去しやすい環境をつくることが可能になります。

さらに、ゼオライトには本来備わっているイオン交換作用があります。この作用によって、腸内の重金属や有害物質を吸着・排出するデトックス効果が期待されます。そこへ水素の強力な抗酸化作用が加わることで、単なる活性酸素の除去にとどまらない相乗効果が生まれる可能性があります。

腸内環境や体内の酸化状態が整うことで、ヨウ素製剤や標準治療など、並行して行う他の治療の効果も発揮されやすい体内環境づくりにつながるのではないでしょうか。副作用のリスクが低く、人間が本来持つ免疫機能を自然な形で引き出すゼオライト由来の水素サプリメントは、ガン治療を全身の環境改善という視点から支える、次世代治療の重要な治療素材といえるでしょう。

ヨウ素製剤やゼオライト由来の水素サプリメント以外にも、S式次世代ガン治療で注目している治療素材があります。次回は、それらの治療素材についてご紹介します(後編へ続く)。