365調査隊
健康を害すると分かっていても、なかなかやめられないタバコ。禁煙に成功して安堵していたら、どうもズボンのウエストがきつくなっているような……。タバコにまつわるウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
タバコをやめても太らない人はいる⁉
吸っている本人だけではなく、周囲の人々の健康まで害するとの理由から、禁煙・分煙が急速に進められているタバコ。確かにタバコの煙には、三大有害物質であるニコチン、タール、一酸化炭素のほか、実に数十種類もの有毒物質が含まれているといわれます。
度重なるタバコ税の増税により、値段も高くなる一方なことから、皆さんの周囲にも渋々禁煙に取り組む人が少なくないのではないでしょうか。
ところで、禁煙に成功した人から「タバコをやめたら太った」という声を聞くことがあります。あるいは逆に、「タバコをやめたら痩せた」という人も散見されるのが不思議ですが、少なくともタバコをやめたことでなんらかの体重変化を自覚する人が一定数いるのは事実のようです。
これは一体なぜなのか? 新見正則医院の新見正則先生に聞いてみました。
「諸説あるようですが、喫煙者がタバコをやめたからといって、それ自体が理由で体重が変化することはありません。禁煙して太ったという人は、単に口が寂しくて甘いものを食べすぎてしまっているケースがほとんどでしょう。あるいは、禁煙して痩せたという人は、それまでタバコを吸いながらつまみ食いをしていたというのが真相ではないでしょうか」
新見先生いわく、「太ったり痩せたりというのは、基本的に運動量や摂取カロリーによって左右されるものですから」と、これは確かにごもっともなコメントでしょう。つまり、禁煙して太りはじめたと感じるなら、無意識に増えた摂取カロリーを自覚して抑えるしかありません。
また、「タバコをやめたら食事がおいしく感じられるようになった」という声もよく耳にします。こちらの真相は?
「味覚の変化に関しては事実かもしれません。なぜなら、口の中にヤニがこびりついていれば、食べ物の味が落ちるのも当然だからです。実際、一流シェフに喫煙者は少ないですからね」
なるほど、こちらもまた明瞭なご回答。こうなると、健康に悪影響があって、食事もおいしくなくなるようなものを、なぜ多くの人が好んでたしなむのか不思議です。
「体に悪いこと、リスクのあるものというのは、時に快感を伴うものなんですよ。これは雪山登山やトライアスロンに入れ込む人がおおぜいいる事実と似ているように思います。リスクはあっても、それに伴う快感を得ようとするのは、当人の自由ですからね」
まさに、タバコが嗜好品といわれるゆえんでしょう。でも、吸いすぎにはくれぐれもご注意を。