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広島県三原産の〝マダコ〟に腸内環境改善効果があるとわかった

ご当地研究最前線
広島大学生物圏科学研究科教授 加藤 範久

マダコは腸の悪玉菌を減らして善玉菌を増やす

瀬戸内海に面している広島県は海産物が豊富で、全国的にもカキの産地として知られています。豊かな海に恵まれ、カキのほかにも多くの海産物が獲られています。名産の1つが、マダコです。

広島県三原市はマダコの産地として知られています。三原市沿岸には小さな島が多く、水温が一定できれいな海のため、マダコが住みやすい環境が広がっているのです。岩場が多く、エサになるエビやカニがたくさん住みついているのもマダコが多い理由です。

広島大学の加藤範久教授(生物圏科学研究科)は、三原市、三原観光協会と協力して、三原産のマダコが持つ健康効果を研究しています。三原産のマダコには、腸内環境を改善する機能があることが解明されたのです。加藤教授に、マダコの栄養成分についてお話を伺いました。

「私たちが研究するまで、タコの栄養成分に対する研究はほとんど進んでいませんでした。血中コレステロールを低下させることはわかっていましたが、あらためてタコの新しい機能性について検討することにしたのです。まず私たちの実験で、三原産のマダコにはたんぱく質をはじめ豊富な栄養があることがわかりました」

マダコの乾燥粉末は、悪玉菌のクロストリジウムを減少させ、善玉菌のラクトバチルスを増加させる

加藤教授が分析したところ、マダコにはタウリンが豊富に含まれていることが判明。さらに、マダコに含有されるアミノ酸を調べると、アルギニンとシスチンが多いことが確認されました。

「タウリンは疲労回復、アルギニンは抗動脈硬化、シスチンはコレステロール低下の働きがあることがわかっています。そこで、脂質代謝などに着目して、ラットを使った実験を行いました」

21日間にわたり、ラットに高脂肪食を与えた群と、マダコを凍結乾燥して粉末化したものを高脂肪食に20%混ぜて与えた群を比較。体重の増加や臓器の重量などに影響はなかったそうですが、ふん中に含まれる水分を増加させることがわかったのです。

「ラットの腸内細菌叢(腸内フローラ)をくわしく調べてみると、クロストリジウムという悪玉菌が減少し、ラクトバチルスという善玉菌が増加していることが確認されました。さらに、腸管免疫機能の指標でもあるIgAが増加していることがわかりました。この結果から、マダコの乾燥粉末は、大腸がんや大腸炎、アレルギーの予防効果が期待できると示されたのです」

腸管の免疫機能が強化されると、体内に異物が入りにくくなります。悪玉菌が減少し、善玉菌が増加したことからも大腸にかかわる病気の予防につながると考えられています。

「食物繊維やオリゴ糖が腸内環境を改善することが、さまざまな試験によって明らかになっています。こうした成分がマダコに含まれていないにもかかわらず、同じ効果が得られたことに驚きました」

マダコは加熱するより〝生〟で食べるのが最適

マダコの乾燥粉末は腸管免疫の指標でもあるlgAを増加させる

さらに研究を進めると、マダコの効果は腸内環境を改善するだけではないことがわかりました。

「マダコの乾燥粉末は、心筋梗塞や高血糖の原因となる血中遊離脂肪酸を減少させることがわかりました。研究が進むにつれ、ほかの健康効果も明らかになるでしょう」

マダコの乾燥粉末に含まれる成分のうち、どの成分が効果を発揮しているかについて、現在研究が進められています。加藤教授はたんぱく質が有力だと話しています。

「マダコに含まれるたんぱく質の1つが健康効果を発揮していると考えています。今後も研究を進めていき、成分を見極めたいと考えています」

健康効果を考えた場合、マダコを1日100~200㌘摂取するといいそうです。

「朝・昼・晩とマダコを食事に取り入れれば、決して難しい量ではないと思っています。マダコは加熱すると、腸内環境の改善効果が半減することがわかっています。生のマダコを食べるのがおすすめです」