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新庄村で取れるキウイの別種〝サルナシ〟に肺がんを抑える働きがあると動物実験で実証

ご当地研究最前線
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科准教授 有元 佐賀惠

豊富なポリフェノールでがんの発症を抑制

岡山県は「晴れの国おかやま」と呼ばれるほど、晴天に恵まれている地域です。1981年から2010年までの30年間の天候を調査したところ、降水量1㍉未満の日数(平年値)が47都道府県の中で第1位だったという結果も出ています。

安定した天候の岡山県は、多くの作物や瀬戸内海で取れる豊富な魚介類が名産になっています。岡山県で栽培されている作物の中に「サルナシ」があります。

サルナシはマタタビ科マタタビ属で、キウイフルーツと同属ですが別種になります。岡山県真庭郡新庄村で栽培されているサルナシにがんの抑制効果が確認されるなど、健康効果が注目されています。岡山県新庄村のサルナシを研究している岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀惠准教授にお話を伺いました。

「新庄村で取れるサルナシが、健康増進のために古くから親しまれているという話を聞いて興味を持ち、研究をすることになりました」

有元准教授がサルナシに含まれる成分を分析したところ、ポリフェノールが豊富に含まれていることがわかったといいます。

「サルナシの機能性を確かめるため、マウスを使ってさまざまながんの実験を行っていくと、皮膚がん、肺がん、大腸がんに効果が期待できることがわかったんです」

有元准教授は「がん予防学術大会2015さいたま」で「サルナシによる、タバコ特異的ニトロサミンNNK誘発マウス肺癌抑制」という研究結果を発表しています。

「タバコに含まれる特有の発がん性物質を31匹のマウスに皮下注射した後、16匹に水道水、15匹にサルナシの果汁を飲ませました。22週間後にマウスを解剖して肺を調べたところ、水道水のグループは1匹あたり3~7個の腫瘍が見つかったのに対し、サルナシの果汁を与えたグループはほとんど見つからなかったのです。この結果から、サルナシの果汁には肺がんの発症を抑える働きのあることが示されました」

そのほか、サルナシの果汁を皮膚に塗ることで皮膚がんの発症を抑制することも、動物実験で確認しています。現在、新庄村のサルナシを使ったジャムやお酢が製品化されています。