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第25回 時間があったのに気づけば遅刻!ADHDと「時間盲」の話

ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる!

雨野 千晴

時間があったのに気づけば遅刻!ADHDと「時間盲」の話

[あめの・ちはる]——北海道生まれ。北海道教育大学札幌校卒業。公立小学校教員として10年間勤務。2017年にADHD(不注意優勢型)と診断。現在はADHD専門ライフコーチ、NPO法人代表理事、福祉事業所スタッフなど"多動な"複業活動を展開中。

「今日は時間がある!バリバリやることを進めるぞー!」と思っていたのに、なにもできないまま夕方になっていた……そんな経験はありませんか? 朝、余裕を持って起きたはずが、気づけば待ち合わせ時間とか、そんなことが私はしょっちゅうです……。

今日も遠方から友人が会いに来てくれたのですが、出発前に「まだ間に合いそう!」とあれやこれやと作業をしているうちに、あっという間に時間がたっていて、我が家から徒歩5分の待ち合わせ場所に行くのに遅刻をしてしまいました……。

ADHD脳タイプの方は、私のように時間のズレを感じることがよくあるようで、「時間盲(タイムブラインドネス)」の傾向があるといわれることも。時間盲とは、時間の経過をリアルタイムで把握する力が弱い、時間感覚にゆがみのある状態のことです。例えば、「あとじつぷんある」と思っていたのに、実際には30分たっていたり、「夕方までにやるつもり」が、気づけば夜になっていたり。ADHD脳タイプの方は時間ギリギリになりがち、遅刻しがちだったりしますが、その原因は寝坊や時間を守る気持ちがなかったのではなく、時間感覚のズレによるものであることも多いのではと思います。

だからこそ、「また約束を守れなかった……」「時間に遅れてしまった……」と自分を責めてしまいますが、それは不毛な負のループ。そこから脱するために、遅刻しがちな私がタイムワープ対策として取り組んでいる工夫をシェアします!

①音楽をタイマー代わりに使う

「決まった時間の中で作業を行う」と決めて、アップテンポの曲調の音楽を決めた時間で止まるように流します。単純にタイマーだけをかけるより、リズムに合わせてサクサクと手も進んで、音が鳴ると終わり!というのも感覚的に分かりやすくてよいです。

②「やることを進めるぞ!」という日は、まずは場所を変える

私の場合、タイムワープのきっかけは、ほかのいろいろなものが目について予定外のところに手を出してしまうことが多いんです。ですので、パソコンやスマートフォンでできる作業の場合は、自宅で始めるよりも、ちょっとおっくうでも外出してカフェや図書館などで行うとワープ率が低くなります。

「自宅じゃないとできない!」という場合は、人を巻き込むという方法もおすすめ。家族と一緒に時間を決めて取り組んだり、ZoomやLINEを使って、オンラインで友人とつながって、お互いに時間を決めて作業をする。「なにも話さないのにオンラインでつながって作業?」と思うかもしれませんが、不思議なことにオンラインでも時間を共有して作業にあたることで、自分1人の時よりも時間を意識しやすくなり、集中力が高まったり、終わり時間を意識できたりするのでおすすめです。

③待ち合わせ時間前に外出する

今日の友人との待ち合わせ時間は正午だったのですが、お昼まで時間があるな~と思うと、ダラダラしたり、急に片付けをしだしたりして、気づけばタイムワープに陥っていました。これを防ぐには、とにもかくにもまずは家の外に出てしまうのも1つの方法ではないかと思います。

私はヨガのレッスンに通っているのですが、朝イチでレッスンを受けると、その後の予定に遅刻することはまずないんです。というわけで、午後に約束がある時は、「時間がある!」と油断して家でのあれこれをスタートするのではなく、外での用事を入れてみる。自宅でやることは約束が終わって帰宅後にやるのはどうだろうと思います。

ちょっと油断するとすぐに時空がゆがんでしまう私ですが、「どんな工夫が自分には合っているかな?」と、楽しみながら実験を重ねていきたいと思います。

イラスト/雨野千晴