雨野 千晴
息子の体育大会で大ピンチ!数字を覚えられない私

先日、息子の体育大会に行ってきました。我が家は息子が通う中学校まで徒歩五分という距離なのにもかかわらず、時間の読みが甘い私。気づけば「もう始まる時間!」となり、大慌てで家を飛び出し、息子の演目ギリギリの時間になんとか到着しました。
そして、グラウンドに集まって競技の準備を進めている子どもたちの姿を見て、愕然としました。息子が通う中学校は、全校生徒800人弱。グラウンドの片側に全校生徒が集まり、クラスでチーム分けされた色ごとに整列していたのですが、息子がどこにいるのか全然分かりません。なんと私は、息子のクラスが何組だったか、何色なのかをまったく覚えていなかったのです。これは絶望しかない……(笑)。ちなみに私は、ママ友的お付き合いがほぼ皆無なので「うちの子、今年何組で何色だっけ?」とも誰にも聞けず……。いや、聞くにしても、そもそも自分の子どものクラスが何組なのか覚えてないなんてヤバすぎる!! 恥ずかしすぎる……!!!と、脳内は大パニックに。
私は数字を覚えるのが大の苦手です。学校の勉強は比較的得意なほうで数学も好きだったのですが、単純に数を数えるということや、数字を覚えるということはさっぱりできません。自宅の電話番号や住所すら怪しいレベルです。昨年の家庭訪問では、担任の先生に伝えた住所が間違っていて(番地が間違っていた……)、先生が途方に暮れてしまったこともありました。
一方、自閉症スペクトラムの長男は、数字を愛してやまない男。知人友人の誕生日はすべて覚えていて(私は母親の誕生日や子どもたちの生まれ年も怪しい)、家族のスマートフォンの番号も暗記しています。幼少期は言葉の発達が遅かったのですが、「ママ」を覚えるよりも先に数字を覚えていました。自閉傾向のある方は、抽象的な概念を理解したり表現したりするのが苦手な方も多いそうですが、数字はあいまいさがないという点で惹かれる方も多いのかもしれません。
そんなわけで、息子のクラスが分からず、しばらく当てずっぽうにあたりを見渡していた私ですが、保護者観覧席から豆粒大の全校生徒800人弱の中から息子を遠目で探し当てるのは、砂浜に落としたピアスを探すようなもの……。どう考えても無理です。せめてクラスが分からないと、どの辺に並んでいるか見当もつきません。そこで意を決した私は、校門近くで交通整理をしていた先生に声をかけました。「ありえないことを伺って恐縮なのですが……。わたくし、自分の子どものクラスを覚えていなくてですね、教えていただくことは可能でしょうか……」。すると、声をかけた先生はすぐに無線で連絡を取ってくださり、あっという間に息子のクラスと色が判明。その後、私は無事に体育大会に参加する子どもを応援することができました。
この一部始終をSNSに投稿したところ、「私も去年そうでした!」「授業参観で同じことがありました!」と、思いがけず「子どものクラスを覚えていなくて困った」経験者から共感コメントをたくさんいただきました。自分の子どものクラスを覚えてないなんてありえない……と思ったけど、意外にそういうお母さんもいるのかと、なんだか心強い(?)思いがしたのでした。
うっかり仲間の皆さんは、「私だけかもしれない」「ありえない。誰にもいえない」「こんなことで迷惑をかけられない」と思うことも多いかもしれません。ですが、思い切って相談してみるとあっさり解決することもありますよね。できないことを「恥ずかしい」と、もじもじしている間にまずは聞いてみる!そうすると、意外に「実は私も……」なんて、お仲間に出会えることもあるかもしれませんよ。
