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おしっこを我慢しすぎると膀胱が破裂するってホント?

健康常識のウソ・ホント[365調査隊が徹底検証!]

365調査隊

高齢者の悩みに多い排尿障害。トイレを我慢しすぎると、細菌が増殖しやすくなり、尿道を逆流して感染症を引き起こす可能性があります。我慢が習慣化した結果、膀胱ぼうこうが破裂してしまうなんていううわさも……。尿に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。

外から圧力が加わると膀胱破裂もありえる

ご高齢の方から「年を取るとトイレが近くて……」というボヤキを耳にすることが少なくありません。

排尿機能がしっかりと働いていると考えれば悪いことではないのでしょうが、頻繁にトイレに立たなければならないのはおっくうなもの。だからといって我慢しすぎるのも体に悪そうで、尿をため込みすぎると、やがてぼうこうが破裂してしまうという、まことしやかなうわさもあります。

しかし、実際にそんなことが起こりえるのでしょうか? センダンきたがみ中央病院院長のすがきみ先生に聞いてみました。

「ごくまれに、2㍑もの尿がたまった状態で受診される方がいますが、安静にしているぶんには膀胱破裂に至ることはまずありません。ただ、尿をパンパンにため込んだ状態では、膀胱壁は紙のように薄くなっているため、転倒するなど、外からの圧力が加わると破裂することもありえるので注意が必要です」

菅谷先生によれば、事故による腹部圧迫やこつばんそんしょうで膀胱破裂を起こすことはあるものの、症例としては非常に少ないのだそう。

もし膀胱破裂の急患が搬送されてきた場合は、「腹膜内膀胱破裂であれば、開腹手術で破裂部分を修復。腹膜外膀胱破裂であれば、経尿道的カテーテル留置による治療を行うのが一般的」とのこと。

尿意を我慢しているのか、それとも尿意が低下しているのかが大きなポイントで、例えば、糖尿病を患っているとまっしょう神経障害で知覚がどんし、尿意を感知しにくくなることがあるのだそうです。

「そのほかにも、統合失調症の患者では時折、膀胱が破裂しそうなくらい尿がたまっている例を見かけることがあります。あるいは、ぜんりつせんだいしょうの方は、飲酒後などに尿を排出できない状態に陥り、時には2㍑ほどたまっていることがあります」

なお、1日に1度程度であれば、800㍉㍑前後の尿をためても問題はありません。ただ、それが常態化すると膀胱が伸び切って収縮力が低下し、排尿しても残尿感が残るようになることもあると菅谷先生は語ります。

「これは空気を抜いても伸び切ったままになっている風船と同じ状態です。慢性的に尿がたまった状態でいると、膀胱排尿筋が伸び切ってしまったり、膀胱血流が低下したり、さらには虚血性の変化によって筋層や神経に障害が起こったりして、尿意を知覚しにくくなることがあります」

尿意は我慢しすぎないこと。これが健康な排尿のためには重要なのです。


365調査隊とは
ちまたにあふれる健康常識の真偽を検証するために編集部員とプロアスリートで健康マニアのライター・友清哲ともきよさとし氏が「365調査隊」を結成! 各分野の専門家を取材して健康常識の真実に迫ります!

菅谷公男先生が診療されているセンダン北上中央病院の連絡先は、
〒904-0101 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭631-9 ☎098-936-5111です。