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「耳鳴り」のツボ 聴宮・外関

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

年を重ねてから、人の声やテレビの音が聞こえにくく感じていませんか?

聞こえにくさを引き起こす原因の一つに「耳鳴り」があります。耳鳴りのメカニズムは、いまもはっきりしていませんが、音の伝わる部分になんらかの障害が加わることで起こると考えられています。

耳鳴りは誰にでも起こりうる症状で、健康な人にも現れます。耳鳴りの症状を訴える人の8割以上が難聴を伴い、高齢者の約3割は耳鳴りを訴えているという統計もあります。この原因としては、耳の内耳にある「()(ぎゅう)」という器官にある(ゆう)(もう)細胞(外から入った音を振動として感じ取る細胞)が減少することで、加齢性難聴を引き起こすとされています。

耳鳴りには個体差(個人差)があり、音の種類(高音性・低音性・混合性)は以下のように分類されます。

①高音性耳鳴り
「キーン」「ピーン」といった高い音は、現れやすい耳鳴りのタイプです。静かな部屋で高音性の耳鳴りを感じた場合は、加齢が原因で起こる耳鳴り(加齢性難聴)の疑いがあります。

また、騒音の激しい場所(コンサートやライブ会場、電車や高速道路の高架下、工事現場など)の影響で起こる「音響外傷」によっても高音の耳鳴りが起こる場合があります。

②低音性耳鳴り
「ゴォー」「ザー」といった、低い音の耳鳴りには()(へい)(そく)(かん)を伴う場合が多く、飛行機に乗ったときなどの気圧変化やストレスから起こりやすいといわれています。また、低音性の耳鳴りの中には、重篤な疾患が隠れている場合があるので要注意です。

そのほか、メニエール病や中耳炎、()(こう)(そく)(せん)、突発性難聴などでも低音性の耳鳴りが起こることがあります。慢性的に耳鳴りが続くときは、耳鼻(いん)(こう)科を受診することが大切です。

③混合性耳鳴り
「ガッガッ」「ザーザー」といった一定のリズムで拍動しながら、複数の音が混ざって起こる耳鳴りです。混合性の耳鳴りが起きたときは、血管の中を流れる血液の音を聞いている可能性があります。「ドクドク」といった耳鳴りの音が認識されれば、耳の周辺の血流が悪くなっているおそれがあります。さらに、耳の周辺の筋収縮によって、吐き気やめまい、頭痛などを伴うこともあります。

片耳のみならず、両耳で耳鳴りを感じる場合は、原因としてストレスや高血圧、貧血などが考えられます。また、「内耳(しゅ)(よう)」「脳動脈(りゅう)」「動脈硬化」などの原因も考えられるので、早めに専門医を受診するといいでしょう。

では、耳鳴りに対して効果がある「(ちょう)(きゅう)」「(がい)( かん)」のツボをご紹介しましょう。

ツボ刺激では、人さし指の指腹を使って「聴宮」のツボ部分を押し当てながら、円を描くように5秒間押し当てて刺激します。これを5回、計3セット行ってください。

次に「外関」のツボですが、手の甲と手首の境目から指3本分下に取ります。親指の指腹でひじに向かって軽く押し上げ、指が止まる部分がツボです。「聴宮」と同様に、円を描くように5秒間押し当てて刺激します。これを5回、計3セット行ってください。

ツボではありませんが、軽度な耳鳴りの場合、反応点として耳鳴りの音が小さくなったり、一時的に消失したりする部分があります。これを私たちは「耳鳴点」と呼んでいます。「耳鳴点」は、耳の周囲を親指や人さし指の指腹で押すことで、耳鳴りの音が変化します。もし、耳鳴りの音が変化する部分を見つけたら、その部分を5秒間押し当てて刺激してみましょう。これを5回、計3セット行うことで耳鳴りの改善が促されます。

由来
【聴宮】「宮」は要所の意味。聴宮のツボは耳中央にある突起の前方にあり、ここを治療すれば聴力が回復することから名づけられた

【外関】「外」は手の甲側、「関」は出入りの要所の意味。手のひら側にある「内関」というツボと向かい合う位置にある

効能
【聴宮】耳鳴り、めまい、難聴、中耳炎など

【外関】歯痛、頭耳鳴り、頭痛、ほおの痛み、胸脇痛、手指の痛み、疲労回復、自律神経の調整など