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頭皮の血流改善する医師考案の[頭部爪スライド]

皮膚科

こもれびの診療所院長 加藤 直哉

髪は一定の周期で新しく作られるが老化と血流の悪化で抜け毛が進行する

[かとう・なおや]——2000年、琉球大学医学部卒業。2006年、久留米大学名誉教授の無敵剛介医師に師事。2006年~2009年山元病院にて山元式新頭鍼療法(以下YNSA)を創始者である山元敏勝医師から学ぶ。2009年、健康増進クリニック勤務を経て、2020年、こもれびの診療所を開院。山元式新頭鍼療法学会副会長、日本東洋医学会漢方専門医、日本小児科学会専門医、米国催眠士協会認定セラピスト。ケアワークモデル研究会に所属。

髪は外見に影響を及ぼすだけでなく、直射日光から頭皮を守って体温調節を助けるほか、温度の変化や物理的な衝撃から脳を保護する働きを担っています。健康維持に欠かせない大切な髪ですが、一日に約80~100本ほど抜け落ちてしまいます。しかし、特別な病気にならないかぎり、すべての髪がなくなることはありません。頭皮には、一定の周期で新しい髪を作り出すしくみがあるからです。

髪が生えて抜け落ちるまでの期間を(もう)(しゅう)()(ヘアサイクル)といいます。髪は、成長期→退縮期→休止期という毛周期を経て抜け落ちます。毛周期が乱れる原因として挙げられるのが老化です。老化によって成長期が短くなり、休止期が長くなると、徐々に髪は薄毛の状態になっていきます。老化による薄毛の進み方や起こり方には個人差があります。

頭皮には髪を生み出す「毛母(もうぼ)細胞」があります。毛母細胞は頭皮の毛根にあり、アミノ酸などの栄養を受け取って髪を作り出しています。毛母細胞は血液から栄養をもらっているため、髪の健康には頭皮の血流をよくしておくことが大切です。

YNSAを基礎とした「頭部爪スライド」は頭皮の血流改善に有効で頭痛や疲れ目も改善

髪の血流を改善するために、ぜひ取り組んでいただきたいのが「頭部(とうぶ)(つめ)スライド」です。これは、私が長年研究し、治療に取り入れている「山元式新頭鍼(やまもとしきしんとうしん)(りょう)(ほう)(Yamamoto NewSculp Acuoabcture。以下、YNSA)」を基礎としています。

YNSAは、1973年に宮崎県の山元敏勝(やまもととしかつ)医師によって確立された(はり)治療です。伝統的な中国式のツボとは違う治療点を刺激するYNSAは、「新頭鍼療法」と名付けられています。

学生時代にひじを痛めた私は、西洋医学の治療を受けたものの回復に至りませんでした。ところが、鍼と電気を組み合わせた治療を受けると、動かなかったひじがその場で動いたのです。医学の道に進んだ私は、西洋医学だけでなく、鍼灸や漢方なども学びました。補完代替医療と呼ばれる医療を学ぶ中で出合った治療法が、YNSAです。YNSAを患者さんの治療に取り入れた私は、腰・肩の痛みやマヒ、頭痛、耳鳴り・めまいなどに高い効果を得ています。

YNSAは、頭部の血流改善にもおすすめです。自分でできるYNSAの方法として、頭部爪スライドをご紹介しましょう。

YNSAの重要な治療点は、額の中央寄りから頭頂部まで、縦に二本の線でつながるように並んでいます。頭部爪スライドは、爪を滑らせながらこの治療点を刺激します。痛みや違和感を覚えたところは、指の第二関節などを使ってじっくり刺激してください。

頭部爪スライドは、頭皮の血流改善だけでなく、疲れ目や頭痛などの不調の改善にも有効です。気づいたときに、いつ取り組んでいただいてもかまいません。毎日の隙間(すき ま)時間に行って、心身を元気に保ちましょう。