雨野 千晴
ADHD脳タイプに効く⁉ごほうびは即出しで!

みなさんはやらなきゃいけないことがある時、ちょっと頑張りが必要な時、自分に「ごほうび」を用意することはありますか?「1週間頑張ったら金曜の夜は飲みに行こう!」とか「この書類を片づけたらおいしい紅茶でも入れようかな」とか。
自閉症・軽度知的障害のある長男は、小学校入学前に、ごほうびを使った課題に取り組む療育を受けていました。ABA(応用行動療法)といわれる応用行動分析を用いた心理療法で、「行動」に注目して介入し、その行動を増やしたり減らしたりする方法です。「行動を増やすためのプラスのきっかけ」を「強化子」と呼びます。
例えば…
●行動:子どもが歯を磨く
●強化子:終わったら好きな絵本を読んでもらえる→歯磨きが習慣化しやすくなる。ごほうびとのセットで行動に移りやすくなったりします。
ABAは私たちの生活の中でも使われています。お店に行くとポイントカードがあって、スタンプがたまるとプレゼントや割引されたりすることってありますよね。「スタンプ→プレゼント」というごほうびのために「また来店する」という行動を促すことにつながっています。
ごほうび作戦をADHD脳タイプに応用するためにはちょっとしたコツが必要です。というのも、ADHDは報酬(ごほうび)をもらえる!という期待段階の反応が弱いといわれているからです。今週1週間頑張ったらごほうびがもらえるのはちょっときつい。今すぐもらえるごほうびじゃないとピンとこない。ごほうびをもらえるまでの期間がストレスになりやすく、後でもらえる大きなごほうびよりも、今すぐもらえる小さなごほうびを選びがちです。
では、ADHD脳タイプに効くごほうび作戦とは!? ポイントはズバリ、「短く・すぐに・自分に合ったごほうび」です。
【短く→短時間で区切る】
注意が持続しにくいため、1つの課題や行動を短時間に区切る。
●宿題や仕事を「10分単位」で区切る
●家事や片づけを「1種類だけ」「1スペースだけ」やる(皿洗いや床掃除だけ)
【すぐに→短期報酬を使う】
行動のすぐ後の報酬(強化子)はモチベーションが維持しやすい。
●5分間片づけられた→好きな音楽を3分間聞く
●1ページ勉強した→チョコレートを1つ食べる
●メールを1通送信した→スマートフォンでSNSを見る
※注意:報酬は行動とセットの短時間にする。
【自分に合ったごほうび→その時の気分や興味で強化子を変える】
お菓子、シール、スタンプなどの物理的報酬。
●書き出してできたものに「〇印」をつけるだけでもやる気が出ます
●ほめ言葉、コメント、「いいね!」などの社会的報酬
●誰かと一緒にやるとやる気が出ます。同じことに取り組んでいる仲間とLINEでグループを作って報告し合ったり、時にはSNSに投稿してほめてもらったり(笑)
さて。私のヨガが続いている理由はどこにあるのでしょう。それは「即時報酬!」。ヨガ自体がすでに報酬になっているから。運動音痴な私ですが、体を動かすとスッキリして気持ちがいいんです。自宅から5分のところにあって、思い立ったらふらりと行くことができる、行動へのハードルが低いのも続いている理由の1つ。インストラクターとして準備や練習は大変ですが、仕事としてお金をいただけるから頑張れます。自分が好きなことをお客さんと共有して対価を得られるって、頑張る動機に直結しますよね。好きなことは仕事にしないほうがいいという考え方もありますが、私は断然仕事にする派。ごほうびと直結しているほうが頑張れるな、と思っています。




