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しびれ・痛みで歩行が困難になる「間欠性跛行」の原因が神経か血流かすぐにわかる誌上診断

整形外科
横浜総合病院創傷ケアセンター長/心臓血管外科部長 東田 隆治

間欠性跛行は歩行時に痛みやしびれが起こる症状で原因によって2種類に分けられる

[ひがした・りゅうじ]——石川県生まれ。1989年、金沢大学医学部を卒業後、東京女子医科大学第二病院(現・東医療センター)、米国コロラド大学留学、滋賀医科大学勤務を経て現職。血管外科医として、足の診療所(東京都渋谷区)でも診察を行う。3学会構成心臓血管外科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本外科学会外科専門医、日本下肢救済・足病学会評議員。

● 少し歩くだけで足がしびれるようになった
● 休みをはさまないと歩けなくなった

これらの症状に心当たりがある人は「間欠性跛行」が起こっているかもしれません。

間欠性跛行とは、歩いていると、足にしびれ・痛み・脱力感などが起こる症状です。痛みやしびれで歩けなくなっても、少し休むと再び歩けるようになるのが特徴です。高齢者に多く発症し、70代の12・6%が間欠性跛行を自覚しています。

間欠性跛行が進行すると、日常の動作が著しく制限されるようになります。さらに恐ろしい点は、動脈硬化(血管の老化)や骨・関節の老化が原因であることです。間欠性跛行に苦しんでいる人は、心臓病や脳卒中、関節症などを合併する可能性があります。

間欠性跛行は原因となる病気によって、「神経性跛行」と「血管性跛行」の2種類に分けられます。

神経性跛行は、腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症と略す)など、神経を障害する病気によって発症します。脊柱管狭窄症の場合、背骨の内側を通る神経と脊髄が圧迫されることで痛みやしびれを招き、間欠性跛行が起こります。

血管性跛行は、閉塞性動脈硬化症に代表される血管の病気によって起こります。閉塞性動脈硬化症を発症して足の血流が妨げられると、足の筋肉に酸素や栄養が行き渡らなくなって痛みやしびれを招くのです。

坂道を下るときに発症すれば神経性跛行、歩ける距離が一定であれば血管性跛行

神経性跛行と血管性跛行の見分け方として、休息時の姿勢が挙げられる。神経性跛行は休息時に体を前かがみにすると症状が和らぎ、血管性跛行は止まって休むだけで症状が軽快する

間欠性跛行の改善には、それぞれの原因によって適切な処置を受けることが不可欠です。では、間欠性跛行の原因が「神経性」か「血管性」かを見分ける方法を紹介しましょう。

● 症状がどのようなときに治まるか

神経性跛行の多くは、前かがみになったりしゃがんだりして休むと神経や脊髄の圧迫が緩和されて痛みは軽快します。血管性跛行は足の筋肉の血流が不足して起こるため、歩くのをやめれば痛みが治まります。

坂道を下るときに痛みが出る人は、神経性跛行の疑いがあります。坂を下るさいは背中を伸ばす姿勢になり、脊髄や神経を圧迫してしまうからです。逆に、坂道を上るときは足の筋肉に負荷がかかるため、血管性跛行を発症しやすくなります。

● 歩く距離によって症状の違いがあるか

神経性跛行の場合は体調によって歩ける距離が変わってきます。一方、血管性跛行では症状の現れる距離が一定になる傾向があります。同じ道を歩く機会が多い人は、目印を決めて症状が出る距離を確認しましょう。

間欠性跛行に悩んでいる人は、脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。整形外科だけでなく、血管外科や循環器科も受診することが大切です。